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※作品が3つ以上になったらこのページに載せます(絵師さんによる作品は1つでも載せてます) ※名前が無い作者さんは暫定的にこちらで勝手に名前を付けます((仮)と付いてるのがそうです)正式に名乗っていただけると助かります ※作品数が10以上になったら専用ページを作ります ※消えてしまってる作品をお持ちの方、作家さん本人はよろしければ再うpをお願いします ※掲載漏れ、掲載ミス、リンク切れ等ありましたら教えてください 07/27ゆ焼きあきさんの(仮)が取れました 03/14専用ページ持ち作家さんの「★」マークから直接専用ページに飛べるようにしました 赤ゆ罰あき(仮) 明日あき(仮) あたいあき いむあき 癒し系あき(仮) ★エルダーあき おうえんあき(仮) 大きく振りかぶったあき お説教されたいあき おねにいあき おまんじゅうあき おんもあき(仮) 鬼になりきれなあき(仮) ガッツあき ★神奈子さまの一信徒 カマキリあき ★観察あき(仮) きな粉あき 矯正あき(仮) ★キーガー・フレテール 吟遊詩人あき(仮) ★久城あき 蹴りあき(仮) ★ゲームあき 研究員あき(仮) 米印 ご立派あき(仮) サスペンス(仮) 三郎あき(仮) 三等兵あき しがないあき ★支配人マッド ★小五ロリあき 少女とまりあき(仮) 職あき ★触発あき 性欲と食欲のあき 設定厨あき(仮) ★雪原あき(仮) ★絶対あき(仮) 戦記あき(仮) 戦争あき(仮) たいじあき(仮) タイポあき 煙草あき 旅人あき 短小あき ★蛇足あき 中枢あき(仮) ★徒然あき 敵あき(仮) できたら良かあき(仮) てるあき ★テンタクルあき ★天然あき とあるあき(仮) ドナルドあき トライガンあき(仮) ★長月 七罪あき(仮) 何とかあき(仮) ★二行 ニッカポッカあき(仮) 日本語訳 ★ぬちゃぬちゃあき 農業あき(仮) のびのびあき(仮) ★のるまあき ★暴露あき ★羽付きあき 原あき ハンダゴテあき 爆誕あき(仮) バケツあき ★一言あき ★必殺引篭り人 暇あき 暇人あき(仮) 不感症まりさあき(仮) ブリーダーあき(仮) ★古本屋 ブレあき ペッパーあき 編集あき(仮) ボタンあき ★ポールあき まいほーむあき(仮) まりむあき マ・あき ★マーラーあき 命令あき(仮) ★めーりんあき もっちもちあき 問答無用あき(仮) 門番あき(仮) ★藪あき ★やまめあき(仮) ★ヤリまむあき ゆうかわあき ゆうか大好きあき(仮) ゆートピあき(仮) ユギャックあき ★ユグルイあき ゆファリあき(仮) ゆ焼きあき 改名 ゆんだむあき(仮) ★ゆンテリアあき 洋服あき(仮) ★余白あき 落語あき(仮) ルームあき(仮) 老夫婦あき(仮) 六人 わかっちゃあき 248あき ★D.O ★HENTAIあき MFYP not底辺あき YT 赤ゆ罰あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 566 赤ゆっくりには罰を ふたば系ゆっくりいじめ 589 喋るな 明日あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 392 お前たちに明日はない ふたば系ゆっくりいじめ 411 明日に向って飛べ! ふたば系ゆっくりいじめ 430 幸せ ふたば系ゆっくりいじめ 463 フォレスト・オブ・マッドネス ふたば系ゆっくりいじめ 487 罪 あたいあき ふたば系ゆっくりいじめ 1120 ゆっくり教材Vol.1『野良に憧れるれいむ』 絵×3 ふたば系ゆっくりいじめ 1125 特集『ゆっくりに脅かされる農家』 ふたば系ゆっくりいじめ 1136 ゆっくり教材Vol.2『大人になれないまりさ』 ふたば系ゆっくりいじめ 1150 ゆっくり教材Vol.3『ゆっくりありすの注意点』 いむあき ふたば系ゆっくりいじめ 310 仏 ふたば系ゆっくりいじめ 393 体 ふたば系ゆっくりいじめ 401 体2 ふたば系ゆっくりいじめ 452 体3 ふたば系ゆっくりいじめ 488 裁 ふたば系ゆっくりいじめ 498 腐 ふたば系ゆっくりいじめ 535 換 ふたば系ゆっくりいじめ 655 喋 「餡子ンペ09」 癒し系あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 570 俺の癒し系ペット ふたば系ゆっくりいじめ 875 とある廃公園にて エルダーあき エルダーあきの作品集 おうえんあき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 160 寄生生物とゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 362 ゆっくりおうえんしていってね!!! ふたば系ゆっくりいじめ 366 ゆっくりあじわっていってね!!! ふたば系ゆっくりいじめ 539 ぱちゅりーの奇妙な影響 大きく振りかぶったあき ふたば系ゆっくりいじめ 964 サンプル ふたば系ゆっくりいじめ 978 暗く湿った穴の中 ふたば系ゆっくりいじめ 1186 すろーりぃな計画 ふたば系ゆっくりいじめ 1272 投げた! 絵 ふたば系ゆっくりいじめ 1303 声 お説教されたいあき ふたば系ゆっくりいじめ 229 たくすぃー 絵 ふたば系ゆっくりいじめ 344 ゆっくりで漬け物 ふたば系ゆっくりいじめ 404 ただ一つの ふたば系ゆっくりいじめ 471 えーき様とお義母様 ふたば系ゆっくりいじめ 519 ゆっくりの電車01_02 「餡子ンペ09」 ふたば系ゆっくりいじめ 640 れいむ、俺の為に赤ちゃん産んでくれ 前 絵 「餡子ンペ09」 ふたば系ゆっくりいじめ 641 れいむ、俺の為に赤ちゃん産んでくれ 中 「餡子ンペ09」 ふたば系ゆっくりいじめ 642 れいむ、俺の為に赤ちゃん産んでくれ 後 「餡子ンペ09」 ふたば系ゆっくりいじめ 657 ゆっくり達のクリスマス 絵 おねにいあき ふたば系ゆっくりいじめ 135 れいむの失敗 おまんじゅうあき ふたば系ゆっくりいじめ 844 虐待鬼井参とHENTAI鬼井参 おんもあき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 171 おんもでゆっくりしよう!① ふたば系ゆっくりいじめ 193 おんもでゆっくりしよう!2 ふたば系ゆっくりいじめ 467 おんもでゆっくりしよう!3 鬼になりきれなあき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 53 そんなに我侭いうなら自分で生きてね! ふたば系ゆっくりいじめ 90 私は鬼にはなりきれないのだ ふたば系ゆっくりいじめ 190 子まりさはゆっくりできない ふたば系ゆっくりいじめ 194 おいまりさ、涙の味はおいしいか? ふたば系ゆっくりいじめ 202 そして家族の崩壊 絵 ふたば系ゆっくりいじめ 475 野良ゆっくりの一家の訪問を受けた ガッツあき ふたば系ゆっくりいじめ 342 捨てられみりゃ ふたば系ゆっくりいじめ 361 俺ね−さんの災難 神奈子さまの一信徒 神奈子さまの一信徒の作品集 カマキリあき ふたば系ゆっくりいじめ 533 カマキリさんの卵でゆっくりするよ!! ふたば系ゆっくりいじめ 540 浮浪者とゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 541 静かにゆっくりするよ!! ふたば系ゆっくりいじめ 581 静かにゆっくりできないよ!!(前編) ふたば系ゆっくりいじめ 586 静かにゆっくりできないよ!!(後編) ふたば系ゆっくりいじめ 588 ピュアな心でゆっくりするよ!! ふたば系ゆっくりいじめ 609 ゆーピー3分クッキング ふたば系ゆっくりいじめ 725 突撃!隣のゆっくりご飯! ふたば系ゆっくりいじめ 834 まりさのれいむ 観察あき(仮) 観察あき(仮)の作品集 きな粉あき ふたば系ゆっくりいじめ 757 れいむとおねえさん ふたば系ゆっくりいじめ 767 短編集 ふたば系ゆっくりいじめ 822 ゆんやー粉 矯正あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 170 相棒 ふたば系ゆっくりいじめ 228 夏の終わりに ふたば系ゆっくりいじめ 253 来訪者 ふたば系ゆっくりいじめ 364 中身をブチ撒けろ ふたば系ゆっくりいじめ 368 ゲスゆ矯正物語~威嚇癖を直そう ふたば系ゆっくりいじめ 374 ゲスゆ矯正物語~悲劇の芽を摘み取ろう ふたば系ゆっくりいじめ 384 ゲスゆ矯正物語~性根を入れ替える キーガー・フレテール キーガー・フレテールの作品集 吟遊詩人あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 739 ゆンストレル・れいむ 絵×2 ふたば系ゆっくりいじめ 760 ゆっくりの関節を極めてみた 久城あき 久城あきの作品集 蹴りあき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 495 蹴る ふたば系ゆっくりいじめ 546 リウム ゲームあき ゲームあきの作品集 研究員あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 905 ゆっくり研究 ふたば系ゆっくりいじめ 913 続・ゆっくり研究 ふたば系ゆっくりいじめ 942 続々ゆっくり研究 ふたば系ゆっくりいじめ 973 続々続ゆっくり研究 ふたば系ゆっくりいじめ 982 ゆっくり研究所のアルバイト ふたば系ゆっくりいじめ 1032 ゆっくり研究所のアルバイトの部屋 ふたば系ゆっくりいじめ 1098 ゆっくり研究員と虐待お兄さん 米印 ふたば系ゆっくりいじめ 96 永遠にゆっくりするということ ふたば系ゆっくりいじめ 786 unchain ふたば系ゆっくりいじめ 839 ドン れいむ ふたば系ゆっくりいじめ 950 まりさ ふたば系ゆっくりいじめ 976 猫とゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 1081 対価 ご立派あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 872 横バンジー ふたば系ゆっくりいじめ 1053 ご立派さまとゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 1173 縁日に行こう ふたば系ゆっくりいじめ 1324 ある愛護団体の午後 ふたば系ゆっくりいじめ 1329 戻れると思ってたの? サスペンス(仮) ※逆向きに並んでます ふたば系ゆっくりいじめ 1127 天井に近い所 絵 ふたば系ゆっくりいじめ 1119 本当ですよ ふたば系ゆっくりいじめ 1102 ゆっくりサスペンス劇場 ふたば系ゆっくりいじめ 1008 つまらない ふたば系ゆっくりいじめ 988 不愉快 三郎あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 565 エリート虐待士三郎 第1話『超新星!エリート虐待士三郎登場!』 ふたば系ゆっくりいじめ 591 エリート虐待士三郎 第2話『復讐の酷鬼!屋上のチェーンデスマッチ!』 三等兵あき ※逆向きに並んでます ふたば系ゆっくりいじめ 781 激闘!ゆラッシュギアTURBO ふたば系ゆっくりいじめ 459 ゆっくりとサバゲー対決 ふたば系ゆっくりいじめ 425 ゆレー射撃 しがないあき ふたば系ゆっくりいじめ 775 ゆっくりと黒豆 ふたば系ゆっくりいじめ 911 ゆっくりとお預かり ふたば系ゆっくりいじめ 930 ゆっくりとバレンタイン ふたば系ゆっくりいじめ 1031 ゆっくりと津波 ふたば系ゆっくりいじめ 1132 ゆっくりと毛皮のフード ふたば系ゆっくりいじめ 1319 ゆっくりと寒の戻り 支配人マッド 支配人マッドの作品集 小五ロリあき 小五ロリあきの作品集 少女とまりあき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 131 れいむ視点と人間視点 ふたば系ゆっくりいじめ 987 少女とまりさ前編 ふたば系ゆっくりいじめ 1113 少女とまりさ後編 職あき ふたば系ゆっくりいじめ 768 絶対にゆるさなえ 絵×2 ふたば系ゆっくりいじめ 804 祟り神・前篇 ふたば系ゆっくりいじめ 843 祟り神・後篇 触発あき 触発あきの作品集 性欲と食欲のあき ふたば系ゆっくりいじめ 673 昆布巻き 絵 ふたば系ゆっくりいじめ 682 ゆ虐カフェ ふたば系ゆっくりいじめ 704 展示品 ふたば系ゆっくりいじめ 712 れいみゅ地獄 ふたば系ゆっくりいじめ 714 キャベツ畑とコウノトリを信じてる純真なゆうかにゃんを・・・ ふたば系ゆっくりいじめ 744 錆びた金バッジ~餡子話版 ふたば系ゆっくりいじめ 754 みょんの間 設定厨あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 326 膨張合体ダイラタンシー ふたば系ゆっくりいじめ 337 YUKURIZONE ふたば系ゆっくりいじめ 667 ゆっくりの加齢 雪原あき(仮) 雪原あき(仮)の作品集 絶対あき(仮) 絶対あき(仮)の作品集 戦記あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 291 ゆっくりの「ある」日常、その一日 ふたば系ゆっくりいじめ 405 ゆっくり戦記・前編 戦争あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 486 人間vsゆっくり 前編 「餡子ンペ09」 たいじあき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 203 まりさのだいじな ふたば系ゆっくりいじめ 207 ゆっくりせいいをみせてね! タイポあき ふたば系ゆっくりいじめ 421 みんなの幸せのために ふたば系ゆっくりいじめ 422 黒色の魔法 ふたば系ゆっくりいじめ 489 れいむの平和な一日(前編) ふたば系ゆっくりいじめ 492 れいむの平和な一日(後編) ふたば系ゆっくりいじめ 605 家族の絆 「餡子ンペ09」 ふたば系ゆっくりいじめ 692 素晴らしい贈り物 煙草あき ふたば系ゆっくりいじめ 585 煙草とゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 727 ゆっくりの存在価値 絵×2 旅人あき ふたば系ゆっくりいじめ 280 町人Aの憂鬱 ~森の中の切れ込みまりさ~ ふたば系ゆっくりいじめ 664 町人Aの逢引 ~所長代行とゆっくりあやや~ 短小あき ふたば系ゆっくりいじめ 462 赤ゆ出産テンプレ虐待 ふたば系ゆっくりいじめ 619 一家を虐待するついでに中枢餡いじったり実力の差を見せ付けたりするはなし 「餡子ンペ09」 蛇足あき 蛇足あきの作品集 中枢あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 518 ゆっくりれいぱー ふたば系ゆっくりいじめ 558 中枢餡 徒然あき 徒然あきの作品集 敵あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 941 命だけは・・・ ふたば系ゆっくりいじめ 967 敵 ふたば系ゆっくりいじめ 968 暇人の暇人による暇つぶし ふたば系ゆっくりいじめ 1200 雑な飼い方 ふたば系ゆっくりいじめ 1334 殺さず殺さず できたら良かあき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 749 ゆっくり虐待 ふたば系ゆっくりいじめ 774 ゆっくり虐待2――できたら良かったのに てるあき ふたば系ゆっくりいじめ 676 お汁粉職人の朝は早い ふたば系ゆっくりいじめ 685 輝石の価値は ふたば系ゆっくりいじめ 686 見敵ゆっ殺 テンタクルあき テンタクルあきの作品集 天然あき 天然あきの作品集 とあるあき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 279 愛されゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 318 とあるペットショップにて ふたば系ゆっくりいじめ 330 とあるクリニックにて ドナルドあき ふたば系ゆっくりいじめ 948 ゆくドナルド ふたば系ゆっくりいじめ 1045 ゆくドナルド2 ふたば系ゆっくりいじめ 1182 れいむと・・・ ふたば系ゆっくりいじめ 1262 豆れみりゃとこうまかん ふたば系ゆっくりいじめ 1273 ゆくドナルド3 ふたば系ゆっくりいじめ 1282 お前のゆん生30点 ふたば系ゆっくりいじめ 1309 幸福マスベ 絵 ふたば系ゆっくりいじめ 1348 餡子に捧ぐは菊の花 絵 トライガンあき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 272 おねぇさんのゆっくりプレイス ふたば系ゆっくりいじめ 289 詰める ふたば系ゆっくりいじめ 290 れっつびぎん ふたば系ゆっくりいじめ 307 ぱぺっとショウ ふたば系ゆっくりいじめ 313 おねぇさんのゆっくりプレイス・2 ふたば系ゆっくりいじめ 323 もりのけんじゃのひさく 長月 長月の作品集 七罪あき(仮) ※逆向きに並んでます ふたば系ゆっくりいじめ 791 ゆっくり~愛の劇場~ ふたば系ゆっくりいじめ 788 七罪 ふたば系ゆっくりいじめ 776 ゆっくりたたき ふたば系ゆっくりいじめ 769 ゆっくり採集~つかまってごめんね!~ ふたば系ゆっくりいじめ 766 まりさがまりさだよ! ふたば系ゆっくりいじめ 761 ゆっくりした週末 ふたば系ゆっくりいじめ 755 まりさもみもみ 何とかあき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 332 ゆ何とか ふたば系ゆっくりいじめ 367 リーダーがいる群れ 二行 二行の作品集 ニッカポッカあき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 288 ゆっへん!まりさはとってもつよいのぜ! ふたば系ゆっくりいじめ 389 れーみゅたちはつよくにゃるんだよ! 絵 日本語訳 ふたば系ゆっくりいじめ 938 ある暖かい冬の午後 ふたば系ゆっくりいじめ 1010 ディスクトップまりさ ふたば系ゆっくりいじめ 1041 はるですよー ふたば系ゆっくりいじめ 1073 金まりさつり天井事件 ぬちゃぬちゃあき ぬちゃぬちゃあきの作品集 農業あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 801 農業学生とゆっくり01 ふたば系ゆっくりいじめ 811 農業学生とゆっくり02 ふたば系ゆっくりいじめ 858 農業学生とゆっくり03 ふたば系ゆっくりいじめ 891 職業見学 加工所のふらんちゃん 前編 ふたば系ゆっくりいじめ 1013 職業見学 加工所のふらんちゃん 中編 ふたば系ゆっくりいじめ 1065 ゆプセルトイ ふたば系ゆっくりいじめ 1121 職業見学 加工所のふらんちゃん 後編 のびのびあき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 792 ゆ食文化圏 ふたば系ゆっくりいじめ 871 のばす 絵×2 のるまあき のるまあきの作品集 暴露あき 暴露あきの作品集 羽付きあき(仮) 羽付きあき(仮)の作品集 原あき ふたば系ゆっくりいじめ 95 ゆっくり人面瘡 誕生編 ふたば系ゆっくりいじめ 97 賢さは悲劇 ふたば系ゆっくりいじめ 98 ゆっくり人面瘡 離別編 ふたば系ゆっくりいじめ 103 賢さは孤独 ふたば系ゆっくりいじめ 105 ゆっくりの鬚 ふたば系ゆっくりいじめ 114 怨みと罪 ハンダゴテあき ふたば系ゆっくりいじめ 709 五体のおうち宣言 ふたば系ゆっくりいじめ 713 最後に聞く言葉 ふたば系ゆっくりいじめ 722 育て親への説教 ふたば系ゆっくりいじめ 787 ふたりなら ふたば系ゆっくりいじめ 800 TAKE IT EASY! ふたば系ゆっくりいじめ 852 よくしゃべるものたち ふたば系ゆっくりいじめ 915 変わった態度 絵×2 ふたば系ゆっくりいじめ 925 地下の防音室 爆誕あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 427 おうたをうたったけっかがこれだよ! ふたば系ゆっくりいじめ 437 ビッグゆっくり爆誕 絵 バケツあき ふたば系ゆっくりいじめ 322 お兄さんの引越し ふたば系ゆっくりいじめ 327 お兄さんのトラウマ ふたば系ゆっくりいじめ 416 バケツまりさ ふたば系ゆっくりいじめ 420 れいむのだんなさん ふたば系ゆっくりいじめ 564 冬を越す為に 絵 一言あき 一言あきの作品集 必殺引篭り人 必殺引篭り人の作品集 暇あき ふたば系ゆっくりいじめ 797 ぐるぐるまわる!ゆんどうかい! 新 暇人あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 58 ドスまりさがぶっ殺される話 ふたば系ゆっくりいじめ 64 酷い暇潰し ふたば系ゆっくりいじめ 74 暇人二人のゆっくりいじめ ふたば系ゆっくりいじめ 79 暇人二人の旅行 ふたば系ゆっくりいじめ 85 ゆっくり教 不感症まりさあき(仮) 不感症なまりさ(消失) 水の上で飼ってみた(消失) まりさが何かにレイプされた話(消失) ふたば系ゆっくりいじめ 28 床下のお家 ふたば系ゆっくりいじめ 51 寄生との結婚と巣作りと ふたば系ゆっくりいじめ 57 ドスになった飼まりさの不幸 ふたば系ゆっくりいじめ 100 ゆっくり自由空館 ふたば系ゆっくりいじめ 118 泣きゆっくりとまりさつむりを一緒に飼うことになった ふたば系ゆっくりいじめ 120 消されたシアワセ ブリーダーあき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 380 ゆっくりブリーダー試験 ふたば系ゆっくりいじめ 417 ゆっくりブリーダー 古本屋 古本屋の作品集 ブレあき ふたば系ゆっくりいじめ 621 ゆっくりとの共存社会 ~ニュースキャスター編~ 序章 ふたば系ゆっくりいじめ 914 ゆっくりとの共存社会 ~ニュースキャスター編~ ふたば系ゆっくりいじめ 955 ゆっくりの進化 一 前半 ふたば系ゆっくりいじめ 1047 ゆっくりの進化 一 中編 ふたば系ゆっくりいじめ 1066 ゆっくりの進化 一 後半 ふたば系ゆっくりいじめ 1089 ユグソウ プレリュード ふたば系ゆっくりいじめ 1135 ユグソウ 前半 ふたば系ゆっくりいじめ 1230 喧嘩 ふたば系ゆっくりいじめ 1301 帰ってこないあの日々 ふたば系ゆっくりいじめ 1349 別れ ペッパーあき ふたば系ゆっくりいじめ 300 顔面胡椒 ふたば系ゆっくりいじめ 302 壊れてしまったドスまりさの話 ふたば系ゆっくりいじめ 308 ユックリンの笛吹き ふたば系ゆっくりいじめ 320 一般道とロードローラー ふたば系ゆっくりいじめ 328 コンポストの中のゆん生 絵 ふたば系ゆっくりいじめ 346 2200円れいむ(前編) ふたば系ゆっくりいじめ 406 2200円れいむ(後編) 編集あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 922 yukkuri ふたば系ゆっくりいじめ 945 はやくげんこうちょうだいね ふたば系ゆっくりいじめ 1017 真夜中のゆっくり地獄 ふたば系ゆっくりいじめ 1170 感性の違い ボタンあき ふたば系ゆっくりいじめ 370 秋の恵み ふたば系ゆっくりいじめ 688 ゆっくり攫い ふたば系ゆっくりいじめ 699 ゆっくりが泣く頃に 1 ふたば系ゆっくりいじめ 700 ゆっくりが泣く頃に 2 ポールあき ポールあきの作品集 まいほーむあき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 16 yasei ふたば系ゆっくりいじめ 31 myhome ふたば系ゆっくりいじめ 88 ゆっくり交通安全 まりむあき ふたば系ゆっくりいじめ 71 『卑屈れいむのゆん生』プロローグ 絵 ふたば系ゆっくりいじめ 805 大福ぱちゅりープロローグ 絵 マ・あき ふたば系ゆっくりいじめ 303 まりさがんばる ふたば系ゆっくりいじめ 388 まりさがんばった 絵 ふたば系ゆっくりいじめ 598 赤ありすと、まりさ一家 前編 「餡子ンペ09」 ふたば系ゆっくりいじめ 614 赤ありすと、まりさ一家 後編_01_02 「餡子ンペ09」 ふたば系ゆっくりいじめ 721 判断ミス 絵×3 ふたば系ゆっくりいじめ 829 ゆっくりを地獄に叩き落す鬼のような人間さん(嘘) 絵 ふたば系ゆっくりいじめ 1180 自動販売機(ゆっくり) マーラーあき マーラーあきの作品集 命令あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 637 ゆっくり命令していってね!(前) ふたば系ゆっくりいじめ 670 ゆっくり命令していってね!(後)_01_02 絵 めーりんあき めーりんあきの作品集 もっちもちあき ふたば系ゆっくりいじめ 542 れいむのゆっくりを鬼意山にささぐ ふたば系ゆっくりいじめ 579 残酷な夜にれいむの叫びは鬼意山に届かない 絵 ふたば系ゆっくりいじめ 607 ゆっくりキャッスル ふたば系ゆっくりいじめ 627 美しきゆっくりプレイス ふたば系ゆっくりいじめ 649 当然の結末 ふたば系ゆっくりいじめ 661 クリスマス心暖まる愛でSSの様なもの 絵 問答無用あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 306 飼いゆっくりを問答無用に・・・ ふたば系ゆっくりいじめ 316 賢いゆっくり一家と子れいむ 門番あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 732 門番ゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 741 ゆっくりマンション ふたば系ゆっくりいじめ 751 門番ゆっくり めーりんの場合 ふたば系ゆっくりいじめ 782 ゆっくりのいるお庭 絵 ふたば系ゆっくりいじめ 824 遭ゆっくり 藪あき 藪あきの作品集 やまめあき(仮) やまめあき(仮)の作品集 ヤリまむあき ヤリまむあきの作品集 ゆうかわあき ふたば系ゆっくりいじめ 6 ゆっくり汁粉 絵 ゆうか大好きあき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 195 ゆうかの花 ふたば系ゆっくりいじめ 225 それいけ ゆうかさん ふたば系ゆっくりいじめ 256 逆襲のうんうん ふたば系ゆっくりいじめ 426 戻らずの丘 絵 ゆートピあき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 610 目指せ、ゆっくりユートピア 絵 ふたば系ゆっくりいじめ 735 もりのけんじゃ(苦笑)とちびれいむ ふたば系ゆっくりいじめ 954 キラキラありす ユギャックあき ふたば系ゆっくりいじめ 886 仮面ライダーユギャック 01 絵 ふたば系ゆっくりいじめ 1020 仮面ライダーユギャック 01改 ユグルイあき ユグルイあきの作品集 ゆファリあき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 694 ゆファリパーク ふたば系ゆっくりいじめ 719 飼いまりさも靴下がお好き ふたば系ゆっくりいじめ 823 ゆっくりが残すもの ふたば系ゆっくりいじめ 881 ありすとぱちぇとおにいさん 絵 ふたば系ゆっくりいじめ 936 アフターバレンタイン ふたば系ゆっくりいじめ 1046 雨さんはゆっくりできないよ! ふたば系ゆっくりいじめ 1221 飼いゆ狂想曲 ゆ焼きあき ふたば系ゆっくりいじめ 898 赤ゆ焼き ふたば系ゆっくりいじめ 928 贈り物 ふたば系ゆっくりいじめ 979 子まりさとれいぱー 絵 ふたば系ゆっくりいじめ 1128 おそらをとんでるみたい! ふたば系ゆっくりいじめ 1330 蛍 ゆんだむあき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 705 餡動戦士ゆんだむ ふたば系ゆっくりいじめ 724 餡動戦士ゆんだむⅡ 哀・ゆっくり編 ふたば系ゆっくりいじめ 747 餡動戦士ゆんだむⅢ めぐりあい饅頭(ゆっくり)編 ふたば系ゆっくりいじめ 771 餡動戦士ゆんだむⅣ 逆襲のゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 830 餡動戦士ゆんだむⅤ ポケットの中のゆっくり ゆンテリアあき ゆンテリアあきの作品集 洋服あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 222 ゆっくり・洋服 ふたば系ゆっくりいじめ 226 ゆっくり・洋服2 余白あき 余白あきの作品集 落語あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 951 落語「ゆ虐指南」 ふたば系ゆっくりいじめ 971 落語「善行れいむ」 ふたば系ゆっくりいじめ 1015 落語「ぱちぇ烏」 ふたば系ゆっくりいじめ 1038 落語「ちぇんのバッジ」 ふたば系ゆっくりいじめ 1048 ゆっくりぎゃくたい ルームあき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 214 ルームランナー 絵×2 ふたば系ゆっくりいじめ 482 死体 絵×6 ふたば系ゆっくりいじめ 1220 虐待ハウス 絵 ふたば系ゆっくりいじめ 1231 食物 絵×2 老夫婦あき(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 1085 ゆっくり一家とゲスとお兄さん ふたば系ゆっくりいじめ 1101 老夫婦とまりさ1 ふたば系ゆっくりいじめ 1107 老夫婦とまりさ2 ふたば系ゆっくりいじめ 1114 老夫婦とまりさ3 ふたば系ゆっくりいじめ 1126 老夫婦とまりさ4 ふたば系ゆっくりいじめ 1193 老夫婦とまりさ5 ふたば系ゆっくりいじめ 1320 老夫婦とまりさ6 六人 ふたば系ゆっくりいじめ 212 下卑た快感 ふたば系ゆっくりいじめ 254 アザーワールド ふたば系ゆっくりいじめ 515 公認虐待 ふたば系ゆっくりいじめ 737 真理の扉 ふたば系ゆっくりいじめ 758 全自動復讐システム 絵 ふたば系ゆっくりいじめ 794 全自動復讐システム -初期型- ふたば系ゆっくりいじめ 809 全自動復讐システム -世界- ふたば系ゆっくりいじめ 889 ただ淡々と わかっちゃあき ふたば系ゆっくりいじめ 140 おまえはなにもわかっちゃいない ふたば系ゆっくりいじめ 143 おまえはなにもわかっちゃくれない ふたば系ゆっくりいじめ 144 ぼくはぼくをわかっちゃいない ふたば系ゆっくりいじめ 175 やめられない虐殺 ふたば系ゆっくりいじめ 189 もうわからない ふたば系ゆっくりいじめ 483 公園で暇つぶし 248あき ふたば系ゆっくりいじめ 633 バス停 ふたば系ゆっくりいじめ 765 かまくら ふたば系ゆっくりいじめ 808 路地裏(前) ふたば系ゆっくりいじめ 821 路地裏(後) D.O D.Oの作品集 HENTAIあき HENTAIあきの作品集 MFYP ふたば系ゆっくりいじめ 266 おやさいやるよ ふたば系ゆっくりいじめ 375 晩年の夫婦 ふたば系ゆっくりいじめ 746 金バッジ ふたば系ゆっくりいじめ 756 レイパー ふたば系ゆっくりいじめ 857 レイプあれこれ not底辺あき ふたば系ゆっくりいじめ 652 てんしのれいむとどれいのまりさ ふたば系ゆっくりいじめ 813 まりさのわらいごえ ふたば系ゆっくりいじめ 845 こいするれいむとゆめのくすり ふたば系ゆっくりいじめ 868 なやむれいむともものおばけ 絵 YT ふたば系ゆっくりいじめ 108 昔なつかしゆっくりれいむ01 ふたば系ゆっくりいじめ 109 昔なつかしゆっくりれいむ02 ふたば系ゆっくりいじめ 112 昔なつかしゆっくりれいむ03 ふたば系ゆっくりいじめ 121 ぱらまりさ01 絵×2 ふたば系ゆっくりいじめ 123 ぱらまりさ02 絵×2 トップページに戻る
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れいむへの愛情 23KB 虐待 制裁 愛情 実験 妊娠 お家宣言 飼いゆ 野良ゆ 赤ゆ 現代 独自設定 16作目です。愛ゆえに人は苦しまねばならぬ! 数ヶ月前、ペットショップで子れいむを買ってきた。 買った日から子れいむは、すぐ自分になついてくれたので、今でもとてもかわいがっている。 言うことも素直に聞いてくれるので、とてもしつけがしやすく、 子れいむのころに、一度も体罰を与えたことが無いのが自慢だ。 子れいむは生まれつき賢かったようで、少し勉強させると簡単に銀バッジを取ってしまった。 れいむが大きくなってからは、一匹で自由に外出させるようにしている。 家の周りは車通りが少なく、銀バッジもちゃんと頭につけているので、 外出させても特に問題ないだろうと考えたからだ。 れいむは最初、1日に1回、時間にして30分ほど散歩を楽しんでいたようだ。 だが、つい1週間ほど前から、日に1度の散歩が2度3度に、 散歩の時間も1時間になり2時間になり、あきらかに外出時間が増えてきた。 散歩が長い理由をれいむに聞くのだが、 「れいむはゆっくりさんぽしたいんだよ!!」 といってはぐらかされる。 散歩中のれいむを尾行しようとも思ったが、 れいむが散歩している間は、その行動に一切関与しないという、 れいむのプライバシーを守る約束をしているので、尾行をするわけにはいかない。 その約束をするかわりに、家の中でお行儀良くするようにいいつけてあるのだが、れいむはそのいいつけをちゃんと守っている。 だから余計に、自分のほうから約束を破るわけにもいかないのだ。 れいむの大好物なあまあまをちらつかせて、散歩が長い理由を聞き出そうとするのだが、 れいむの口は堅く「なんにもないんだよ!!!」としか言わない。 しかし、散歩中に何かあるのは間違いない。 それが何なのか・・・・最近、とても気になっているのだ。 れいむとの約束は、家の中でお行儀良くすること以外に、 野良ゆっくりと勝手に子供を作ってはいけない、という約束もしている。 約束を破るようなら、それなりの痛いおしおきをすると告げてあるので、 それがある程度の抑止力にはなっていると思う。 でも所詮はゆっくり、約束よりも自分の幸せをとる可能性は十分にある。 だからこそ、今れいむのことをとても心配しているのだ。 ある日のこと、外出したれいむが家に帰ってこなかった。 家の近くを簡単に探すのだが、れいむはどこにも見当たらない。 暗くなって家に帰れなくなったのだろうか、 でもそれなら明日にはきっと帰ってくるだろうと思い、その日はおとなしく家で待つことにした。 しかし、翌日になってもれいむは帰って来なかった。 さすがに、れいむの身に何かあったのだと思い、本格的に周囲を捜索し始める。 だが、いくら探してもれいむは見つからなかった。 れいむが失踪してから5日が経った。 その間にもいろいろな場所を探したのだが、結局れいむは見つからない。 どこかで事故に巻き込まれたか、または誰かに連れ去られてしまったか。 れいむのことは半分あきらめていた。 だがその日の夕方、何事もなかったかのようにれいむが家に帰ってきたのだ。 「おにいさん、えささんをちょうだいね!たくさんでいいよ!!!」 開口一番にれいむはこう言った。 積もり積もった感情が爆発し、れいむに対していろいろ言おうと思ったのだが、その前に、れいむに対して違和感を覚える。 れいむの頭に、一本の細い蔦が生えていたのだ。 蔦には4つの小さな実ゆっくりがついていて、それぞれ体の基礎ができるまでに成長している。 実ゆっくりはときどき体をプルっと動かし、嬉しそうな表情をする。 生まれ落ちた後の動きを練習しているのだろうか。 数日もすれば、この実ゆっくりは赤ゆっくりとして誕生するだろう。 頭に蔦の生えたれいむの横には、なぜか得意げな顔のまりさがいた。 その身なりから恐らく、野良ゆっくりだと思われる。 この5日間、れいむが何をしていたのか一瞬で分かってしまった。 「れいむ。一つ聞くが、横にいるのは野良まりさだよな?」 「ゆっ、れいむはまりさといっしょになったんだよ!!」 「ここはとてもゆっくりできそうなおうちなんだぜ。れいむはすごいんだぜ!!」 「ゆへへ、そんなことないよ~~~だってここはまりさのおうちでもあるんだよ!!おちびちゃんたちもここでゆっくりそだてられるんだよ!!!」 「なあれいむ、俺との約束を覚えているか?野良ゆっくりと勝手に子供を作っちゃいけないっていう約束を。」 「ゆ!!おちびちゃんはとてもゆっくりできるんだよ!!だかられいむはおちびちゃんをつくったんだよ!!! ゆっくりできるまりさとおちびちゃんは、ここでれいむといっしょにゆっくりしないとだめなんだよ!!! だからおにいさんはすこしだまっててね!!!いうことをきいてくれないおにいさんなんかきらいだよ!!!」 「そうなんだぜ!まりさはれいむといっしょになったから、れいむのおうちにすまないといけないんだぜ!!!」 れいむとまりさの言い分は、まるで論法が成り立っていない。 それに、子供を作っちゃいけない約束はどうした、という俺の質問にまるで答えていない。 いや広い意味では答えているが、俺の聞きたい答えになっていない。 なんだこれ 5日間、必死でれいむを探し続けてた俺が馬鹿みたいじゃないか。 肝心のれいむからは、家を出ていて心配かけたという言葉もない、 子供を作って良いかということわりもない、 まして野良まりさと一緒になって良いかという話もないし、 まりさをここに住まわせても良いかという話もない。 おまけに俺に対して黙れという。 ふざけるな 「そうか、なら仕方ない。お前らここからとっとと出てけ。出て行かないなら無理にでも追い出す。」 「ゆゆ!!おにいさんはかってなこといわないでね!!ここはれいむのおうちなんだよ!!!おにいさんこそでていってね!!」 「そうなんだぜ!!れいむをおいだそうとするゲスなにんげんはとっととでていくんだぜ!!!」 なるほどね、それがれいむの本心か。 れいむはもともと、俺のことを飼い主だとは思っておらず、 ただ、自分の家に住む優しい同居人くらいにしか思ってなかったわけだ。 了解了解、それなら話は早い。 こっちはそれなりの対応をするだけだ。 だが、このままでは腹の虫がおさまらない。 「なあれいむ、お前はどれだけまりさのことが好きなんだ?」 「ゆ?れいむはまりさのことがとってもだいすきなんだよ!!まりさはとてもゆっくりしてるんだよ!!」 「そうか、それだけ好きならまりさのことを何でも知ってるんだよな?」 「そうだよ!!まりさのことならなんでもわかるんだよ!!!」 「そうなんだぜ!!まりさもれいむのことならなんでもわかるんだぜ!!」 「相思相愛ってわけか、分かった。そこでだ、そんな仲の良い二匹のためにある実験をしたいんだ。 この実験で、二匹の愛が確かなものだと分かったら、俺はここから出て行ってやるよ。」 「おにいさんはとっととでていってね!!!れいむはじっけんさんをはやくしたいんだよ!!!」 「分かった、じゃあここで待ってろ。俺はまりさと少し話をしてくるから。」 そう言うと野良まりさを乱暴に持ち上げ、奥の部屋へ連れて行く。 「ゲスなにんげんはまりさをらんぼうにあつかっちゃいけないんだぜ!!!」 「まりさといったな。まりさはどこに住んでたんだ?」 「ゆ!まりさはこうえんにすんでたんだぜ!!こうえんのだん・・」 「まりさの好物はなんだ?」 「ゆ?まりさはあまあまさんがだいすきなんだぜ!!!あまあまをくれるのぜ?」 「れいむと初めて会ったのはどこだ?」 「ゆ、きれいなおはなさんがいっぱいあるところであったんだぜ!!あのときの・・」 「まりさの得意なことは?」 まりさの素性を肝心なところだけ聞く。 まりさのお気に入りの場所や、得意なこと、大事な宝物といった内容も聞いた。 それを簡単にメモする。 5分ほどまりさと話をした。 れいむのいる部屋にまりさを連れて戻る。 れいむはソファーの上でのん気に眠っているようだ。 れいむの頬を強くつねって起こしてやる。れいむに対して行った初めての体罰だ。 「ゆぃ!いだいよ゛!!!おにいさんはそんならんぼうなことしないんだよ!!どうじでれいむをゆっくりさせてくれないの!?」 「さてこれから、れいむがどのくらいまりさのことを好きなのか試させてもらう。」 用意した透明な水槽へまりさを入れる。 「ここからはやくだすんだぜ!!ここはせまくてゆっくりできないんだぜ!!!」 「まりさをはやくだしてあげてね!!これじゃまりさがゆっくりできないよ!!」 「すぐにゆっくりできるさ。さて実験の説明をしよう。 これかられいむに10問ほど、まりさに関する質問をする。 それに答えることで、れいむがまりさのことをどれだけ理解しているのかが分かる。 10問中、5問以上正解できればここをお前たちの家にしてもいい。それが今回の賞品だ。 ただし1問ずつ間違えるごとに、お前たちに厳しいおしおきをする。 それぐらいの罰が無いと、れいむがまりさのことをどれくらい本気で想っているのか分からないからな。」 「なんでもきいてね!!れいむはまりさのことならなんでもわかるよ!!」 「れいむはたのもしいんだぜ!!まりさたちのあいはしんじつなんだぜ!!!」 「オッケー、なら1問目だ。まりさの大好きな食べ物は?」 「まりさはあ・・・・・」 そこで水槽にふたをする。まりさが答えては意味がない。 ふたをすることで、まりさの声が聞こえなくなった。 「まりさはあまあまさんがだいすきなんだよ!!」 「正解だ。」 こうして実験が始まった。 まりさを閉じ込めている水槽のふたを外してやる。 すると、中から元気なまりさの声が聞こえてきた。 「ここからはやくだすんだぜ!!!」 「やったよまりさ!れいむはせいかいしたよ!!れいむはまりさのことならなんでもわかるんだよ!!!」 「れいむはえらいんだぜ!!これでまりさはれいむたちといっしょにこのおうちにすめるんだぜ!!!」 それ以上の会話をさせないよう、すぐに水槽のふたを閉める。 「さて2問目だ。まりさはどこでれいむと出合った?」 「ゆ!おはなさんがいっぱいあるところだよ!!」 「正解だ。」 水槽のふたを開けてやる。 れいむとまりさはお互いを褒めあっている。 そして、まりさがどこに住んでいたかという3問目の質問にも、れいむは簡単に正解する。 「さて4問目だ。まりさのお気に入りの場所は?」 「まりさのゆっくりできるばしょは・・・・きのかげなんだよ!!!」 「不正解だ。」 「どぼぢでぞんな゛ごどい゛う゛の゛ぉおおおおおおおお!!!」 水槽のふたを開ける。そして同じ質問をまりさにしてみる。 「まりさはおはなさんがあるところがすきなんだぜ!!れいむはとうぜんしってるんだぜ!!!」 「ゆ?まりさはきのかげがすきなんじゃないの??」 「ゆ??まりさはおはなさんのあるところが・・・」 そこでふたをする。 「さて、不正解だったからおしおきをしてやらないとな。」 「どう゛じで!!!まりさはきのかげがすきなんだよ!!!」 「でも、まりさは花のある場所が好きだって言ったしな。さて執行だ。」 「ゆうう!!まりさはきのかげがすきなんだよ!!!!!!」 れいむは、自分が正しいと何度も訴える。だが不正解はくつがえらない。 じたばたするれいむのほうに手を近づける。 「ゆ!!!れいむはいたいいたいさんはいやなんだよ!!ゆっくりできないんだよ!!」 「安心しろ、れいむは痛くない。」 プチっという音が2回ほど聞こえた。 れいむは目をつぶっていたが、痛みが来ないので拍子抜けしたようだ。 「ゆゆ!!ぜんぜんいたくないんだよ!!おにいさんはれいむにきがいをくわえられないんだよ!!!」 「そうかな?まりさを見てみろ。」 れいむはまりさの方をぱっと向く。 水槽の中のまりさは涙を流し、何か叫んでいるようだ。 「ゆゆ!まりさどうしたの???おにいさんになにかいたいいたいことされたの??」 水槽の中のまりさが何を言っているのか、れいむには分からないようだ。 「どうした?まりさのことなら何でも分かるんじゃなかったのか?5問目だ。まりさが今、何を言ってるか分かるか?」 「まりさはきっとおにいさんにいたいいたいことをされたんだよ!!そんなおにいさんはせいっさいするよ!!!」 「残念、それは違う。さて間違えたお仕置きだ、続けて執行する。」 ニチっ ピチっ 「どぼぢでぇえええ!!!まりさにきいてみないとわからないんだよ!!」 「あれ、まりさのことならなんでも分かるって言ってたのにそれかよ・・・はは、仕方ないな。ふたを開けてやるよ。」 水槽のふたをあける。すると、まりさの悲痛な叫び声が聞こえてきた。 「ゆぁああああ!!!まりさたちのおちびちゃんがぁあああああああ!!!」 「ゆゆ?おちびちゃんがどうしたのまりさ?」 れいむは自分の頭についている蔦を見る。 そこには、足を潰されてのたうちまわる実ゆっくりが4匹くっついていた。 4匹は体をブルブルと震わせ、その顔は苦悶の表情に満ちている。 「ゆぁああああれいむのおちびちゃんがぁああああああああ!!!!」 「やっとまりさの言いたいことが分かったか。れいむは案外、鈍いんだな。」 これからのゆん生に希望を持ち、誕生の瞬間を胎動しながら今か今かと待ち続けていた実ゆっくりだったが、既にその足が失われている。 無事に生まれてきたとしても、歩くことはできないだろう。 実ゆっくりたちは何も悪いことをしていない。 普通のゆっくりならばその理不尽さに憤慨し、加害者を罵倒するだろう。 しかし、実ゆっくりたちはどんなに苦痛を感じていても、泣き叫ぶことができない。 生まれ落ちるまで、実ゆっくりはしゃべることができないのだ。 実ゆっくりたちが、どれほどの苦痛を感じているのかは分からない。 だが、その苦々しい表情を見る限り、とても苦しそうだということは何となく分かる。 れいむが事態を把握したのを確認してから、まりさの入った水槽のふたを閉める。 れいむとまりさは、歯ぎしりをして悔しさをあらわにしている。 そんなれいむの頭にポンポンと手をあててやる。 「れいむは所詮、まりさのことなんか何も分かってなかったってわけだ。」 「おにいさんはどう゛じでごんなごどするの????これじゃおちびちゃんはゆっくりできないんだよぉ!!!!」 「うん、そうだな。足が潰れた子供はゆっくりできないな。だが俺は約束どおり、答えを間違えたお前におしおきをしただけだ。」 「ぞん゛な゛ぁあああああ!!おにいさんはやくそくをやぶったんだよ!!れいむのおちびちゃんをゆっくりさせてくれるやくそくなんだよ!!!」 「おい、俺がいつそんなこと言った?俺はそんなこと言った覚えはないぞ。」 「ゆ!うそはダメだよ!!!おにいさんにはれいむのおちびちゃんをみせてあげたんだよ!! だからおにいさんはおちびちゃんたちをゆっくりさせてくれることになったんだよ!!!」 「そうか。俺に実ゆっくりを見せたから、俺は子作りに協力する必要があると考えてるわけだな・・・・ ふざけるな。それがまかり通るなら、この先は言ったもの勝ちになる。それでいいんだな?よし。 れいむは自分の頭についている子供に危害を加えちゃいけないとは言ってないよな?だから俺は実ゆっくりの足を潰した。」 「ゆ!!どうちて・・・」 「れいむはこの5日間、家に帰って来なかった。つまり、この家から出て行ったということだ。だからここはお前の家ではない。」 「どぼぢでぞんな゛ごど・・・」 「れいむは毎日三食の餌が欲しいとは言ってないよな?ならこれからは餌をやらない。 まりさと一緒になりたいと俺に言ってないよな?なら一緒にさせない。 自分たちを痛めつけちゃいけないと言ってないよな?ならこれからお前らを痛めつける。」 「れいむのはなしをきいてね!!!」 「いや、聞かない。5日ぶりに家に帰ってきたとき、お前は俺の話を全く聞かなかった。 それどころか自分の都合のいいように解釈して、ここをまりさと自分だけの家にしようとした。」 「ゆ!れいむがかんがえたことはぜんぶそのとおりになるんだよ!! だかられいむがかんがえたことには、おにいさんもしたがわないといけないんだよ!! れいむはおうちでおぎょうぎよくするやくそくをまもってるから おにいさんもれいむにかんよしちゃいけないっていうやくそくをまもらないといけないんだよ!!!」 「そこだ。れいむの根本的な間違いはそこだ。 関与についての考え方も違うが、まず、お前は別の約束を破っている。 子供を勝手に作ってはいけないという約束だ。それを棚にあげたら、お前の話は全く説得力がなくなる。 それ以前に、れいむが思っていることが現実にその通りになる・・・・か。 ・・・んなわけないだろ。俺は俺の考えを持っている。まりさはまりさの考えを持っている。 れいむはれいむの考えを持っている。自分が考えていることは言葉で相手に伝えないと分からない。 例えそれが相手に伝わったとしても、それぞれが自分の考えを持っているんだから、 れいむの望む通りに相手が動くとは限らない。そうだろ?」 「れいむはまりさのかんがえてることならなんでもわかるんだよ!!!れいむがかんがえてることは おにいさんもしたがわないといけないんだよ!!!いいかげんなことをいうおにいさんはゲスだよ!!!」 「そうか、そう言い張るなら実験を続行だ。今、まりさが考えていることを当ててみるといい。それが6問目だ。」 水槽の中のまりさは不思議そうな目をしている。 「わかったんだよ!!まりさはせまいせまいっていってるんだよ!!!そうきこえたんだよ!!!」 「そうか、じゃあふたを開けてみるぞ。」 ふたを開けるとまりさの声が聞こえてくる。 「れいむはどこにいったんだぜ!?にんげんはれいむをかくしちゃだめなんだぜ!!とっととれいむをみせるんだぜ!!!」 「ゆ?れいむはここにいるよ!!まりさはおめめがみえないの?」 「ゆゆ?しらないゆっくりがいるんだぜ。しらないゆっくりはとっととどこかいくんだぜ!!!」 「どぼぢでぞんな゛ごどい゛う゛のぉおおおおおおおお!!!!れいむはれいむだよ!!!」 「ゆ?なにいってるんだぜ。れいむはきれいなおかざ・・・・」 そこでふたを閉める。 「これでまりさの考えていることが分かっただろ。まりさはお前のことを知らないんだとさ。」 「そんなことないんだよ!!まりさはそんなこといわないんだよ!!!」 「あれはまさしくまりさだ。ただ、お前のことが分からないようだがな。さて3回目のおしおきだ、次はこの飾りを破るとするか。」 「・・・・ゆゆ!それはれいむのおかざりさん!!どうじでおにいさんがもってるの???」 「知らないよ、なんでだろうね。れいむの超能力で当ててみたらどうだ?」 手に持ったお飾りをビリビリと破く。これで二度と、まりさはれいむのことを認識できないだろう。 「ゆぁあああああ!!!れいむのおかざりさんがぁああああああ!!!!」 「さて7問目。今まりさは何を考えているか。」 「ゆうう!!!まりさはれいむのことをかわいそうだとおもってるんだよ!!!」 「そうかそうか、それは涙ぐましい話だ。それではふたを開けるとするか」 サッ 「とっととここからだすんだぜ!!それとへんなゆっくりはとっとときえるんだぜ!!!ここはれいむとまりさのおうちなんだぜ!!!」 「ゆっ、まりさどうしたの!?」 「きやすくはなしかけるなだぜ!!まりさとおはなししていいのはれいむだけなんだぜ!!!」 「れいむはれいむだよ!!まりさはおめめがみえないの??」 「さて7問目も不正解だったな。それでは遠慮なく・・・」 「ゆ?なにを・・ゆゆ!れいむのおちびちゃんをつれていかないでね!!」 れいむの頭についている蔦を引きちぎり、まりさのいる水槽の中に入れてやる。 蔦には足のつぶれた実ゆっくりが4匹ついている。 「ゆ!へんなゆっくりのこどもだよ!!ゆっくりできないこどもはとっととしんでいってね!!!」 プチっ プチっ プチっ プチっ 「あああああ!!!れいむのおちびちゃんがぁああああああああああああ!!!!」 「いいきみなんだぜ!!れいむとまりさのおうちにかってにはいってくるからなんだぜ!!!」 「どうしてまりさはれいむのおちびちゃんをころしたのぉおおおおおお!!!!」 そこでふたを閉める。 「8問目。まりさはなんでれいむの子供を殺したのでしょうか?」 「そんなのわからないんだよぉおおおお!!!」 「ハイ残念、これで5問連続で不正解だ。残りの2問を正解しないと、ここをお前たちの家にすることができないぞ。」 「どうぢでまりさはおチビちゃんをころしたのぉおおおおおお!!!!」 「まりさのことなら何でも分かるんじゃなかったのか?まぁいいや、おしおきだ。」 水槽の前に立ちはだかり、れいむからまりさの姿が見えなくなるようにする。 それから水槽のふたを取り、中にいるまりさの帽子を奪う。 「ゆ!!まりさのおぼうしをかえすんだぜ!!!」 それから水槽の中のまりさとれいむを対面させてやる。 「ゆゆ?しらないまりさがいるよ!ここはれいむとまりさのおうちだよ!!しらないまりさはとっととここからでていってね!!!」 「ゆ!ここはれいむとまりさのおうちなんだぜ!!!しらないれいむこそとっととでていくんだぜ!!!」 「さて9問目だ。今、れいむの好きなまりさはどこで何を考えているでしょう?」 「ゆ!まりさはここにいるんだぜ!!」 「ゆ!まりさはここにいないんだよ!!」 「不正解。6問不正解だったから、次の質問に正解しても賞品はあげられないな。そしておしおきだ。」 おしおきとして、まりさの入っている水槽にれいむを入れる。 途端に、お飾りのついていない2匹はお互いを警戒し始めた。 「10問目、まりさに関する最後の質問だ。まりさは本当にれいむを愛していたか?」 「ゆ!まりさはれいむのことがすきなんだよ!!!だからはやくまりさをみせてほしいんだよ!!!」 「まりさはれいむのことがだいすきなんだぜ!!!だからはやくれいむをみせるんだぜ!!!」 「正解だ。まりさは本当にれいむのことを愛してたんだな。」 「とうぜんなんだぜ!!だかられいむをはやくみせるんだぜ!!それとゆっくりできないれいむはとっととしんでね!!」 「ゆ!!ゆっくりできないまりさこそとっととしんでね!!!」 2匹が水槽の中で罵り合い、殺し合いを始める。 れいむとまりさの力は互角らしく、両者一歩も譲らない。 2匹はしばらく水槽の中で争いを続ける。 一瞬、まりさが油断した。そこへ上かられいむがのしかかった。 あとは一方的にれいむが攻撃を繰り返す。 れいむの一方的な攻撃によって、 まりさは餡子の塊になってしまったようだ。 そこで、まりさだった塊に帽子をかぶせてやる。 「ゆうっ、ゆうっ、ゆゆ!!まりさどう゛ぢで・・・・ゆうう、おにいさんがまりさをころしたんだね!!れいむはぜったいにゆるさないよ!!」 「なるほどなるほど、確かに俺が殺したようなもんだな。でも実際はお前が手を下した。所詮、お前たちの愛はその程度だったということだ。」 「そんなことないよ!!れいむはまりさのことがだいすきだったんだよ!!!どうじてまりさをころしたの????」 「お前のことを愛していて、そして途中でお前を嫌いになった。気持ちが中途半端だったから、お前の好きなまりさを殺したのさ。」 「そんなことないよ!!まりさはさいごまでれいむのことがだいすきだったんだよ!!!」 「いや、まりさの心境じゃない。それは俺の心境だ。 11問目。今、俺が何を考えているか当てられるものなら当ててみろ。」 おにいさんの目に涙が浮かんでいる。 おにいさんはれいむのことを愛でていたのだ。 家の中でお行儀よくしてくれて、自分になついてくれるれいむに対して深い愛情を注いでいた。 のびのびと育てるために、れいむを自由に外出させ、そのかわり野良ゆっくりと子供を作ってはいけないという約束をした。 しかしその約束を反故にされ、おまけにおにいさんのことが嫌いだとれいむに言われた。 おにいさんのショックは大きい。 れいむは、そんなおにいさんの気持ちを全く察していないようだ。 ただ自分勝手に、自分に都合のいいように物事を考えている。 飼い始めてからずっと、おにいさんとれいむの心がすれ違っていたのだ。 「ゆ!まりさをころしたおにいさんはだいきらいなんだよ!!!とっととしんでね!!!」 「そうか残念だ。俺の気持ちが分からないれいむには、おしおきをしなければならないな。」 ギュッ 「いちゃいよぉおおおお!!!れいむのほっぺをつねらないでね!!!」 メチメチ 「ゆぎゃっ、ゆぎゃぁああああああ!!!」 ブチブチブチ 「しんじゃうよぉおおおお!!!おにいさんやめてね!!!!」 クチャッ、クチャッ 「ゆああああぁぁれいむのあんこがぁあああああ!!ゆっ、ゆ゛ぎゃっ、ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛ぎいいい、ゆ゛っ、」 「苦しいか??れいむ、苦しいか????だがお前に裏切られた俺の心は、もっともっと苦しいんだ。」 れいむはまりさのことなら何でも分かると言っていたが、本当はまりさのことを何も分かっていなかった。 お飾りの無くなったまりさを認識することさえもできなかった。 まりさはれいむのことが大好きだったが、お飾りの無いれいむが大嫌いになった。 れいむとの間にできた大事な大事な子供も、いとも簡単に殺してしまった。 そして俺はれいむのことが大好きだったが、最後にはれいむを痛めつけてしまった。 家を離れている間、れいむは心のお飾りをどこかに置き忘れてきたのかもしれない。 俺は、心のお飾りを無くして帰ってきたれいむを、いつものれいむだと認識できなくなってしまったようだ。 本当の愛ならば、例えお飾りが無くても、話し方や仕草で愛するものを認識できるはずである。 お飾りが無くなると、途端に相手を認識できなくなってしまう程度の愛、それは上っ面の愛情でしかないのだ。 みんなそれぞれ愛を持って、大好きな相手と接していた。 だがそれは結局のところ、 それなりの愛だったというわけだ。 いや・・・・・・ちがう よく考えたら、好きという言葉と愛という言葉はイコールではない。 ・・・とうとう分かった。愛が何なのか分かった。 倫理的な良し悪しに関わらず、 愛とは、お互いの気持ちが一致することだ。 「ゆ゛っ・・・・ゆ゛っ・・・・・いちゃい・・・ゆ゛っ・・・・・ゆ゛っぐりぢだいよ゛・・・・・・」 れいむが苦しんでいるのを理解しながら、餡子の中身をぐちゅぐちゅと掻き回し、れいむを思う存分苦しませる。 「れいむ、大嫌いだよ。」 「ゆ゛っ・・・お・にい・さ・ん・・・き・らい・だ・よ・・・」 俺とれいむの心が初めて一つになる。 相手を殺したいほど、 俺はれいむのことを大嫌いになり、 れいむは俺のことを大嫌いになった。 これでやっと、れいむとの間にできていた溝が埋まった。 その瞬間、心の苦しみから解放された。 「お・・・に・い・・さん・・は・・・し・・・・・・ね・・・」 「それは叶わない、しぬのはお前だ。あの世で反省してくるんだ。」 「ゆ゛っ・・・・・・・・」 れいむの表情が急に変わった。 「お・ち・・び・・・ちゃ・・ん・・・ま・・・り・・・さ・・・・ご・め・・ん・・・・ね・・・ お・・・に・・い・さ・・・ん・・・ご・・・め・・ん・・・な・・・さ・・・い・・・・・・・」 「れいむ、最期に謝るのは間違ってるぞ。れいむの謝罪は、今の俺にはただの命乞いにしか聞こえない・・・」 れいむは返事をしない。 部屋の中には、5つのゆっくりの死骸が残った。そして、 オレンジージュースをかけられて生き残ったれいむが、今後もおにいさんに飼われることになった。 それからおにいさんは毎日、死なない程度にれいむを虐待している。 れいむもおにいさんに対して毎日、暴言を吐き続けている。 おにいさんは、れいむのことをとても愛でているのだ 鉄籠あき 過去の作品 anko1922 鉄籠 anko1941 野良まりさたちの行く末 anko1951 ゆっくりの住む牧場 anko1968 正義感 anko1973 あんころ草 anko1993 50% anko2013 カウンセリング anko2024 カレーの作り方 anko2047 露店のゆっくり anko2059 ゆっくりおばさんの船旅 anko2085 赤ゆ合戦 anko2107 たこつぼ anko2120 線香台 anko2187 生きる anko2207 野良ゆをゆっくりさせない工夫
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季節は冬。 ぶっちゃけ寒い。 深夜に吹き荒れる肌を刺すような冷たい突風は、暖かい毛皮を着込んだ人間でさえも根をあげる。 そんな凍てつく大地に住み着く現代日本の裸族、その名はゆっくり。 桃色の柔肌を惜しげもなくさらけ出して記録的氷点下に立ち向かう命知らず。 その過酷な運命に挑み続ける勇敢な姿に全世界が泣いた。 「…れいむ、野良はああなるんだぞ? 飼いゆで良かったな」 「ぶるぶるぶるっ!? こわいよ! かちかちだよっ!?」 お兄さんが指し示す方向には、大きな冷凍饅頭が転がっていた。 ボロボロの黒い帽子を被ったゆっくり。 全身にはうっすらと雪が積もり、眼を開いたままの汚い表情で固まっている。 パリパリになった生気の欠片も残らない体皮は、今にも粉々に崩れてしまいそうだ。 黒帽子のゆっくりは、完全にぽっくりしていた。 「あれって美味いのかな? どう思う?」 「れいむにきかれてもこまるよっ!?」 右手にぶら下げているキャリーバック。 その中に入っていたれいむが悲鳴をあげる。 こいつは同属を食べる趣味は無いらしい。 非常に残念だ。 「踏んだら、パリパリして気持ちよさそう…」 「やめてねっ!? そんなひどいことはしないでね!!」 早朝の寒い気温で道端に出来た霜や、水溜りに張った薄氷を潰していた古き記憶を思い出す。 長靴が汚れていくのも気にせず、躍起になって踏み潰していたなー。 あの時、俺も若かった。 「踏まないよ」 「ゆ? ゆっくりあんしんしたよっ!!」 「どうせ、饅頭中心はグズグズだろ? 靴が汚れる」 「そんなりゆうだったのっ!?」 バイトで買った靴をこんな事で汚したくない。 せめて、安い靴を履いていれば迷わす実行していた。 俺の運は悪いと言わざるをえない。 「早く店にいくか。寒いだろ?」 「ゆん! さむいよ!! でも、あのまりさたちを、ゆっくりたすけてあげてほし……ゆ? ゆゆ? なぜか、あるくすぴ~どがはやくなったよ!?」 早足で歩道を進む。 れいむの訴えを、俺は知らん顔をしながら受け流す。 あんな死に様を迎えた野良はどこにでも転がっている。 いちいち助けてたらキリが無い。 俺は目的の場所へと速やかに移動した。 『『 いらっしゃいませーっ! 』』 店員の挨拶が広い売り場に響く。 ここは、ゆっくりの衣料専門店。 最近、ゆっくり達の健康のために、洋服を着せることが流行っているらしい 雑誌で特集を組まれていた記事を参考に、俺も飼いゆの洋服を購入してみる事にした。 「いっぱいあるな……これ全部ゆっくり用かよ」 「ゆ! ゆゆ! ゆゆゆっ!? すごいよっ!! とってもゆっくりできるよ!!」 最初に驚かされたのは、所狭しと並べられたその圧倒的な品数だ。 体に着る洋服だけだと思ったら、帽子やアクセサリーなど幅広く扱っている。 雑誌広告に乗っていた情報からすると、この店はある系列の傘下にあたる中型店舗となっていた。 その中規模系列の品数がこんなにあるのか? 本店はもっと大きいんだろ? どの位儲けがあるんだ? 俺は口をあんぐりと開けながら、頭の中で疑問を反芻していた。 キャリーバックに入っていたれいむは、綺麗なお洋服にハイテンション状態。 見た事も無い膨大な数の商品に息を荒く吐き出す。 『店内にゆっくりを歩かせても大丈夫ですよ』 そう店員から告げられたので、半放心状態だった俺は、何気なくれいむをバックから出してしまう。 …だけど、それは後悔を招く結果となる。 「うわーっ? これ五千円もするのかよ!? この構造だと、うんうん漏らしたら一発アウトだしっ!! 見た目はオムツを履かせてるみたいだな……」 「おにいさん!」 「うおっ!? でたよ、三万八千円!! なんなんだ……このふかふかの毛皮はっ!? ありえない!! これがあれば、ゆっくりなんてイラネェよっ!!」 「おにいさんってばっ!!」 「なんだよ!? 一体、どうし…た……」 「れいむこれにきめたっ!!」 何ということでしょう。 俺が視線を下に向けると、そこにはドレスアップしたれいむの姿がっ! 以前は冴えない風貌だった糞饅頭が、見違えるような良饅頭へと早代わり。 真っ白なフリルが付いたドレスの裾を、ずーりずーりと床に引きずりながら、俺にゆっくりと近づいてくる。 頭に乗せていたティアラを、ゴドンと足元に落とした挙句、ビリビリと純白のドレスが破れ…、 「……っおまっ゛? なにしとんじゃああああああっ゛!?」 「ゆぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶっ゛!?」 れいむをベアクローで持ち上げる。 「おい……れいむくん。キミは何をやっているのかな?」 「やべでねっ!! ながみがでじゃうよっ!?」 脳内が高速で動き出す。 なかなか高級そうなドレスだった。 さぞかし、お高いのだろうか? もう、困ったなこのれいむは。 こいつ、何匹分で元がとれるのかなー。 俺は最適な弁償方法を模索していた。 れいむの丸い体に、指先がギリギリと食い込んでいく。 「お、お客様っ!?」 そんな修羅場な現状の最中、勇気ある店員が仲裁に入る。 俺はれいむの顔面にベアクローを決めながら、店員さんが話す事のあらましを聞いた まず、このドレスとティアラはいくら汚しても問題ないらしい。 その後店員さんは、かなり焦りながら詳しい説明してくれた。 要点を拾い上げてまとめると、こういう事を伝えたかったらしい。 お客様に内緒でドレスを着せて、 以前とは見違えるような綺麗なれいむに、ゆっくりしまくる飼い主の未来を予測した店員さん。 現実には、れいむを鷲掴みにして握り潰す一歩手前までに追い詰めた悪魔の姿。 店内話題騒然。どうしてこうなった? そういう顛末だったらしい。 しかし、俺は突っ込みを入れたかった。 店側が催したサプライズの仕方が悪いと思う。 誰でも弁償の二文字が頭に浮かぶのは当然だと感じるのだが? でも、ここは素直に謝っておくか。 来た早々に追い出されては適わない。 そういう事にしておこう。 「えーと、色々とスイマセンでした」 「ゆぶぶぶ……なんか、きもちよくなってきたよ?」 「ハイッ! こちらも説明不足の不手際でご迷惑をお掛けして、申し訳ありませんでしたっ!! それで、あのっ! ベアクローを止めてほしいのですが!?」 にょい~んと、体を伸ばしながら脱力させているれいむを、俺は慌てて放した。 床に転がるれいむを指で突っつく。 反応無し。 これは……ヤバイ? その状況を正確に判断した店員さんは、直ぐに栄養剤を持ってきてくれた。 瀕死のれいむに投与する。 これだけ深刻なダメージを受けたゆっくりが、果たして助かるのだろうか? 「ゆっ! ふっかつだよっ!! かわいくてごめんねっ!?」 目に生気が戻ったれいむは咆哮をあげながら立ち上がる。 まさに不死鳥。 ここが自宅ならば、地獄めぐりツアー決定だった。 「それでは、ごゆっくり店内をご覧ください……」 少々疲れたご様子で立ち去っていく店員さん。 すっごく気まずい。 商品を購入して、好感度アップ作戦を実行しよう。 そう。俺は自他共に認めるチキンなのだ。 「よし! 何か買うぞ!?」 「ゆん! れいむあれがいいなっ!?」 れいむがおねだりしたのは、三万八千円のコート。 直後、れいむの頭上が陥没した。 お買い得コーナーで商品を選ぶ。 俺は掘り出し物を探すのが、何よりも得意なのだ。 「これはどうだ?」 「……なかなかゆっくりできるかもね」 「それなら、これは?」 「……いいんじゃないでしょうか」 れいむは目を空ろにしながら、俺に片言で返答をしている。 さっき叩いたダメージが原因という訳ではなく、これは完全にふて腐れているのだろう。 「機嫌直せよ」 「れいむは、きげん、わるくない、よ?」 口を尖らせて拗ねるれいむ。 「選んだ服の何が気に入らないんだ?」 頭を叩いた後、涙目で拗ねていたれいむ。 やりすぎだと反省した俺は、お詫びにお菓子を買ってあげる約束した。 その後は、凄くご機嫌さんだったのに……。 服を選び始めてから、段々とれいむの顔から笑顔が消えていった。 お菓子に続いて洋服も買ってあげるんだから、何も悪いところは無いはずなんだが? 「なぜだ…? 一体、俺のどこがいけないというのだ!?」 「ぜんぶだよっ!?」 ミニスカートれいむは大声で全てを否定した。 れいむは腰をフリフリ、お尻をチラチラ見せながら涙を流す。 お兄さんが、先程から選ぶ洋服のセンスは最悪の一言。 大きな扇が開き、ゆっくりできない文字が書いている奇抜な服。 ギラギラと無駄に光り輝く悪趣味な服。 そして、この寒い季節にミニスカートと来たもんだ! れいむ、こんなんじゃ、ゆっくりおふゆをこせないよっ!? 「よーくかんがえてねっ!? れいむのおもいをかんじてねっ!?」 「え~っ……そんな高度な要求をされても…」 嫌そうな顔をするお兄さん。 そんなにれいむの熱い思いを理解するのは難しいのだろうか? 違うっ! そんな事はないっ!! れいむはがんばるよっ!! 「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆっ!?」 れいむは目力を強めながら、お兄さんに向けて念を飛ばす。 目の前にいるれいむは、瞼を大きく見開き何かを訴えてくる。 せり出す二つの眼球部分。 過去に経験したような懐かしい眼差し。 その時、何故か奇跡的にれいむの願いを理解した。 そうかっ! これは、欲しい物を見つめている子供の瞳だ!! この目線の先にれいむが求める商品があるんだな!! ゆっくり理解したぜっ! うん……それがどんなものでも買ってあげよう。 俺があの時買って貰えなかった物をれいむに与える。 そうだな……それもいいだろう。 「どれどれ?」 俺はれいむが求めるプレゼントを確認する。 「……なんてこった…れいむ、チョイスが渋いぜっ!?」 直ぐにれいむを抱えて試着室へと向かった。 赤いリボンを髪に束ねた基本種。 長い黒髪は直毛で、左右にあるぴこぴこ部分が特徴的。 肌は健康そうな薄ピンク色をしていて、掌で撫でてみるとぷにぷにとした触感で気持ち良い。 可愛いれいむが、?キリッ!!?とした顔で笑みを浮かべた。 ぽっこりお腹に巻かれたお兄さんの愛が込められたプレゼント。 それは、真紅に染めあげられた、ふんどしだった。 「れいむ、似合うぞっ!」 「とても素敵だと思います!!」 「うそつけええええええっ゛!? ありえないでしょおおおおおおっ゛!!」 俺と店員さんは、凛々しい赤ふんれいむを大絶賛。 れいむは大きな鏡でふんどし姿を認識した後、大きな叫び声を店内に響かせた。 「捻り鉢巻も似合うな! これも追加で!!」 「お買い上げありがとうございますっ!!」 「やめてねっ!? やめてねっ!!」 そんなに遠慮しなくていいのに。 こうなったらトコトンだ! 俺はそう決めた時には、金に糸目をつけない男だぜっ!! 「色違いふんどしも三つ追加!!」 「はいっ!」 「やめてええええええええええええっ゛!?」 れいむは喜びの涙を流していた。 「なんでそんなに不機嫌なんだよ?」 「ふきげん、じゃ、ないもんっ」 店を後にした俺はれいむに呼びかける。 赤いふんどしを体に巻きながら、ぶすっと、頬を膨らましたままなのだ。 何がそんなに気に入らないのだろうか? 「なかなか実用的でいいと思うけどなー?」 「ゆ? どういうことなの?」 ちらりと視線を上に向けたれいむ。 俺はれいむと目を合わせながら静かに語る。 「このふんどし。お肌に優しい材質で出来ていて、ぴったりと肌に馴染じむその着心地は悪くないはずだ」 「ゆん?……たしかに、ぺにぺにがきゅっ! となって、わるいきぶんではないよ」 「外出に良し、パジャマ代わりにも良し、汚れても洗いやすいの清潔使用」 「ゆっ! おもらしーしーや、いねむりうんうんでよごれても、だいじょうぶなんだね!?」 「例え、厳しい寒気が訪れても、先程購入したこれを羽織れば問題ない!!」 「ゆーん!! おにいさんはよういしゅうとうだねっ! ゆっくりできるよっ!!」 追加ふんどしと同時購入した紋付袴。 これは安売りコーナーで見つけた掘り出し物だ。 中に綿が詰め込まれているから保温性にも優れている。 良い買い物をしたぜっ! 俺の掌の上でコーディネートされたれいむは、?ゆじゃ~ん!!?と、大きくお腹を反らせながら満面の笑み。 頭には捻り鉢巻、紋付袴を体に羽織り、赤いふんどしが寒風に靡いてパタパタと揺れている。 その珍妙な格好で、自信満々にえびぞりポーズをしていたれいむを見ていた俺は、ついつい余計な一言を呟いてしまった。 「お祭り?」 「……ゆはっ!?」 れいむが凍った。 道端に落ちている野良よりも、悲痛な顔を浮かべながらの硬直状態。 その後、れいむはギギギギと鳴り響くような動きをしながら、俺の方へと顔を向けてくる。 「どう、いう、こと、なの?」 これは中々の迫力。 俺は、さっと目線を反らす。 俺達の周辺では、奇怪な格好をした赤ふんれいむ。 もとい、お祭りれいむに奇異な視線が集まっているのが感じ取れた。 なんとなく人が集まってきているような…? 気がする。 「…ま、まあ、あれだ、えーと…、 ……そうだっ!! 約束したよな!? お菓子、お菓子買ってやるよ!!」 「おかしはあとでいいよ!? ゆっくりきがえさせてねっ!!」 両手の上で暴れるれいむ。 落とさないようにしっかりと掴みながら、俺達は製菓店へと入る。 扉を開けて入店した後、確実に店内の空気が変わった。 全ての視線がお祭りれいむに集中する。 この時の事件について、後に頭を抱えながら思い出すと、確かにお客が何事かと警戒するのも無理もない話だ。 完璧に怪しすぎるれいむのスタイル。 どこかで祭りをやっているのかと、窓の外を確信した客も居た。 でも、俺は完全に混乱中。 何故あんなに焦っていたのかは解らない。 初めてのお洋服を貶した罪悪感もあったのかもしれない。 ただ、れいむのご機嫌取りに夢中だった。 「ケーキ、ケーキ買ってやるよ!? それも二つ!! わー、れいむちゃん羨ましいなーっ!」 「やめっ……!? にんげんさんのおおいところはいやあああっ!! らめえええっ!? れいむをみないでえええええええええっ゛!!」 れいむはぴこぴこを器用に動かして目元を隠すが、腹に巻いた赤ふんはぴこぴこと靡いたままだった。 席に着いたれいむに向けられる了承を得たカメラのシャッター音。 終始、真っ赤な顔をしながら恥ずかしがって俯くれいむ。 俺が冷静な判断を取り戻し、れいむを着替えさせるまでの間、店内では賑やかなお祭り騒ぎが続いていた。 ・れいむにふんどしの素晴らしさを教える予定だったお話 ベアクローの後は優しさ全開 ・ふんどしで止めを刺すケツマクがぬる愛でに変化 元の原型はお兄さんが履いて人肌になったふんどしをゆっくりに巻きつけ…… いえ、何でもありません忘れてください ・一部、きっかけとなった既出絵のネタをお借りしました 過去作 ふたば系ゆっくりいじめ 638 ばうんてぃはんたー ふたば系ゆっくりいじめ 612 かってにはえてくる ふたば系ゆっくりいじめ 593 迷作劇場 ふたば系ゆっくりいじめ 572 ぎゃんぶらー ふたば系ゆっくりいじめ 507 火の用心 ふたば系ゆっくりいじめ 500 駄目だよ? ふたば系ゆっくりいじめ 458 ドゲスー ふたば系ゆっくりいじめ 449 希少種の価値 2 ふたば系ゆっくりいじめ 448 希少種の価値 1,5 ふたば系ゆっくりいじめ 443 希少種の価値 ふたば系ゆっくりいじめ 398 ゆっくり達を必殺技で葬る物語 ふたば系ゆっくりいじめ 382 穴だらけの計画とその代償 ・他、5点
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『れいむ、あかちゃんがほしいよ!!』 12KB いじめ 自業自得 飼いゆ 現代 突貫工事乙 「ということだからきょうからこのまりさもおうちにすむね!!!」 「めいっぱいゆっくりさせてもらうんだぜ!!ゆっくりしていってね!!!」 「何が『と、言うことだから』だ。小汚い野良なんぞ連れてきおってからに。」 いつものように、散歩に行ってたウチのれいむが玄関から呼ぶ声が聞こえたので迎えに行くと、余計なのが一つ付いて来てた。 肌も、髪の毛も、おさげも、目も、尻も、帽子も、ついでに性格も。何もかもが汚く見える野良まりさだ。 に、しても。こいつは何を言ってるのだろうか。 いや、言ってる意味はわかってるんだけどね? 急に何言っちゃってくれてんの、オマエ。ってことだ。 「野良ゆっくりと関わるなって、あれだけ口を酸っぱくして言ったよな?」 「うん!でもまりさはほかののらとはちがってかっこいいゆっくりだからべつにいいよね!!」 良くねーよ。言い訳にすらなってないじゃねーか。第一野良には変わりないだろ。 「ゆっふっふ…まりささまをそんじょそこらのやつといっしょにしてもらっちゃこまるのぜ。にんげんのめはふしあななのぜ?」 そう言われても、いくら目を擦ろうが俺の目の前にはきったねえまりさしかいない。っつーか、誰の目が節穴だ。アマギんぞ、コラ。 「子供は作っちゃ駄目だって、作らせる予定は無いって言ったよな? 去勢は怖いから嫌だって、お前が餡子吐く勢いで泣き喚くから仕方なく許してやったってのに…どういうことだ?」 「ゆゆっ!?とうっぜんっでしょぉぉ!?おちびちゃんがうめなくなるなんてじょうだんじゃないよ!! それにいくらいやがってても、いざおちびちゃんをみればおにいさんだってきっとめろめろになるはずだよ!まちがいないよ!」 だからならないっつーの。第一、俺の精神衛生上テメー一匹しか飼えないんだよ。 ただでさえれいむのせいでゆっくり自体が嫌いになりそうなところなのに、これ以上馬鹿が、しかも最終的に二匹も増えるなんて絶対ゴメンだ。 「ゆーん。それよりもおそとはさむいからそろそろおうちのなかでおはなしするのぜ。 まりささまはあまあまじゅーすとどらやきがたべたいんだぜ。ゆっくりよういしてね!!こうきゅうひんでいいよ!」 やかましいわ、肥溜めの中身でも飲んでろ。バキュームカーに突っ込むぞ、この糞袋。 ともかく、このままではいかん。より厳しく言い聞かせんと。 「あのなあ、この際だからハッキリ言っとくぞ。 俺は、お前らの子供なんぞ見たくもないし、そのきったねえまりさも要らん!帰ってもらえ!!」 「いやだよ!!!」 が、ハッキリと言われ返されてしまった。 「おにいさんがいらなくてもれいむにはまりさもあかちゃんもいるんだよ!! れいむはすっきりすればゆっくりできるしあかちゃんうんでもゆっくりできるんだよ!!! れいむはかいゆっくりなんだからゆっくりするのがおしごとなんだよ! ついでにおにいさんもゆっくりさせてあげるっていってるんだからだまっていうこときいてね!!」 ………ほー、ふーん、へー、そう来ましたか。 つまり、今まで俺が言ってきたことも、お前が言ってたことも、ぜ~んぶそっくりひっくるめて、お前は覚えてないと。 今までお前の我侭にも、頭の悪さにも我慢して付き合ってきたってのに、結局お前はその程度の認識しか持ってないのか。 よくも出会い頭に『これからおにいさんをゆっくりさせてあげるね!!』などと言ったもんだ。俺はついでってか。 その一言で数あるれいむの中からお前を飼うって決めたのに…俺はゆっくりごときに、ものの見事に騙されたって訳だ。 成る程。オーケーオーケー。そう言う事ならこっちにも考えがある。 「わかった。お前の好きにするがいいさ」 「ゆっ!ほんと!?やっぱりおにいさんははなしがわかるね!」 「いいからさっさとおうちにはいるんだぜ…。これからまりさのものになるおうちを、とくとはいけんさせてもらうんだぜ」 話がわかる?ああ。俺ほど話がわかる男も、そう居ないだろうさ。 「あー、それにしてもすごいなー、れいむは。 俺だったら、子供作ろうだなんてゆっくりしないこと、やる勇気ないもんなー」 話しがわかるついでに、一つお節介焼いてやるよ。 「ど、どういうこと…?あかちゃんはゆっくりできるんじゃないの?」 ほーら食いついてきた。お前を釣るなんぞ、超簡単。 「いーや?確かにお前にとっちゃ子供はゆっくりできるんだろうさ。 ただ、そのあかちゃんができるまでがな……もしかして、れいむ知らないのか?これから子供を産むってのに!?」 「な、な、なにをいってるの……?しんぱいになるでしょ!ゆっくりしないでおしえてね!!」 あえて大袈裟に煽ってやると、訝しげなまりさからの視線も気にせず、れいむはブルブル震えている。 随分とゆっくりしてないこったなぁ、オイ。 「しゃーねぇなあ、教えてやるよ。 …ゆっくりってのはな、妊娠するとゆっくりできなくなるんだぜ」 「ゆ、ゆぅぅぅぅ!!?そんなこときいたことないよぉ!にんっしんっはゆっくりできるってみんないってるよ! あかちゃんがぽんぽんのなかにいるとあんしんしてゆっくりできるってれいむしってるもん!うそつき!!」 「たしかに最後に、産み終えりゃそうなるだろうさ。 でもなあ、妊娠したばっかりってのは色々不安定なんだぞ? なにせ、お前の餡子を可愛いおちびちゃんに移さなきゃいけないんだ」 「あんこ……あんこ!?れいむのあんこを!!?」 「そうだよ。栄養として、餡子をお前の体から貰うのさ。 餡子を体の中から子供に吸い取られるってのは、どんな気分だろうなあ。れみりゃに吸われるより辛いのかねえ? なにせ、生まれるのは元気な元気なおちびちゃんだ。お前、餡子取られすぎて干からびちまうかもな」 「ゆえぇぇ!?れいむれみりゃにあんこすわれるのやだよ! …それよりもゆっくりできないの?そんなのぜったいやだ!!」 「嫌だって言っても、お前がそれを選んだんだからどうしようもないよなあ。 あ、そういやまりさがいるから、その分お前のメシ減っちまうな。たーいへんだぁ。こりゃますます死ぬ確立が増えるか?」 「まりさが…?まりさはれいむのごはんをとるの…?まりさはれいむがきらいなの…?」 「ゆっゆ~ん、ゆっくり~♪…ゆ?なにまりさをみてるんだぜ? もしかしてまりさのかっこよさにみとれてるんだぜ!?りりしくてごめんね!!!」 「まりさが…どうして……れいむしにたくないよぉ……」 よーしよし、いい感じに不安定になってきてるな。 「でもすっきりはまたあとにするんだぜ!すっきりはおうちのなかってまりささまはきめてるのぜ!!」 違う意味で(元から)不安定な馬鹿は放っておいて、もう一押しだ。 「おまけにそれだけじゃないんだな、これが」 「ゆぅぅぅぅぅ!!?まだあるのぉぉぉ!!?」 「そりゃそうだ。新しい命を一つ作るんだぞ?そんなに簡単でたまるかよ。 で、だ。それだけの事を我慢して子供が外に出てくるってなったその時! お前は死ぬほど痛い思いをすることになるだろう」 「ど、ど、ど、どぼじでぇぇぇぇ!!でいぶがんばっであがぢゃんうむよ!なのになんでぇぇぇ!!?」 恐怖のあまり、今度は歯をガチガチ鳴らしている。確か砂糖菓子で出来ているはずだが、砕けないのだろうか? 「いや、頑張るのは当然だろ。…ところで、お前が子供を産む時、どこから出てくる?」 「どこって…まむまむでしょ?それくらいしってるよ!」 「そう!それだよ!!お前のまむまむって子供がすんなり出て来れるほどでかいのか? もしそうでなかったら、お前は子供が生まれるまでまむまむが裂けそうなほどの痛みに耐えなきゃならんってことだ!!」 「ゆひぃぃぃぃぃぃ!!まむまむがいちゃいいちゃいになるのはゆっぐりできないぃぃぃぃ!!」 「ちなみに頭から生えてくる場合でも、生まれた後に茎を抜く時、餡子が根こそぎもってかれるほど痛いらしいぞ」 「ぴぃぃぃぃぃ!!あんこしゃんでていかないでもどっちぇきちぇねぇぇぇぇぇ!!!」 「ああ、でも、そこのまりさのぺにぺにがおちびちゃんよりでかけりゃ、先に広がるから痛くないかもな。 蔓形妊娠の場合はともかく、せめてもの救いってやつだ」 「ほ、ほんとっ?まりさっ!まりさのぺにぺにはおっきいの!?」 「ゆん?あったりまえだぜ!まりさのぺにぺにはれいぱーもまっさおになるほどおっきい!…と、おもってるんだぜ」 「ほんと!?じゃあおちびちゃんをうむとき、いたいいたいにならなくていいんだね!やったー!!」 「あ、でもそれじゃすっきりの時にすっげぇ痛いってことになるよな。 ハハッ、じゃあすっきりって全然気持ち良くないじゃん。むしろ駄目じゃん」 「ゆゆっ!?すっきりはすっごく気持ちよくてゆっくりできるっていっでだのにぃぃぃ!やだー!!!」 おー、取り乱しとる取り乱しとる。なんか段々楽しくなって来たなあ。 正直言って、俺がこいつを飼い始めてから今が一番ゆっくりできてるかもしれん。 「いやー、そんなにゆっくりできない思いをしてまで子供が産みたいなんて、ほんっと尊敬するよ。 お前の決心がそこまで硬いってんなら、もう俺も止めないから思う存分産んでくれ。……死ぬなよー」 「ゆぅぅぅぅ…おちびちゃんはゆっくりできるとおもったのにぃ…」 更に俺が煽ると、れいむは心配そうに、能天気にへったくそな歌を歌ってるまりさの方をチラチラ見ている。 …多分、パートナーからの心強い一言でも欲しいんだろう。あの突き抜け馬鹿にそんな気が利くとは思えんが… 「まりさぁ・・・」 「ゆ~ゆゆ~まりささま~はさいきょお~♪……ゆ?どうしたんだぜ?れいむ」 不安げにしているれいむを前にすっ呆けている。案の定、これまでの俺たちの話を八割も聞いてなかったみたいだ。 「れいむは…れいむは…すっきりが…おちびちゃんが……」 「・・・? ああ、そういうことかぜ!れいむ、あんしんするのぜ!」 が、思ったよりもまともな顔つきでれいむを見つめ返している。若干だけど、れいむも安堵したようだ。 「まりささまのぺにぺには、おちびちゃんなんてはなしにならない『ばずーか』なみなんだぜ!! れいむをまちがいなくてんごくにつれていってあげるから、たのしみにしておくのぜ!!!」 「・・・っ!! ゆあぁぁぁぁぁぁ!!でいぶじにだぐないぃぃぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!」 でも、やっぱり馬鹿だから駄目だった。 あーあ、何やってんだか。よりにもよって、最悪な台詞チョイスだ。 このタイミングでそんなこと言えば、違う意味に取られて当然だろうに。 「ゆがぁぁぁぁ!!ばでぃざはでていげ!!でいぶをごろぞうどずるばでぃざはででいげぇぇぇ゛ぇ゛!!!」 「ゆゆっ!?きゅうにどうしたんだぜ?もしかしてがまんできなかったのかぜ!?」 見事に地雷を踏み抜いたまりさが、更にれいむの怒りのボルテージを上げていく。 ・・・すげえな。傍から見て始めてわかるが、ゆっくりの煽りスキルってのはあんなに高いのか。 「じねっ!じねっ!!でいぶのがわりにじねぇぇぇ!!!」 「ぶっ!ゆぶぅっ!ど、どぼじでごんな、あばぁ!!」 そう言っている間にも、怒り狂ったれいむがまりさをぼっこぼこにしている。 おぉ、もみ上げで竜巻旋風脚。 「ゆひぃぃぃぃ!!もうこんなれいむはごめんなんだぜ!!いくらまりささまでもみがもたないのぜっ!! せっかくいっきにおうちとごはんとすっきりどうぐがみつかると『ぎえうせろくそばでぃざぁぁぁ!!』ゆひぃぃぃ!! いわれなくてもすたこらさっさなんだぜっ!!にげあしはやくてごめんねえええぇぇぇ………」 「…ゆはぁ…ゆはぁ……」 数分後、れいむはとうとうまりさを追い詰め、まりさはボロボロの体で出て行った。 それにしても凄まじい逃げ足だ。想像はしてたが、言ってることは最後までゲスそのものだったな…。 ま、それはともかくなかなか面白い見世物だった。こんなに楽しい気分になったのは久しぶりだ。 さーて、さっさと部屋に帰って次のを探さないとな。 「ま、まってね、おにいさん!!れいむもおさんぽおわりだよ!! もうおちびちゃんほしいだなんていわないからあんしんしてゆっくりさせてね!!」 「・・・は? 誰、お前」 「・・・ゆっ?」 「いやいやいや、俺、お前みたいなでいぶ知らないんだけど。どこから来たんだ?」 「な、なに、いってるの・・・?れいむは」 「はぁ?お前こそ何言ってんだよ。確かに俺はれいむ飼ってたけどさあ。 子供産むとか野良と一緒に暮らすとか、挙句の果てにゆっくりさせろとかクソ生意気なこと言うから、『捨てちゃった』」 「すてっ・・・え?そんな、うそだよね・・・?おにいさんははかわいいれいむを・・・」 「第一、好きにしろとは言ったけど、飼ってやるとも戻って来いとも一言だって言ってないしー。 おぉ、そういやお前、野良ゆっくりのくせにボロっちい銅バッジつけてるじゃん。 もしかして捨てゆっくりか?マナー悪りいなあ。『バッジはちゃんと取って、後腐れ無くしないとなあ』」 「ゆぎっ!!あ、あ、でいぶのばっじさんんんん!! まっで!かえじで!!それがないとでいぶ、みんなにちやほやじでもらえないよぉ!! のらにはなりだぐない!!おねがいだがらがえじでよぉぉぉぉぉ!!!」 「んなこと言われてもしらねーよっと。お前も元飼いゆっくりなら、培った知識でも披露してやればいいんじゃね? そうすりゃ万が一くらいの確立で、飼いゆっくりだったって証拠ぐらいにはなるかもよ! たとえば、糞ガキ産もうとするとゆっくりできなくなって死ぬとかさあ! ハハハハハハハハ!!!」 「やだぁぁぁぁぁ!!ゆあぁぁぁぁん゛!!ゆ゛あぁぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん゛!!!」 こうして俺は、散々ボロクソに言われて泣き叫ぶ『知らない』れいむを無視して、玄関の扉を閉めた。 しかし、相変わらず玄関先でキーキー泣き続けるのでいい加減に鬱陶しくなり、 戻ってどてっ腹に一発蹴りこんでやると今度こそ静かになった。ようやく諦めて逃げたのだろう。 やれやれ、やっぱりペットショップの店員が言うことはあてにならない。頼れるのは自分の勘だ。 れいむは能天気でゆっくりとして一番スタンダードだって言うかられいむの中から選んだのに、すっかり騙されちまった。 あれじゃ能天気じゃなくて、ただの馬鹿か、もしくは文字通りの脳無しだ。 さて、次に飼うゆっくりは何にしようか? とりあえずゆっくり飼育ハウツーサイトに目を通しながら、頭の中でれいむとまりさをチェックから外す。理由は言うまでもあるまい。 元気でも大人しくても、愛嬌があっても無くてもいいから、今度はせめて致命的な馬鹿じゃないのが欲しいなあ。 まあそれすら難しいのがゆっくりってやつなんだろうけど… P.S. 一ヶ月後。街では、頭から蔓を生やしたり腹を膨らしたままカラカラになって死んでいるという野良ゆっくりの姿が、大量に目撃されるようになった。 理由は何だ原因はこうだと世間は騒いでいるが…まさか、本当に広めて、しかもそのとおりになってしまうとは……。 さすが思い込みで生きる不思議饅頭。恐るべし。 ・・・俺はただ、妊婦さんにありがちな辛さをゆっくり用に脚色して、適当に話してみただけなんだがなぁ・・・・・・ ・あとがき 何から何までいい加減な話です。 でも、書いてる方はこんな話のほうが楽しかったり。 後、別に妊婦の方々を馬鹿にしているわけではないので、そこの所はご了承ください。 では、最後までご覧頂いた方々、本当にありがとうございました!! 小五ロリあき
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『れいむ』 18KB 愛で 制裁 愛情 飼いゆ 野良ゆ 赤ゆ 子ゆ ゲス 現代 試しに愛でてみた ・登場人物は一人と三匹だけです。 ・一応愛でのつもり ・でもせいっさい! ・10KBくらいにしたかった…… れいむはついさっき生まれたばかりだった。 しかし、その表情は曇っていた。 「おちょしゃん……おきゃしゃん……」 いるはずの両親を探す。しかし、四方八方上下左右の全てを見回しても家族はいなかった。 あるのは何か黒い柱と、その上に自分がさっきまでいた茎、そして黒ずんだ姉妹がいた。 「ひっぐ、ひっぐ……ゆぴゃぁぁああああああああ!!! ゆっぐちしたいよぉぉおおおおおおおおおおお!!!!」 ついにれいむは泣き出してしまった。無理も無い事であろう。 すると、何か物音がした。 れいむが振り返るとそこにはれいむより高いところに大きな頭があった。 「ゆ、ゆぴゃぁ!! きょわい……ゆ?」 高所から見下ろされる恐怖に泣き出すところだったが、暖かくて優しい何かが自らを触れた事で落ち着いた。 それは大きな頭がのっかっている台だった。 いや、台ではない。生物の身体である。 僅かだけ継承された記憶があるれいむは、それが生物の一部である事をなんとなく理解した。 「だ、だれにゃの? れいみゅのおきゃあしゃんは? おとおしゃんは?」 恐る恐る聞く。 大きな生物は困ったという顔をした。 「ごめんよ、僕にもわからないんだ。 ただ、気付いたら僕の家の前に君の成っている茎が落ちていてね」 嘘は言っていないようだった。 そして、この生物はれいむの命の恩人であるという事がわかった。 「れいみゅの、いもうちょたちは?」 「それもごめんよ、急いで準備はしたんだけど、君以外はもう手遅れだったんだ」 れいむが助かったのは、茎の根に一番近かったからだった。 他の姉妹は、栄養供給が間に合わなかった。れいむの一個前の姉妹も、もう少しと言うところで力尽きてしまったらしい。 現在、れいむは親から受け継ぐはずの記憶が極端に薄い。 知っているだろう知識もあまりなく、自分がれいむという種である事以外は動物的本能しか備わっていない。 それはおそらく、茎が出来てから間も経たぬうちに折られたせいだろう。 大きな生物……人間の男が用意した市販の餡子で代用したせいで、親から受けるべき記憶を含む餡子が継承されず、ほぼ白紙に近い状態となったらしい。 記憶の継承がないせいで、親がどんなゆっくりかもわからない。 れいむがれいむである以上、片方はれいむであろう。 姉妹は種がわかる前に死んでしまったようで、そこから推測する事は出来ない。 「れいむ、さしでがましいけれど、もしよければ僕の子として生活しないか? まぁ、飼いゆっくりと飼い主という間柄にはなるけど」 「かいゆっくち?」 「そう。まぁ簡単に言えば家族になろう、ということなんだけど」 男は伺いを立てる。 れいむの答えは決まっている。いや、それ以外にない。 「なりゅ! れいみゅ、『かいぬし』しゃんの『かいゆっくち』になりゅ!」 それを聞いた男は笑顔になる。 「ああ、よろしくれいむ。ゆっくりしていってね」 「ゆぅ? ゆっくちちていっちぇね?」 「そう、君たちゆっくりの挨拶だよ。さ、言ってみて。ゆっくりしていってね」 「ゆっくちちていっちぇね!」 「そうだ、上手だぞーれいむ」 「ゆっくち! ゆっくち!」 はじめて聞く言葉だったが、れいむはその言葉を言い合うだけでとても気分よく……そう、ゆっくりできた。 れいむが生まれて少し経った。 飼い主は少し厳しいながらもれいむにもわかる愛情を与えてくれている。 れいむはそれに応えたくてよく無茶をするようになった。 「ゆぴゃあああ!!」 「ああもう、だから動き回っちゃだめだと言ったのに」 今回は飼い主について回って仕事を貰おうとしたら、床においてあった油や醤油のボトルにぶつかった。 「だっちぇ、かいぬししゃんのおてちゅだいが……」 「それはれいむがもっと大きくなってからな。怪我しないか心配する身にもなってくれ」 「ゆぅう、わかっちゃよ」 れいむは活動的で落ち着きが少しばかり足りていなかったが、聞き分けはとてもよかった。 ほぼ白紙だったせいだろうか、難しい事でなければ教えればすぐに覚えたし、覚えれば忘れはしなかった。 ゆっくりは何か特別な事が無い限り飾りをはずすのを極端に嫌がるが、それもこのれいむは抵抗が無く、よく洗いに出している。 そんあれいむも赤子言葉が抜け、子供サイズとなったある日、飼い主の家の窓に大きめのゆっくりが二匹やってきて喚いていた。 「かいぬしさん、なんだかれいむににてるいきものさんがいるよ」 「あーなにかうるさいと思ったら野良ゆっくりか」 「のらゆっくり?」 れいむは今の今まで自分の同族を見た事がなかった。 飼い主が言うには、野良というのは基本的に人間に良いものではないらしい。 基本的に、というからには一部は違うのだろうと思ったが、外の野良ゆっくりは多分悪い方だろうなと思う。 「野良は人の家に上がって『おうち宣言』と言ってその家をのっとろうとするのさ」 「それはゆるせないね」 「だからまぁ、いろいろ対策もあるらしいんだが」 飼い主はとりあえず入り込まれないように板を用意してから窓を開けた。 すると大声を張り上げた。 「ここはれいむとまりさの――」 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね!」 何かを言い終わる前に飼い主はゆっくりの代名詞である台詞を言う。 これを言われるとほとんどのゆっくりは反射的に応えてしまうのだという。 「ここは僕とこのれいむのゆっくりプレイスだよ、れいむとまりさはゆっくりしないで出て行ってね」 おうち宣言される前におうち宣言をしてしまう。対策法の一種である。 「そのおちびちゃんはれいむのおちびちゃんだよ! だからここはれいむのゆっくりぷれいすなんだよ!!」 予想もしない反論だった。 飼い主も同じ面持ちだ。 「どういうことだい?」 飼い主は問いただす。 「そのこはれいむとまりさがすっきりー!してできたこなんだぜ! だからこのいえはまりさのゆくりぷれいすなんだぜ!!」 飼い主は呆れた。言ってる事が何一つ変わっていないのだ。 すると、れいむが一応距離を置いた位置から質問する。 「にひきがれいむのりょうしんなの?」 普通ゆっくりは同族を「人」で数えるらしいが、このれいむは飼い主から自身の数え方は「匹」と教わっている。 その程度の違いは、目の前の二匹にはあまり関係ない話だが。 「そうなんだぜ。まりさとれいむじゃおちびちゃんをそだてられそうにないから、にんげんにそだてさせることにしたんだぜ」 ゆふん、と胸を張るように仰け反る親まりさ。 「にんげんにしてはよくやってくれたよ。おちびちゃん、こんなにんげんはさっさとせいっさいしてやって、おかあさんとゆっくりしようね!」 れいむを救った人間をコケにする親れいむ。 前にテレビで見た、別の鳥の巣に自分の巣の卵を置いて育てさせる方法と同じなんだろうとれいむは理解した。 れいむは飼い主を見る。 「僕はこいつらを家に入れるつもりは無いよ。もしもれいむがこいつらと行きたいというなら無理強いはしない。 本当かどうかはどうあれ、もしもその方がゆっくりできそうだというなら、それでもいい」 飼い主は冷静だ。 飼い主がこの二匹に倒されるなどと言う事は万に一つも無いだろうというのはれいむにはわかっている。 しかし、こいつらは自身を自分たちの子であるという。 たしかに、極々僅かながらにそんな気がしないでもない、という気持ちがある。 多分これは親なんだろう。 「ゆ? それにしてもおちびちゃんがすくないね! かくれてないででてきてね! すぐでいいよ!」 れいむは他にも子供がいるんだろうと喚く。 おそらく茎に成っていた残り三匹の姉妹の事を言ってるんだろう。 「悪いけど、あの子たちは死んじゃったよ。栄養が足りなくてね。 せめてもう少し栄養が与えられていればね……」 飼い主は心底残念そうに事実を伝える。 すると二匹の汚い表情が更に醜悪になった。 「れいむのおちびちゃんをころしたなああああ!!! なんでちゃんとせわできないのぉぉぉおおおお!!?」 「ゆるせないんだぜ、このゆっくりごろし!!!!!!」 れいむは驚いた。 言っていることの意味がわからなくて驚いた。 飼い主はそのまま放置したって構わない自分と姉妹を、律儀に世話しようとしてくれていたのだ。 結果的に姉妹は死んでしまったが、この場合罵倒されるべきは栄養もままならない我が子を、いつ来るか知れない人間に任せようとした自分たちであるだろうに。 「おちびちゃん、はやくこっちにきてね! このゆっくりごろしはゆっくりできないよ!」 「おいにんげん、さっさとこのじゃまなものをどかすんだぜ! おちびちゃんははやくこんなゆっくりごろしのにんげんからはなれるんだぜ!」 れいむは決心した。 「おまえたちみたいなのはれいむのおやなんかじゃないよ」 こんな礼儀も身の程も弁えない者とは一緒にいたくはない。 例え生まれた時は恋焦がれた親だとしても、こんな醜悪な存在には近付きたくは無い。 「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉおお!!!!」 もう見るに耐えない泣きっ面。 れいむは気持ちが悪くなった。 そんなれいむを飼い主は優しく手に包んで持ち上げていた。 「ゆっくりわかったんだぜ! おちびちゃんはにんげんにせんのうされたんだぜ! ゆるせないんだぜ!!」 洗脳……されてないとは言い切れないだろう。 現にれいむはゆっくりらしさが少々乏しい。 餡子が繋がって生まれたゆっくりならば、『ゆっくり』という言葉を様々な意味で使う。 たとえば『ゆっくりりかいしたよ!』や『ゆっくりいそいでね!』などだ。 これらは『よくわかった』、『はやくして』という意味になるゆっくり独特の言葉だ。 だがれいむにはそれがない。 更にれいむは飾りへの執着もまったくと言っていいほど無い。 飼い主がこっちの方がいい、といえば別の飾りを躊躇無くつけられるだろう。 だが、そもそもを正せばそれはこの親がしっかりと餡子の記憶を分け与えなかったからだ。 だかられいむははっきりろいう。 「れいむはこのかいぬしさんのかぞくだよ! おまえたちみたいなのがおやだなんて、しんじられないよ! いもうとたちをころしたゆっくりころし? ばかいわないでよね! かいぬしさんがいなかったらいまごろれいむもしんでたよ! そもそもおまえたちがあんなことしなかったら、いもうとたちだってしなずにすんだんだよ! でも、こんなおやのもとでそだったら、おそかれはやかれしんじゃってたかもね!」 れいむは生まれて初めて他者を罵倒した。 それはとても『ゆっくりできない』ことだった。 罵倒するれいむの表情は暗い。一言言うだけでとても気分が悪い。 こんなゆっくりできない言葉を何も感じずに言い続けられる目の前の野良ゆっくりの頭の中がわからない。 「ゆ、ッぎぃいいいいいいいいいいいいい!!!!!」 れいむが言い終えて一間空け、突然親れいむは奇声を上げた。 「ばりざあああああ! あんなのはれいぶのおじびじゃんじゃない! あんなくずざっざどづぶぜええええええ!!!!!」 「いわれるまでもないんだぜ! だまってきいてればすきほうだいいってくれたんだぜ! うんでやったおんをあだでかえすようなゆっくりできないがきはせいっさい!してやるんだぜえええ!!!」 れいむは涙を流した。 わかっていながらも、ここまで汚いものが親だとは思いたくなかった。 こんなものから産まれた自分。さっきもこいつらと同じような事を言った自分。 そんな自分を、飼い主は軽蔑してしまっただろう。 「それがお前の答えでいいんだな」 そっと、飼い主の手がれいむを包む。 生まれたばかりの頃と同じ、とても暖かくて気持ち良い……そう、これこそが親の温もりだ。 「ぶぼぉ!?」 飼い主は飛びかかろうとしたまりさを叩き落とし、れいむともども外へ放り投げた。 「ゆぶぇ?!」 「ぶびょる!」 顔面から地面に落ちる。幸いな事に歯はほとんど折れていないようだった。 飼い主はれいむをそっとテーブルの上に乗せて外に出た。 「このまま帰るっていうなら何もしないけど?」 飼い主は一応、れいむの親であることも考えて、出来るだけ穏便に事を済ませたい。 さすがに目の前で殺処分などできるはずもない。 こんなのでも同族、しかも親が殺されるところなど、優しいれいむは見たくないだろう。 「ふざげるなぁぁぁあ……まりざがまげるはずないんだぜぇえええ……。 いままでだで、にんげんはまりざがとおるどみちをあけてにげていっでだんだぜぇぇ……!」 それはただ汚いおまえたちに近付きたくないからだろう、と言おうかと思ったがやめた。 おそらく無駄だろう。 この手のゆっくりは言葉を喋るだけで会話は通じないものだ。 相手にするだけ心身に悪い。 そもそもれいむほど会話が成り立つゆっくりはそういない。 飼い主は溜め息をついてまりさとれいむを捕まえる。 「ゆぐぃいいいい! いだいいいいい! はなぜええええええええええ!!」 「はなぜ! せいっざいじでやるがらはなぜええええ!!!」 もう聞く耳は持たない。 飼い主は別にゆっくりを痛めつける趣味は無い。だから殺生をするつもりはない。 飼い主は窓を閉める。 れいむには、こいつらをもう会えないくらい遠くに捨ててくると行って待たせる。 飼い主は三重にしたゴミ袋に二匹をぶちこみ、ダンボール詰めにした後、近くの山へ車で行って二匹を投げ捨ててきた。 二匹は最後まで悪態をついて追いかけてきたが、ゆっくりに人間が、ましてや車に追いつけるはずも無かった。 山に捨てたのは、街で人間に殺される頃の無いように、というせめてもの情けだった。 帰ってみるとれいむは大分消沈していた。 無理も無い。あのような醜悪な存在が親だと知ったのだ。ショックも大きいだろう。 飼い主は何も言わず、ただれいむをやさしく手に乗せてゆっくりとなで続けた。 れいむも、温もりに包まれながらまどろみの中に意識を落としていった。 暫く後、大人と呼ぶに相応しいまでに大きくなったれいむは、今日は飼い主のために庭で草むしりをしていた。 あれから公園デビューを果たして友達も得た。 飼い主との仲も良好で、今れいむは本当に『ゆっくりしている』。 ふと、玄関の方で物音がした。 れいむは飼い主の言いつけどおり、いつでも逃げられるよう準備をしつつその音の正体を探りに行った。 そこには―― 「お、おじび、ぢゃん……」 「ゆっぐ、ゆっぐじざぜろぉ……」 いつぞやの野良ゆっくりがいた。 「なにかようでもあるの?」 「おぢびぢゃん、おがあざんを、ゆっぐりざぜで……」 みすぼらしい姿だが、これがあの日、自分の親だといったゆっくりだというのは理解できた。 なんと酷い姿だろう。髪は大分抜け落ちて禿げ上がり、片目は無くなって飾りはボロボロだ。 大分古い傷も多い。よく生きていられたと感心してしまうくらいだった。 だが、抱いた感想はそれだけ。 れいむは二匹の存在そのもには無関心だった。 「いやだよ。かいぬしさんにいわれてるよ、のらのゆっくりはきけんなばあいもあるからかいぬしさんがいるばあいいがいはちかづくなって。 だかられいむにちかよらないで、『ゆっくりしないで』さっさとどこかにいってね」 「ご、ごのげずはぁぁぁ、うんでやっだおんもわずれでぇぇぇ……!!!」 「うんでやったおん? すてられて『ゆっくりできなく』なりかけたのはしってるけど、おんをうられたおぼえはないよ」 「ばりざどでいぶがいながっだらおばえはうばれで――」 「それをしんじゃったいもうとたちにもいえるの? うまれるまえに、ほかでもないおまえたちのせいで『ゆっくりできずに』しんだいもうとたちに」 「それはあのにんげ――」 「おぼえてないんだろうからもういちどいうけど、かいぬしさんがいなかったられいむはしんでたよ。 おまえたちはかいぬしさんにおれいをいうたちばなのに、せきにんをなすりつけるなんて『ゆっくりしてない』ね」 ゆっくりできない、ゆっくりしてない、ゆっくりが最も嫌うという言葉で責め立てる。 もうれいむに目の前のゆっくりを親と思う気持ちは無い。 れいむの親は飼い主である男性だ。 彼も、れいむにそう思ってもらえることをとてもよろこんでいる。 だかられいむは、目の前のゆっくりには何も思わない。そこらに転がる石と同じにしか見ていない。 二匹はれいむが自分たちを見る冷たい目に恐怖した。 その目は、人間たちが自分たちを見る目と同じなのだ。 汚らしい汚物を見るような目。邪魔だと言って蹴り飛ばしたあの目。近付いてきて唾を吐きかけたあの目。 あの『ゆっくりできない』目と同じ目で見ているのだ。 あれだけゆっくりできない道を長い時間をかけてやってきたのも、すべてはこの家を、れいむを盾に手に入れる事。 しかし、許しを請えば子供として迎えてやろうと思っていたれいむに、遥か下の存在であると目で言われてしまった。 二匹は絶望した。 そして、もう感情の糸が切れ、れいむを襲い殺そうとしたその時―― 「ゆが?!」 「おぶぅ!」 二匹は何かに捕まり、いつぞやのように三重に重ねた大きなゴミ袋の中に放り込まれ、更に物置前のゴミ箱に投げ込まれた。 「れいむ、大事無いか?」 「だいじょうぶだよ。ゆっくりごめんなさい、いいつけをやぶって、のらにちかづいちゃったよ……」 「気にするな、れいむがとどめておいてくれなかったら進入されてたかもしれないからな」 この家の主、れいむの飼い主が帰ってきた。 飼い主はさっきの二匹がおそらくれいむの親だというのは気付いている。 それを承知でれいむに聞いた。 「あいつら、どうする?」 「かいゆっくりやにんげんさんにきがいをくわえそうなのらゆっくりは『さつしょぶん』するんだよ」 「れいむ、いいのか?」 「いいもわるいもないよ。それにれいむのおやはかいぬしさんだけだからね!」 満面の笑顔。そこに嘘はない。 れいむは本当にあの二匹を親とは思っていない。 飼い主はそれを聞いて、安心した、と言い、ゴミ箱から二匹の入ったゴミ袋を取り出す。 「ゆぐ、ぐぞにんげん……ご、ごろじでやる……!」 「ぜいっ……さい、だよ……!」 飼い主を確認した二匹は、まだなお汚い言葉を吐き続ける。 飼い主はそれに一切耳を貸さずにゴミ袋の口を持ち、地面に置く。 そして足を振りかざす。 「ゆ?! ゆあああ! やべで、やべでええええええええええ!!!!」 「やべるんだぜ! やべ、やめ、やべじぇええええ!!!!」 ただの鳴き声。そして泣き声。 もうそんなものは届いてはいない。 「やめぶべ?! ばぶぉ、ぎゅが! じにだぐべ、ないびゃ!!!!」 「ぐぞにんげぶぉ! やじゃべ?! ごべんなざぶう! ゆるびゅで!!?!?」 飼い主は黙々とゴミ袋を潰していく。 さすがに大人となったゆっくりを潰すとなると袋一枚程度では敗れてしまう可能性がある。 聞くところによるとゆっくりの中身はゆっくりにしかわからない臭いがするという。 そんな臭いがついたものを近くに残してれいむにいやな思いはさせたくない。 だから家から出て踏み潰した。 一分ほど満遍なく踏み潰し、袋がピクリとも動かなくなったのを確認して飼い主はゆっくり専用のゴミ回収箱に袋を捨てた。 これでもうれいむをおびやかすものはなくなった。 正直、まさか本当に戻ってくるとは思わなかった。 飼い主はれいむを抱き抱えて庭の片隅へ行く。 そこには小さな山があった。 れいむの姉妹の墓である。 今日はこの姉妹たちの命日であり、れいむが産まれた日。 飼い主はれいむの姉妹たちを救えなかった事を謝罪し、そのかわりにれいむだけはしっかり天寿を全うするまで育てると墓前に誓った。 「かいぬしさん、『なでなで』してほしいよ!」 「ああれいむ、今日はお前の誕生日だからな。お願い事は何でも聞いてやろう。 おまえの大好きなものも今日はいっぱい――――」 れいむは幸せだった。 生まれはたしかに不幸だったかもしれない。 しかし、今はこうして幸せに生きている。 その事に関しては、あの親と名乗っていた野良ゆっくりに感謝の意を感じてはいた。 もしもあの時、真っ当に更正していたのならば、例えみすぼらしい姿であっても、受け入れていいとも思っていた。 飼い主はれいむを甘いと言っていたが、それだからこそれいむだ、とも言った。 れいむはこの後六年の間、飼い主からの愛情をたくさん受け、とても『ゆっくりした』笑顔で天寿を全うした。 その遺骸は、亡き姉妹と同じ場所のすぐとなりに、丁重に葬られた。 終 ダメ!ぜんぜん生かせない! オチがどうしてもしっくりきません。どうしたらいいんでしょう。 愛したいのに愛しきれない! ボキャブラリの問題以前……なれないことしないでゆ虐してろってことなんでしょうかね。 anko1241 ゆっくり教材Vol.1『野良に憧れるれいむ』 anko1257 ゆっくり教材Vol.2『大人になれないまりさ』 anko1272 ゆっくり教材Vol.3『ゆっくりありすの注意点』 anko2390 ゆっくり教材Vol.4『ゆっくりぱちゅりーの弱さ』 anko1246 特集『ゆっくりに脅かされる農家』 anko2426 ゆっくり研究所 anko2430 ああ、無情。 anko2433 ゆっくりは繰り返す anko2439 ゆっくりがいる日常。 anko2421 生きてるのは知ってるけどそれが何か? anko4106 ゆっくり教材Vol.5『ペットとちぇんと野良と飼い主』
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『野良れいむ』 23KB 虐待 制裁 自業自得 野良ゆ 子ゆ 現代 小ネタ この街の人間は冷たい。 皆生きるのに必死で、他人のことに気を揉んでいる暇などないのだ。 そして生きるのに必死なのはどうやら、人間だけというわけでもないようだ。 「おでがいじばずぅぅぅ!!どうがでいぶをがいゆっぐじにじでぐだざいいぃぃぃいい!!!」 皆死んだような目でそれぞれ何処かへと行きかう大通り。 「おでがいじばずぅぅぅ!!」 一匹の汚らしい野良のゆっくりが、踏み潰されることすら厭わないかのように、人間に擦り寄るようにして懇願を叫んでいた。 大きさはバスケットボールを二回りほど大きくした程度だろうか、しかしどこと無く、 痩せていると表現したら良いだろうか、ハリの無い野良独特のみすぼらしさがあった。 「おでがいじばずぅぅぅ!!どうがぁぁ、どうがでいぶをがいゆっぐじにじでぐだざいいぃぃぃいい!!!」 まずい、そう思ったときには既に遅かった。 一瞬そいつと目が合ってしまったときに、すぐにそっぽを向いて素早く立ち去ればよかったのに、 気付けばそいつは俺の足元にやってきて、泥だらけの身体を俺の足元に擦り付けてきていた。 「おでがいぃぃ…じばずぅうっぅぅう」 鬱陶しい、素直にそう思ってしまう。 所詮こいつも何らかの理由で飼いから捨てられて野良になったか、同じような理由の野良の二世三世といったところだろう。 野生生活も出来ない、上手く生態系に寄生することも出来ないような生物がのうのうと生きていけるような甘い世の中ではないのだ。 「おねがいじばず!!!せめてっ!れいぶはいいでずから、せめておちびちゃんをっ!!!」 そいつは俺の前、俺が後一歩踏み出せば踏み殺してしまうような位置に立ちふさがって、頭を地面にこすり付けて俺に訴えている。 ゆっくり如きの戯言に耳を傾けるつもりなどさらさら無かったのだが、 子供のために自らを犠牲にするという内容に、わずかながら心を動かされてしまう。 少し迷ってから、俺はついにそいつと口をきいてしまった。 「お前の子供を飼って欲しいのか」 「はい!そうです!このままじゃれいむのかわいいおちびちゃんがしんじゃうんでずうぅぅう!!」 れいむは涙と涎で顔をぐしゃぐしゃにしながら答えた。 「そいつはどこに居るんだ」 俺がそう尋ねると、れいむは身体を静かに揺さぶった、するとれいむのぼさぼさの髪の毛の中から、 一匹のゴルフボールより一回り大きいか、という程度の小さな子ゆっくりれいむが姿を現した。 しかしそのれいむは、ひどく衰弱しているようで、足元を眺める形になっている俺の位置からは、 生きているのか死んでいるのか、一瞬では判断出来ないほどだった。 俺は無造作にれいむの頭の上から子れいむを摘み上げて、手のひらにのせる。 「ゆぅ…う…」 すると子れいむは苦しそうに身をよじって、俺の手のひらの上で生きているということを主張した。 けれどやはりそれは酷くか弱く、俺の吐息一つで生命の炎が消えてしまいそうなほどに儚いものだ。 俺は親れいむを見下ろして、静かに言った。 「いいのか、俺がこいつを飼ったとして、もちろん努力はしてみるが、生かしてやれるかどうかはわからないぞ それに、お前とはもう二度と会えないということになる、お前かこいつが死のうが生きようが、一生だ、それでもいいのか」 俺の言葉を聞いて、れいむは涙をぼろぼろと流しながら頷いた。 「いいんでず…れいむにはもうどうずるごどもでぎまぜん…おぢびじゃんをどうかしあわぜにしてあげでくだざい……」 俺は内心驚いていた。 ゆっくりといえば、利己的で、無知で愚鈍でどうしようもない生き物だと思っていた。 けれどこいつは、あまり頭はよさそうではないけれど、子のことを思い自らを省みずに最善の選択をすることが出来たように思う。 そのことに感心した俺は、この子れいむを出来る限り面倒を見てやることを胸に誓った。 「わかった、任せておけ」 「ありがどうございます!!」 俺は小さな子れいむを両手で包み込むようにして、親れいむに背を向けて家路についた。 親れいむは、俺の背中が見えなくなるまで、いつまでもいつまでも俺の背中に感謝の言葉を投げかけ続けていた。 家に帰る途中、俺は小さなゆっくりペットショップに寄って、ゆっくりについて店員に聞いてみることにした。 野良の子だと説明すると、店員は始め困惑していたが、丁寧にゆっくりの初歩的な買い方や、習性について説明してくれた。 どうやら店員によると、この子れいむの衰弱ぶりは、ただの栄養失調らしい。 ついでにと、店員は予防接種を勧めてくれたので、俺は少々財布に痛手ではあったが、今後のことを考えて受けさせることにした。 医者に行って注射でも打つのかと思ったが、小さな錠剤を3粒ほど飲み込ませただけであっさりと終了してしまう。 俺は親切に対応にしてくれた礼に、成体になっても使える程度のゆっくり用のクッションハウスと、 栄養価の高い餌、一人遊び用の小さなおもちゃをそこで購入した。 それから数日、暇な時間を見つけてはれいむに付きっ切りで看病してやると、 すぐにれいむは年相応であろう、子ゆっくりらしい元気を取り戻してくれた。 「おにーさん!れいむとゆっくりあそんでね!」 れいむは俺のことをお兄さんと呼んで、ずいぶん懐いてくれていた。 生き物を飼ったことの無い俺だったが、会話の通じるゆっくりとの相性は悪くなかったようで、 多少のワガママや、融通の利かない部分はあれど、所詮子供かと思えばたいした苦にはならなかった。 一週間もすると、れいむは栄養の高い食事のおかげもあってか、すっかり大きくなって、 野球ボール大の大きさに成長し、元気に外を跳ね回ることが出来るようになった。 いわれなければ、誰もれいむを元野良と気付くことはないだろう、 肌はもちもち、髪の毛はさらさら、声にもハリがあり、すっかり俺の自慢の飼いゆっくりだ。 俺はこの頃、よくれいむと一緒に外を散歩した。 暖かい日差しが心地いい、れいむは俺の少し前をぴょんぴょんと跳ね、 色々なものに興味を惹かれては、あっちへふらふらこっちへふらふらと、ちっとも目が離せない。 けれど俺はそんな無邪気なれいむの姿に心を癒されていた。 しかし俺はこの時、間違いを犯していたことに気付いていなかったのだ。 それから数日後、夜になると家の庭からごそごそと物音がするようになった。 二・三日は気のせいかと思い放置していたのだが、あまりに続くので何事かと不振に思い確かめに行くと、 そこにいたのはあの時俺にれいむを預けた、親れいむだった。 「あ…」 れいむは俺と目があうと、気まずそうな顔をして縮こまった。 「何をしているんだ」 「あ…えと…れいむのおちびちゃんをおそとでみたから…げんきにしてるかなって…」 れいむは目を泳がせながらそんなことを言った。 散歩させていたときにどこからか見ていて、後をつけられたのだろう。 しかし今はそんなことはどうでもよかった、一刻も早くこいつには何処かへ行ってもらわなければならない。 「大丈夫だ、俺がきちんと世話をして幸せに暮らしている、すっかり元気で、もうなにも心配することはない」 「…」 「だからお前はどこかよそへ行け、もうここにはくるな」 「…」 れいむは顔を伏せたまま、庭から一歩も動こうとしなかった。 お互いの間に重たい沈黙が横たわっていた。 子れいむは部屋の奥でクッションベッドの中で寝息を立てていて、俺達のやり取りには気付いていない。 「これ以上居座るなら、野良駆除を依頼することにするぞ、俺が”庭に不振な野良ゆっくりが居るから駆除して欲しい”なんて電話の一つでもかければ 10分もしないうちに職員がやってきてお前を捕まえるだろうな、その後はきっとお前は殺されるだろう」 「…」 「最初に言ったよな、もう子供とは二度と会えないって、俺はもうお前とうちのれいむを会わせる気はない、 お前もそれを承知の上で俺にあいつを託したはずだ」 俺が努めて優しくそういうと、れいむも納得したのか、何も言わず静かにその場を立ち去った。 いま思うと、この時しっかりと駆除の依頼を出しておけばよかった。 たしかに俺は出会った時のれいむの親としての姿勢に共感はしたが、その後のれいむの一生を世話する気などさらさら無かったのだ。 それが一瞬でも甘さを見せてしまったがために、あのれいむにわずかな期待を持たせてしまった。 全てはけじめをつけなかった俺の責任だろう。 次の日、仕事からもどるとリビングの庭に面している窓に、びったりと親れいむが張り付いていた。 中からみるとそれはそれは醜い、汚らしい顔だった。 けれどそいつの子供である俺のれいむは、母親に再会できたことが嬉しいのか、涙を流しながら窓に頬ずりをしていた。 「おかーしゃんだ!おかーしゃん!ゆっくりしていってね!ゆっくり!」 俺が部屋に入っても、気付いていないように、お母さんお母さんと繰り返している。 「れいむ、ただいま」 俺がそういうと、やっと俺が帰ってきたことに気付いたのか、れいむはくるりとこちらを向いて、俺に笑顔を向けた。 「ゆっくりおかえりなさい!おにーさん!ねぇねぇ、おかーしゃんだよ!」 なにがお母さんだよ、なのだろう。 れいむの無知な無垢さに一瞬苛立ちを覚えたが、無理は無い。 母と別れた当時のれいむは死の淵に立たされていて、おそらく俺達の会話など記憶に残っていないのだろう。 れいむはただただ、生き別れた母との再会を喜ぶだけだった。 「ねえおにーさん!れいむ、おかーさんにあいたいよ!あっておはなしがしたい!」 「だめだ」 俺は間をおかずそう言い放った。 れいむにはかわいそうだが、すぐに駆除を依頼しよう、あれはお前の母親じゃない、他人の空似、勘違いだ、そう言い聞かせよう。 そう思いながら電話に手をかけるも、俺は電話番号をプッシュすることが出来なかった。 窓ガラスに必死にへばりついて、決して触れることの出来ない子供に、ほんの少しでも近づこうと思う母親の姿。 そしてそれを素直に喜び、そして自らも会いたいと望む子れいむの無垢な瞳に、俺の情がまたしても揺らいでしまう。 「…仕方ないな…一回だけだぞ」 なにが一回だけだというのだ、一回会わせてどうするというのだ。 俺はその後のことを、少しでも考えただろうか、再び親子を引き離す苦しみを考えたら、安易な決断など出来なかったはずだ。 けれど感動的なドラマに酔ってしまった俺は、子れいむに優しく微笑みかけながら、ゆっくりと窓についているドアを開けた。 「おかーしゃーん!」 子れいむが、元気よく母親に飛びつく。 母れいむは感動のあまりだろうか、無言で近寄り。 ぐじゅっ 「お…おか…おぎゃ…ゆ”っゆ”っ…っ!」 「まったく、れいむをさしおいてしあわせー!になるなんてげすながきだよ!」 俺は目の前で何が起こっているのかよくわからなかった。 「おまえさえいなければれいむはくろうしなくてすんだんだ!おまえがしあわせになってるのになんでれいむはしあわせになれないんだ! れいむはくろうしておまえをうんだのに!おまえをそだてたのに!れいむだってしあわせになるんだ!」 母れいむが、子れいむの上にのしかかり、全体重をかけている。 いくら健康体になった子れいむも、倍以上の体格の親れいむにのしかかられたらひとたまりも無い。 いまや子れいむは、親れいむの足元からはみだしているもみあげをビクリビクリと痙攣させる力しか残っていなかった。 「っ!!!!」 俺は逃避している思考をなんとか取り戻して、親れいむを全力で蹴り飛ばした。 「おそらっゆげぇぇ!!!!」 親れいむは宙を舞って、そのまま重力に引かれて地面にたたきつけられる。 全身を強かに打ちつけられたれいむは、口から餡子をはいて気絶したようだ。 「大丈夫かれいむ!!!!」 「ゆ”っ…ゆぎっ!…っ!ゆぴっ!!!」 子れいむは、身体はぺしゃんこになり、なんとか意識はあるものの、目の焦点はあってなく、 俺の声が果たして聞こえているのかどうか、わからなかった。 「まってろ、すぐに手当てしてやるからな!」 俺は子れいむを抱え上げ、窓を閉めて家に入り、大急ぎで傷の手当てをした。 結果からいうと、子れいむは一命を取り留めることに成功した。 けれどそれは、命を繋いだだけに過ぎず、子れいむは既に壊れてしまっていた。 「ゆぴっ!ゆぴぴぴぴっ!ぴゃうぅううぅ、あーーーーー」 れいむは涎をたらしながら明後日の方向を向いて、延々と意味の無い言語を発し続けていた。 体内の餡子をほとんど漏らしてしまったことももちろんあると思うが、最愛の母の裏切りに心が耐え切れなかったのだろうと思う。 俺はあの親れいむへの怒りよりも、馬鹿なことをした自分への呆れで、無気力状態になってしまっていた。 俺が庭先を見ると、気絶していたれいむはいつの間にか回復していたようで、再び窓に張り付いてきていた。 窓を開けてみると、れいむは何の遠慮もなしに俺の家の中に入り込んできた。 床は泥ですぐに汚れてしまう。 「ゆゆ!おにいさん!おちびがしんじゃったかられいむをかってね!いいでしょ? だってれいむのかわりにおちびをかってくれてたんだもん、おちびがいなくなったられいむをかってくれるよね!」 れいむの物言いに、俺は軽いめまいを覚えた。 やはりゆっくりという生き物は、わからない。 どうして異常なほどポジティブに、自分の都合のいいように捻じ曲げて物事を考えることが出来るのか。 どうしてあの時あんなに必死になっていたはずのわが子への愛を忘れることが出来るのか。 そして、そうやって無防備に入ってきて、俺に殺されることは考えなかったのだろうか。 俺の中の感情がギシギシと音を立てて歪んでいくのがわかるようだった。 この思い上がりも甚だしい糞饅頭に、どうやって思い知らせてやろうか。 「おうちのなかはゆっくりできるね!ここをれいむのゆっくりぷれいすにするよ!ゆっくり~ゆっくり~」 俺が黒い考えに身を落としているときも、れいむは全力で目の前にぶら下がっているだけの幸せを貪るのに必死だった。 「おい、れいむ、こいつを見てどう思う?」 俺はれいむの目の前に、子れいむをつきだしてやった。 「んみゃ~!まっ!ゆちちぃ!ちぃいいいぃい!!」 子れいむははしゃぎながら親れいむにすりよっていく。 跳ねるというよりは、転がるように、這いずるように不気味な動きで近づくそれを、親れいむはもみあげでなぎ払った。 子れいむはころころと転がって、十数センチ動いて失速し、上下反対の状態で静止する。 しかし子れいむはそれが面白かったのか、親に殴られたことに気付いていないのか、ご機嫌できゃっきゃとはしゃいでいた。 「なあに?こんなこれいむはしらないよ、そんなことよりれいむはおなかがへったよ!ぶべぇ!!」 俺はれいむに、れいむが子れいむにそうしたように、思い切り平手打ちを食らわしてやった。 「いだいでじょおぉぉぉおお!!?なにずるのぉぉぉぉぉおおおお!!!」 れいむはすぐに憤慨して、地団太を踏んで怒りをあらわにした。 俺は眉一つ動かさず、れいむに言い放った。 「そいつはお前の子供だよ、わかってるだろ?」 「ゆゆっ?そんなわけないよ、れいむはこんなへんなこしらないよ」 「そうか、別にそれでもいい、とにかくそれはお前の子だ、お前が育てろ」 「どうしてれいむがそんなことしなくちゃいけないのぉぉぉお!!!?」 「いいからやれ、そしてお前がちゃんとそいつを世話するなら、俺もお前を世話してやる」 「ゆゆゆ?なんだそんなことなの?そんなのかんったんっだよ!」 れいむはふふんと俺を小馬鹿にしたように笑って、言った。 俺達が会話をしている隙に、子れいむは親れいむにすりよって、頬をくっつけてぐりぐりと押し付けた。 「ばかはよらないでね!」 れいむは再び子れいむをもみあげではたき飛ばした。 俺はすかさず無言で。れいむが子れいむを殴ったところと同じところを、殴り飛ばしてやった。 「ゆげぇぇぇ!!」 「きゅぴぴぴぴ!」 子れいむがころころと転がる何倍もの速さでれいむは転がっていき、壁にぶつかって倒れこんだ。 「そうそう、言い忘れたけど、お前が子れいむにしたこと、俺はそのままそれをお前にしてやる だからちゃんと世話をすれば世話をしてやるし、そうじゃなければ…わかったな?」 「わがり…ばじだ…」 れいむは目に涙をたっぷりとためて、俺の言葉に返事をした。 子れいむはそのやりとりのことなどわかっていないのだろう、自分の世界に入り込み、いつまでも笑顔だった。 その夜、俺はれいむと子れいむとクッションハウスを外に放り出した。 「どぼぢでこんなごどずるのぉぉぉおお!?おうぢにいれでぇぇぇ!!!」 「お前は元々野良だろう?家なんか無くたって暮らせるはずさ、その子だって元々はそういう生活のはずだ そのクッションはくれてやるから、子供は入れてやれよ、お前は当然外で平気だよな?」 「ゆぎぎぎぎぎ!!!」 子れいむはそんなことはお構い無しに、狂ってしまっても生活リズムは覚えているのか、クッションハウスに入り込んで寝息を立てている。 俺はれいむ達に背を向け、自室で横になった。 次の日の朝、少し早めに起きて庭を覗くと、クッションハウスの中にぎちぎちに詰まって寝息を立てている親れいむと、 外で泣いている子れいむを発見した。 俺は無言でクッションハウスを持ち上げ、入り口を逆さまにしてれいむを地面に落とした。 「ゆべっ!」 クッションハウスは、大きなれいむが無理やり入ったことでよれよれになり、 さらにふわふわだったクッション部分は、れいむの汚れを吸着いてしまいほとんど使い物にならなくなってしまっていた。 餌をやっても、親れいむは目を離すと自分ががっつくばかりで、子れいむに与えようともしない。 俺が監視して、殴りつけてやると、こちらの顔色を伺いながらやっと与えるしまつだ。 その間も親れいむは、狂ってしまった子れいむをどうしても自分の子と認識できないのか、 それともあの日以来、もうれいむの中では子など居ないことになっているのか、子れいむを見る時はいつもしかめっ面で冷たい目をしていた。 3日もたつ頃には、親れいむはすっかり飼い用の餌で太り、 逆に子れいむはところどころに不自然な傷がつき、身体も痩せ、衰弱してしまっていた。 俺が目を離した隙に、乱暴でも働いたのだろう、子れいむはそれでも親れいむと一緒にいたいのか、 親れいむの隙をついては身体を寄せ、跳ね飛ばされていた。 そのころには俺の精神もすっかりやせ細り、子れいむに注いでいたはずの愛情もすっかり消えうせてしまっていた。 いや、正確に言うならば子れいむのことはいまだに好きだったが、もうこの醜いゆっくりという生き物を愛せなくなってしまっていた。 仕事が休みの日、俺は庭先に出て親れいむに再び尋ねた。 「なあお前、その子をどう思う?」 れいむは何の臆面もなしに、俺の目を真っ直ぐ見ていった。 「だかられいむはこんなこしらないよ!こんなへんなこはきらいだよ!」 「そうか、じゃあどうしたい?」 「いなくなってほしいよ!こんなへんなこはゆっくりできないよ!」 「そうか、じゃあやってみろよ」 れいむは俺の言ってることの意味がわからないようだった。 俺はれいむにゆっくりと説明してやる。 「お前がしたいようにすればいい、そいつを好きにすればいいさ」 れいむはすこし考えてから、子れいむに向き直った。 「ゆぴぴぃ!」 子れいむは、親れいむに見つめられて嬉しいのか、焦点の合っていない目を細めて、満面の笑顔で答えた。 ぼよんっ、ぶちり。 親れいむは軽やかに跳ね、そのまま子れいむの上に着地した。 ぼよんっ、ぐちゃ、ぼよんっぐちゃ、ぼよんっぐちゃっ。 何度も何度も、子れいむがただの餡子の塊になっても、何度も何度もれいむはその上でバウンドした。 「ふぅっ、すっきりー!ゆっくりできないこはせいっさいっ!したよ!これでゆっくりできるね!」 「お前は馬鹿だな、本当に」 子れいむが物言わぬ地面の染みになるのをただ見つめていた俺は、重たい腰を上げてれいむに近寄った。 「せいっさいっしたられいむはおなかがへったよ!はやくごはんをもってきてね!」 「はいはい」 「ゆげぇっ!ごぇっ!ぐぇぇ!!」 俺は何度も何度も、死なない程度にれいむの上に足を乗せて踏みつけた、 一通り踏みつけて気絶したの確認してから、俺は子れいむの亡骸を集めて、家に入った。 「おまたせ」 短くそういって、俺はれいむの目の前に餌箱を乱暴に置いた。 「ゆふふ!ちゃんともってきたね!わかればいいんだよ!むーしゃむーしゃするよ!」 れいむはさっき俺に踏まれたことを忘れたのか、俺におびえることも無く俺の差し出したご飯にがっついた。 「ゆゆ~ん、とってもあまあまでおいしいよ!むーしゃむーしゃしあわせ~!」 喋りながら食べるせいで、ぼろぼろと餌は地面にこぼれ、れいむの口の端には租借物がこびりつき、見るに耐えない。 全部食べ終わったのを確認して、俺はふぅとわざとらしいため息をついた。 「あーあ、れいむったらお馬鹿さんだねぇ、俺との約束を忘れたのかな」 「ゆゆ?」 れいむは俺の言葉に反応して、俺を見上げた、知性のかけらも無いすっとぼけた表情で俺を見つめる。 「あのさ、お前をここにおいてやるとき言ったよな、お前の子供にすることを、全部してやるって お前が子供を殺したから、本当は殺してやっても良かったけど、踏んづけるだけにしてやったのに…」 俺はそういいながら部屋に入って、用意してあった小さなシャベルと大き目のビニール袋、それとカッターナイフを持ってもう一度外に出た。 「お前、子供を食ったね」 「ゆゆ?なにいってるの?」 れいむはそういわれても、俺の言葉を理解できないようだった。 俺はさっき与えた餌の中に子れいむの死骸を混ぜていた。 れいむはそれに気付かずに、それも甘くて旨いなどといいながら、食いきった。 なので俺は約束通り、同じことをこいつにしてやらなくてはいけないのだ。 俺はれいむを捕まえて、カッターナイフでまぶたを切り落とした。 「いじゃあああああああ!!!!!」 ゆっくりは痛みに弱い、人間だって卒倒しそうなこの出来事に、 れいむはしーしーや涙や涎やら、とにかく全身から液体をまきちらしながら泣き叫んだ。 「あーあー、かわいそうに、餌だぜ、餌、お前は餌になるんだ」 声はオーバーに演技しながら、しかし表情を変化させずに、カッターでれいむの肌に無数の傷をつけていく。 「ゆがあああああ!!!やべろおおおおおおお!!!」 れいむは必死にもがくも、人間の俺の力に敵うはずも無く、なすすべなく亀裂からは餡子が次々と漏れ出してしまう。 俺は最後にれいむのあんよをそぎ落として、まとめてビニール袋にぶちこんだ。 「ゆ”…っ!ゆ”…っ!」 何度も痛みで気絶し、また痛みで意識を取り戻して、また気を失うのを何度も繰り返しているのか、 むき出しの目玉はぐりぐりと四方八方に視線を飛ばしている。 けれど死んではいない、ショック死されてしまうかとおもったが、期待通りれいむはちゃんと生きていてくれた。 「じゃ、いこうか」 俺はビニール袋の口を縛って、外に繰り出した。 数百メートル歩いたところに、自然公園がある。 ここは野良ゆっくりのたまり場になっていて、何度駆除しても必ず一定数はゆっくりが集まっていることで知られていた。 俺はその中心に立ち、ビニール袋の口をあけた。 すると中からむせ返りそうなほどの甘ったるい匂いが噴出してきて、辺りに漂い始める。 その匂いをかぎつけたのか、遠くにはちらほらと野良ゆっくりが何匹か顔を出してきた。 しかしまだ警戒しているのか、それ以上近寄ろうとはしてこない。 俺は無理やり笑顔を作って、大声でゆっくりに呼びかけた。 「おーい、こっちにおいで、お兄さんがあまあまをあげるよ!」 すると警戒を解いた何匹かのゆっくりが、俺の足元まで近づいてきた。 「あまあまっていったのぜ?はやくよこすのぜ!」 「おにいさん、ありすにもくれるかしら」 「れいむはしんぐるまざーなんだよ!おちびちゃんのためにもれいむにいっぱいちょうだいね!」 群がるゆっくりたちの中に、ビニール袋の中身を少しちぎって、ひょいと投げ入れた。 俺が手を入れたビニール袋は、一々ぶるぶると震えるのだが、誰もそれを気にするものは居ない。 「むーしゃむーしゃ、ししししししあわせぇぇえ!!あまあまだぜ!!」 運よく最初のひとかけらにありつくことができたゆっくりが声を上げた。 すると遠くに居たゆっくりも急いでこちらにやってきて、近くにいたゆっくり達はよりいっそう瞳を輝かせて俺を見つめた。 ああなんて純粋で馬鹿で、そして醜いんだろう。 たぶんこのビニール袋の中身が、さっきまで同族だったなんて気付くやつは、一匹も居ないだろう。 「じゃ、これ全部あげるから、みんなでたのしんでね、ゆっくりしていってね」 『ゆっくりしていってね!』 俺の声に反応して、全員が元気よくそう答える。 俺はその中心に、ビニール袋ごとれいむを投げこんだ。 『!!!!!!!!!!!!!!』 怒号を発しながら、何十匹ものゆっくり達がそこに群がりだす。 もう中心は上も下も無い大騒ぎだ。 「ゆがああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」 れいむの声だ、俺にははっきりとわかったが、たぶんあいつらはあまあまに夢中で気付いていない。 「やべろおおおおお!!でいぶをたべるなああああ!!!ごっぢにぐるなあああああああああああああああああ!!!!!」 れいむの目はむき出しだ、おそらく自分を喰おうと群がってくる全てのゆっくり達の姿が、見たくなくても見えていることだろう。 俺はそれに背を向けて、ゆっくりと歩き出した。 「ぎいぃぃぃぃいいいいいいいいいい!!!!!!!いやだああああ!!いやだああああああああああああ!!!!!」 俺の耳にだけ、れいむの断末魔の叫び声が、突き刺さる。 「いじゃあいいいいあいあいあいあいいい!!!!だずげで!だずげでええええ!!だずげろおおおおおおおおおお!!!」 あのすさまじい勢いなら、もうおそらく身体の半分以上はなくなっているだろう。 けれどれいむは必死に助けを求めて叫び続けていた。 「だれがああああああ!!!!!だれがあぁあぁっぁぁぁああああああ!!!!」 あの日と同じように、誰かの助けを求めて。 「ああああああぁあああっ!あぁああ……………」 けれど誰もそれに気付かない、れいむの声はどんどんか細くなっていき、ついに掻き消えた。 俺は一度も振り返らずに、公園を後にした。 おしまい。 ------------------------------------------------- あとがき。 最後まで読んでいただきありがとうございます。 思いつきで一気に書き上げたわりには意外と長めになってしまいました。 久しぶり?の虐待物だったので、少々忘れ気味で あれ?れいむってこういうしゃべりかただっけ…というようなところがちらほらあるようなないような なんだか最近勢いのある新しい人がたくさん活躍されてるみたいですね 自分も負けないようにがんばりますよ~! それではまた次回作で会いましょう。 ばや汁でした。 いつも多数のご意見ご感想ありがとうございます! この作品へのご意見ご感想も、どうぞお気軽にお寄せください。 個人用感想スレ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1278473059/ 今までの作品 anko1748 かみさま anko1830-1831 とくべつ anko1837 ぼくのかわいいれいむちゃん anko1847 しろくろ anko1869 ぬくもり anko1896 いぢめて anko1906 どうぐ・おかえし anko1911 さくや・いぢめて おまけ anko1915 ゆなほ anko1939 たなばた anko1943 わけあり anko1959 続ゆなほ anko1965 わたしは anko1983 はこ anko2001 でぃーおー anko2007 ゆんりつせん anko2023 あるむれ anko2068 おしかけ anko2110 とおりま anko2111 おもちゃ anko2112 ぼくとペット anko2223 まちかどで anko2241 かいゆ anko2304 ぼうけん anko2332 とかいは anko2349 たたかい anko2369 ゆっくぢ anko2413 せんたく anko2427 ぶろてん anko2489 あこがれ 前編 anko2588 ひとりぼっちのまりさ anko2807 母の音 anko2887 僕とれいむと秘密基地 餡小話では消されてしまった作品も多数ありますので、過去作を読みたいと思っていただけた方は ふたば ゆっくりいじめSS保管庫ミラー-ばや汁ページ- http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/395.html をご活用ください。 挿絵:トラップあき 挿絵:さなあき 挿絵:車田あき
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1410.html
※独自設定注意。山盛り出てきます。 ※人間に因る虐待表現はほぼ0です。 ※何故か書く度に長くなる罠。しかも前後編。 ※今までの話とは繋がっていません。……今のところ。 書いた奴:一言あき 本日の激務を終え、片道一時間程の郊外に構えた4LDKの我が城へ帰り着けたのは午前三時。 これで明日は朝九時出社だと言うのだから、ブラックにも程がある。 「ただいまー」 サラリーマン夢の一戸建てではあるが、ここに住んでいるのは俺一人。 田舎暮らしが性に合うらしく両親はこちらに出向こうともしないし、俺は独り身なので妻も子供も居やしない。 だが俺の帰宅の挨拶に、誰もいない筈の家の中から応えが来る。 「おにーさん、ゆっくりおかえりなさい!」 家の奥からぽいんぽいんと跳ね寄って来たのは、半年程前から俺のペットになったゆっくりれいむだ。 「きょうもおしごとごくろーさま!ごはんはどーするの?」 「あぁ、帰りにコンビニ寄ってきたから……」 「またそんな『じゃんくふーど』ばっかりだとからだこわすよ!きをつけてね!」 「……俺のオカンかお前は。風呂は沸いてる?」 「ぬるくなってるから、おいだきしたほうがいいよ!すいっち、いれてくるね!」 「頼んだ。……ああ、忘れてた。頼まれてたお土産買って来といたからな」 オール電化の恩恵で、ゆっくりでも操作できる風呂場に向かった背中に放った俺の言葉に、目を輝かせて振り返るれいむ。 「ゆっ!ありがとうおにーさん!ゆわ~い!」 一層軽快な足取りで跳ねて行くれいむを見送りながら、俺はビニール袋から買ってきた弁当とビール、そしてお土産の小壜を取り出す。 ビールで喉を潤し、揚げ物中心のカロリー過多な弁当をもそもそ喰っていると、追い炊きのスイッチを入れたれいむが戻って来た。 目をキラキラさせて俺の言葉を待つ様はご褒美をねだる子供そのもので、思わず苦笑いしながら俺は小壜を掲げてれいむに見せる。 「ほら、これだろ?今開けてやるから待ってろ」 「ゆっくりしないでさっさとあけてね!……ゆっ!?」 無意識のうちに口走ったのだろう、言い切ってからはっとした顔になるれいむ。 先程までの輝いた顔が嘘であるかのように意気消沈してしまう。 「……れいむ……お前な……」 「ゆぅ……ごめんね…………かってにおしゃべりしちゃうんだよ………」 嘘ではない。ゆっくりの本能なのか、こいつらは思ったことをそのまま口に出してしまうのだ。 調べた所、本来気心の知れた仲間同士で生活するこいつらは気遣いと言うものを知らないらしい。 おまけにとても物覚えが悪く、持って回った言い方が通じないため本音や直球で会話するのだそうだ。 人間で言う空気の読めない発言や、自分勝手な発言が多いのはその所為だ。 逆に空気が読めるゆっくりは本音を隠すのが上手いゲス候補なんだとか。 しかし、このれいむは普通のゆっくりとは違う。 こいつはとある事情で俺に頼らなければ生きていけない。それが解ったとき、 『お゛に゛い゛じゃ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!ごべん゛な゛じゃ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛い゛ぃ゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!』 と、こいつはボロボロ泣きながら何度も俺に頭を下げ、餌を貰う代わりに家の雑用をすると言い出したのだ。 雑用とは言ってもゆっくりの出来る事はたかが知れているが、この家でなら大概の事はスイッチを入れるだけで済むので、れいむでも結構使えるだろう。 そんな出来の悪い小間使いを雇う程度の気持ちで飼い始めたれいむだが、存外役立っていた。 基本午前様の俺を出迎え、風呂やら郵便物の受け取りやら、こいつが出来る範囲の事を一生懸命やり遂げようとしてくれる。 何より一人暮らしの身には、たとえゆっくりでも同居人が居ることが何よりも安らぐのだ。 世間一般で言われるゆっくりの評価が当て嵌まらない程出来の良いれいむは、最早俺にとって家族同然の存在だ。 しかし、そんなれいむでさえゆっくりの本能には逆らえないのか、たまにこんなゆっくり出来ない事を口走ってしまう。 そしてその都度、こうやって落ち込むのだ。 「まあ仕様がないさ。ゆっくりの宿命みたいなもんだろうよ、気にすんな」 俺の慰めに、れいむは力無い笑いを浮かべる。 「……でも、れいむはふつうのゆっくりじゃないよ。れいむはもうほかのこたちといっしょにゆっくりできないのに、こんなところだけゆっくりのままなんて……」 泣き出しそうなれいむを、俺は小壜の蓋を開けながら励ます。 「何、時間はまだまだあるさ。大体、生まれて半年経ってない子供が悟った事言うなよ。それに……」一旦言葉を切り、部屋の奥に目を向けながら続ける。 「仲間ならもうすぐ増えるさ。あいつ、どうやら成功みたいだしな。」 それを聞いたれいむの目が再び輝きを取り戻す。 「ほんとう!?あのこ、れいむとおなじになるの!?」 「お前と同じって訳にはいかないが、少なくとも普通のゆっくりとは違うわな。ほら、開いたぞ。丁度良いし、これで乾杯するか!」 「ゆわ~い!ありがとうおにーさん!」 俺はビールの缶を、れいむは口に銜えた小壜を合わせて乾杯する。 「「かんぱ~い!!」」 ビールを喉に流し込む。晩酌代わりの一本だが、今の俺には高級シャンパン並みの美味さに思えてくる。 俺は『タバスコ』の小壜をラッパ飲みする『真っ赤な髪』のれいむを見ながら、あの日の事を振り返っていた。 『激辛れいむと珈琲ありす 前編』 その日、俺はいつものように激務を終えて疲れた体を引きずり、午前様の帰宅を果たした所だった。 「ゆっ!ここはまりさたちのゆっくりぷれいすだよ!!じじいははやくでていってね!!」 「れいむはあかちゃんがいるんだよ!!じじいはあまあまをもってきてね!!あとしんでね!!」 だが、誰もいない筈の家の中で待っていたものは、割れた窓ガラスとぐちゃぐちゃに掻き回された室内、そして頭に茎を生やした汚い饅頭共だった。 「きこえないの!?ばかなじじいはさっさときえて「お前が消えろ」ゆ゛べじっ゛!!」 「ばり゛ざぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?!?!?」 只でさえ疲れていた上に饅頭の相手などしていられない。黒い帽子を被った饅頭に思いっきり足を振り下ろし、素早く生ゴミになってもらう。 「生ゴミは静かで良いな。んじゃ、ゴミの始末はよろしく。あ、こいつらそれまで人質な」 「でい゛ぶの゛あ゛がじゃ゛ん゛がえ゛ぜぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!」 赤いリボンを付けた掃除機が騒音を撒き散らすが、俺は掃除機がさっさと仕事を終えるよう、掃除機に生えていた雑草をもぎ取って人質にする。 尚も抵抗する掃除機だったが、俺が雑草に付いてた実を潰そうとすると大人しく仕事を始めた。 その姿を見ている内にふと思い付き、俺は茎を刺している花瓶代わりのグラスにあるものを混入する。 俺がそんな事をしている事に気付かないまま仕事を終えた掃除機が、また「あ゛がじゃ゛ん゛がえ゛じで!!」と喚き出したので適当に痛めつけてからガムテープで拘束。 身動きの取れない掃除機の目の前に、俺は茎を刺したグラスを置いてやった。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!でい゛ぶの゛!!でい゛ぶの゛あ゛がじゃ゛ん゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」 掃除機の顔色が真っ青になる。その目線の先に居たのは、グラスに注がれたタバスコの所為で黒ずんだ実。十個近く実っていたプチトマトサイズのそれが、一個を残して全滅していた。 辛いもの、渋いもの、苦いものはゆっくりにとって劇物だ。一個残っただけでも奇跡だろう。 「良かったな、一個は無事だぞ」 「よ゛ぐも゛あ゛がじゃ゛ん゛を゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛!!じね゛ぇ゛!!じじい゛ばじね゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛!!」 再び騒音を立て始めた掃除機を隔離するため、玄関に置いてあった魚の居ない水槽をひっくり返して被せ、俺は眠りに付いた。 翌朝、会社に出かける前に茎の様子を伺うと、もう目鼻が判別出来るくらいに育っていた。おそらく今晩辺りに生まれるんだろう。 「でい゛ぶの゛ばでぃ゛ざを゛がえ゛ぜえ゛え゛え゛!!でい゛ぶの゛あがじゃ゛ん゛を゛がえ゛ぜえ゛え゛え゛!!」 一晩中喚き散らしていたらしい掃除機の水槽にグラスを入れておく。ガムテープで固定された掃除機は動けないからグラスを割られる心配は無いだろう。 「赤ちゃんと仲良く語らってな。それじゃ、行ってきますっと」 「ぐぞじじい゛ばじね゛ぇ゛え゛え゛え゛!!じね゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!」 何か言ってるが、相手している時間がなかったので軽く無視して出社する。 何時ものように激務をこなし、何時ものようにコンビニに立ち寄り、何時ものように午前様で帰宅。 そして俺の帰宅を待っていたかのように、飲まず喰わずで喚きっ放しだった為か瀕死の掃除機の目前で、茎に付いていた実が震えてぽとりと落ちる。 「……で、でいぶの………あか……ちゃ……………ん……………?」 「……何だこれ?」 目を丸くする俺と掃除機を余所に、落ちた実は二、三回伸びをするように体を震わせて、勢い良く目を開ける。 「ゆっ、ゆっくちしちぇいっちぇね!!」 ご挨拶と言う奴なのだろう、舌足らずな甲高い声で定番の台詞を吐いたそいつは掃除機と同じれいむ種のように見えた。 だが、掃除機は黒髪なのに対してこいつは見事な赤毛をしていた。それも染毛剤による赤毛でなく、アニメとかに出てきそうな不自然な、それでいて自然な紅。 親と同じ色のリボンが隠れて見えなくなるような、完全な赤毛であった。 「…………ゆ?」 呆然としていた俺と掃除機の様子に小首を傾げる赤れいむ。ご挨拶の返事が返ってこないので不思議がっているらしい。 「ゆっくちしちぇいっちぇね!!」 「……解った、ゆっくりしてけ」 もう一度繰り出されたご挨拶に、俺は思わず返事してしまった。 途端に、赤れいむが目を輝かせて俺に跳ね寄って来た。 「ゆっ!おちょーしゃん!」 「……ゆ゛っ゛!?」 「……何?」 間違いない。今、こいつは掃除機じゃなく俺を見て『おとうさん』と呼んだ。おいおい……。 まさか刷り込みって奴か?生まれた直後に見たものを親だと思うってあれ。 ゆっくりの場合は最初の挨拶に返事を返した奴が親だって事か?危ない習性だな、それ。 「……俺はお前の親じゃないぞ?お前の親はこっち」 「お、おちびちゃん………、れいむがおちびちゃんのおかーさんだよ……?そっちのじじいじゃないよ………?」 爺って、まだそんな事言ってるのかこいつは。ムカついたので掃除機を叩き潰してやろうと振り上げた拳は、続く赤れいむの言葉に行き場を無くした。 「ゆっ!ちぎゃうよ!おきゃーしゃんはりぇいみゅに『ちねぇ!!』にゃんていわにゃいよ!!」 「ゆ゛ぅ゛う゛う゛う゛う゛!?!?!?」 そうか!こいつは茎に付いている時に聞こえた言葉を覚えているんだ。 そして本当の親がずっと垂れ流していた呪詛を聞いていたんだろう。 そりゃあ、子守唄の代わりに恨み言を聞かせる親なんざ親だと思いたくないわな。 「ち、ちがうよ!れいむはおちびちゃんにいってたんじゃないよ!!こっちのじじいにいってたんだよ!!」 「そりぇにおきゃーしゃんはしょんなゆっくちできにゃいことをいわにゃいよ!!!」 「ゆ゛ぎゅ゛う゛う゛う゛う゛う゛っ゛!!」 「まあ、そりゃそうだな。普通なら『じじい』なんて呼ばれてゆっくりできる訳無いって解るもんな。偉いぞ、ちび」 「おちょーしゃんにほみぇりゃれたよ!!ゆわ~い!!」 「じじいはだまっててね!!おちびちゃんはれいむのおちびちゃんなんだよ!!」 「あ、そうだ。ちび、お前ご飯まだだったろ?今喰わせてやるよ。この茎で良いんだよな?」 「でい゛ぶの゛ばな゛じを゛ぎげぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!」 喚き散らす掃除機を無視して俺は赤れいむの餌を準備する。とは言っても生まれたての赤ゆが喰うものは決まっている。 先程まで自分が実っていた茎。こいつが赤ゆの初めての餌になるらしい。胎生型とかだと自分の餡子を喰わせてやったりするようだが、植物型はこれが定番だ。 でも待てよ?タバスコに浸かっていた茎だぞ?赤ゆが喰っても大丈夫なのか? 不安になった俺はとりあえず掃除機に毒味をさせる事にした。 「そんなに言うなら、お前がやるか?確か茎を噛み砕いて柔らかくしてやるんだよな?」 「とうぜんだよ!!れいむのおちびちゃんなんだから、れいむがごはんをあげるにきまってるでしょお!?」 「五月蝿いぞ。喚くんじゃねえ」 こいつらは飾りが無くなったり欠けたりしただけで育児放棄するらしいのに、こんな明らかに異相の子供を見捨てないなんて見上げたもんだ。 そこだけは認めてやっても良いかもな。 そんな事を思いながら、俺はグラスから引き上げた茎を掃除機の口の中に押し込んでやった。 「むーしゃ、むーしゃ………ゆ゛げぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!」 咀嚼を始めた直後、掃除機が大量の餡子と一緒に茎を吐き出した。 「ゆわぁああああああ!?」 「うわ!汚ねえ!!吐き戻しやがった!!」 やはりあの茎はタバスコを吸い上げていたようだ。咀嚼した途端に口内に入って来た劇物に体が過剰反応を引き起こしたんだろう。 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛………」 掃除機が痙攣を起こし始めている。これはもう駄目だな。 「ちび、お前の親が死に掛けながら砕いてやった飯だ。きちんと喰ってやれ」 「ゆぅ……ほんちょうにおきゃーしゃんにゃの……?」 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛………」 「ああ、本当だ。お前の為に死に掛けてるのが何よりの証拠だろ?だから俺はお前の親じゃない。呼ぶんなら『お兄さん』にしとけ」 大体俺はまだ二十代だ。お父さんと呼ばれる年じゃねえ。 俺の言葉にようやく納得したのか、赤れいむは痙攣を繰り返す掃除機の傍に寄り、ガムテープの隙間から見える素肌に頬擦りを始めた。 確か、『すーりすーり』だったか?手足の無いこいつらのコミュニケーション方法だった筈だ。 「おきゃーしゃん……ありがちょう…………りぇいみゅ、がんびゃってゆっくちしゅりゅよ……」 頑張ってゆっくりするって、矛盾してないかそれ? 内心浮かんだ疑問を口に出さず飲み込んでいる間に、赤れいむは噛み砕かれた茎に近付く。 茎に齧り付こうとした所で、痙攣する掃除機が「ま゛……ま゛っ゛で………お゛ぢびじゃ゛ん゛……」とそれを止めた。 「……おきゃーしゃん……?」 「………その……くきさんは………からいからいだよ……………おかーさんの……あんこさんを…………たべてね………」 ああ、そう言えばそうだった。こいつ、茎を齧ってこうなったんだっけ。 しかし増々見上げた根性だ。自分の子供が知らずに毒を食べようとするのを止める為に、残った力を振り絞ったか。 その上自分の餡子を食べさせようとするなんて、いや人間でも中々いないんじゃないのか、こういう親。 結構良い親子になれたかも知れないな、尤もこいつを許すつもりは毛頭無いが。 「わきゃったよ……あんきょさん、ゆっくちりぇいみゅにたべられちぇね……、むーちゃむー……ゆげぇえええええっ!!!」 「おちびちゃぁあああ゛あ゛あ゛ん゛!?!?!?……ゆ゛ふ゛っ゛!!!!!!」 「わ!何だ何だ、何事だ!?」 餡子を口に含んだ途端、今度は赤れいむが餡子を吐き出した。 それを見た掃除機は余りのショックで今度こそ昇天したらしい。 そりゃそうだ。身を挺してまで助けようとした我が子が死に掛けたんだからな、しかも自分の餡子で。そりゃショック死位するわな。 しかし……何なんだこりゃ? 赤れいむは幸い致死量まで吐いた訳じゃないらしいが、吐いたものが問題だ。 赤い。何か見事に赤い。親の餡子と比べるまでもなく別物だ。 どうやら赤れいむの中に詰まっているのは餡子じゃないらしい。と、いうよりあの赤さはどこかで見覚えが……? 「!そうか、おいちび!そっちの餡子は喰うな!!餡子を避けて茎だけ喰え!!」 「……ゆ、ゆぅ………?」 「お前は親と違って辛いものしか喰えないんだよ!甘いものがお前にとって毒なんだ!!」 他のちびは耐えられずに死んじまったが、こいつは自分の中身を変える事で生き延びた。 その代償に、他のゆっくりと同じものが喰えなくなったんだ! 「ゆ……むーちゃむーちゃ……ち、ちあわせぇ~!」 やっぱりそうだ、茎だけならこいつは吐かずに喰える。 まさか、俺は気付かないうちにゆっくりの品種改良に成功してしまったっていうのか? なんてこった、面白いじゃないか! ゆん生初の食事を終えた赤れいむに、俺は事情を説明してやる。 流行病に罹ったれいむとまりさが、己の身も顧みず人里へ助けを求めに来た事。 その病は生まれる前の子ゆっくりにある治療を施す以外、助かる見込みが全く無い事。 その治療法でさえ助かる可能性はごく僅かである上、副作用で普通のゆっくりでは無くなってしまう事。 しかも治療の為には、ゆっくりでは到底払い切れない高額の費用がかかる事。 それを聞いた親まりさが自分の身と引き換えに、子供達の治療を要求した事。 その熱意に打たれ治療を施すも、赤れいむ以外の姉妹は治療に耐え切れず死んでしまった事。 全てを見届けるため、病気が進行して危篤状態だった親れいむが無理を押して赤れいむの誕生に立ち会った事。 そして、赤れいむにご飯をあげようとして毒性を持った茎を食べ、餡子を吐き出して死んでしまった事。 俺はある事ない事取り混ぜて、赤れいむに説明した。 一時間以上掛けた洗脳にとりあえず赤れいむは理解を示し、次いで自身の現状を問うて来た。 親を殺した猛毒の茎を食べて、自分は大丈夫なのかと。 「おそらく、これがお前の副作用なんだろう。普通のゆっくりなら甘いものが最大の栄養源だからな。それが逆転したんだ」 「………りぇいみゅ、ちぬの?きゃらいきゃらいしゃんは、どくなんでちょ?」 「いや、多分お前の体質自体が変わってるんだよ。要するに、お前には辛いものが毒にならない代わりに、甘いものが毒になるんだ」 「……ゆぅ………」 「まあ、この治療法で助かっただけでも御の字だろうさ。お前の姉妹は十匹近く居たんだぞ?それがお前残して全滅だ」 「……おにぇーちゃん……」 話が姉妹の事になった途端、赤れいむが涙ぐむ。天涯孤独になった事を今更実感したんだろう。 「生き残れた事を幸運に思えよ。でないと、親も姉妹も何の為に死んだのか解らないだろ?」 「……にゃんで?」 「お前を助ける為に命を張ったに決まってんだろが。そのお前がいつまでもグジグジ泣いててどうするよ。 頑張ってゆっくりするんだろ?だったら泣いてる暇なんか無いだろうに」 「…………ゆん!わきゃったよ!りぇいみゅ、がんびゃってゆっくちしゅりゅよ!」 泣いた烏がもう笑いやがった。と、思ったらよく見ると泣くのを我慢して無理に笑っているらしい。 (結構根性あるなこいつ) そう思った俺は暫くこいつの面倒を見る事を決めたのだ。 回想と食事を終え、烏の行水を決めた俺はゴミを捨てるついでに奥の様子を伺いに行く。 納戸の扉に平仮名で『ちりょうしつ』、その上に漢字で『実験室』と書かれたここに、れいむは殆ど近付かない。 扉を開けた途端に漂ってくる甘い香りが怖いらしい。れいむを怖がらせないよう、俺は素早く中に入って扉を閉める。 そこにあったのはわざわざ持ち込んだスチール棚に並んだガラス瓶やグラスの山。その中に満たされているのは様々な液体。 タバスコ、ラー油は言うに及ばず、古今東西の調味料や酒類、お茶の類いに至るまでがここに集められている。 そしてそれらの液体に浸かっているのは、貴重な休日に野山を駆け巡って収集して来た赤ゆっくりの茎だ。 ここは『新種のゆっくりを作り出す実験』をしているのだ。 勿論れいむには本当の事は教えていない。『これは治療だ』と言い張っている。 こうして実験するのももう何十回になるのか、未だ成功したのはれいむ一匹だけ。 茎が生えてから大体一週間くらいで生まれるらしいが、そこまでたどり着かずに黒ずんでしまう。 黒ずんだ赤ゆが放つ甘い匂いでむせ返りながら、俺はあるマグカップの前に立つ。 他の茎と同様に黒ずんだ赤ゆが鈴生りに実る中、一匹の赤ゆだけが寝息を立てている。 赤いカチューシャからしてありすらしいが、おそらく誰もそうだと思わないのではないか? 何故なら、ありすの特徴的な金髪が濃い茶色に染まり切っていたからだ。 俺は持って来たポットの中の液体をマグカップに注ぐ。 芳醇な香りが一瞬赤ゆ共の死臭を押しのけるが、すぐに混じって判別が付かなくなる。 マグの中で湯気を立てているのは、砂糖やミルクの一切入っていないコーヒーだ。 今の所、このありすが品種改良の成功例第二作となるのだろう。 この茎は出来立てホヤホヤのレイパー被害者から採取して来たもので、今日で五日目になる。 そろそろこの部屋から出しておいた方が良いかも知れない。 俺は黒ずんだ実ゆを毟り取りながら、マグカップをリビングへ運んだ。 「れいむ、そろそろ生まれそうだからリビングに出すぞ」 「ゆっ!あかちゃん、ぶじにうまれてきてね!」 フローリングの床に直接マグカップを置く。頼りなく茎にぶら下がるありすを、れいむが心配そうに見守っている。 「……おうたは禁止な。やるんだったら俺が居ない時にしてくれ。近所迷惑にならないように閉め切っておくから」 「ゆん!れいむ、うるさくしないよ!」 念のために釘を刺し、俺は短い睡眠を取るため自室に向かった。 振り返ると、れいむがマグカップの前に陣取る姿が見える。どうやら一晩中付いているつもりらしい。 (……随分とご執心だな。あれが噂に聞く『ぼせい(笑)』ってやつかね?) そんな事を思いつつ、俺は眠りに付いた……。 れいむは空調に合わせて揺れる実ゆを見守りながら、これまでのゆん生を振り返っていた。 れいむの一番古い記憶は、絶え間なく聞こえてくる『しね……しね……』と言う呪詛である。 生まれ落ちる寸前の一番ゆっくりするべき時期に聞かされたそれは、れいむの中に呪いとなってこびり付いた。 (りぇいみゅはいりゃないこにゃの?おきゃーしゃんはりぇいみゅがきりゃいなの?) ゆっくりのにんっしんっとは即ち中枢餡の発生である。そして中枢餡の原料は、親となるゆっくりの餡子そのものだ。 すっきりー!と呼ばれる行為で分泌される精子餡を受けた餡子が変異したそれが、胎生ならまむまむと呼ばれる器官に、 植物性なら茎を通して実ゆと呼ばれる外殻の中に移動した時点で、ゆっくりはその生態の大部分を形作る。 即ち、にんっしんっした時点で聴覚・嗅覚・触覚を肌で感知する統合感覚、『ゆっくりしたい』と願う本能、そして基本的な知識と自我は既に出来上がっているのだ。 ゆっくりが生まれる前の赤ゆにやたら話しかけたり、おうたを聞かせたりするのはそれを本能で理解しており、赤ゆをゆっくりさせようとするからなのだが…… このれいむは親の励ましやゆっくり出来るおうたの代わりに、最もゆっくり出来ない呪詛を聞かされ続けたのだ。 れいむは怯えた。まだ見ぬ親に、れいむをゆっくりさせない呪詛に。 (おきゃーしゃん、りぇいみゅいいこにしゅるよ!わがみゃみゃもいわにゃいよ!おきゃーしゃんのいうとおりにしゅるよ! だきゃら、だきゃらりぇいみゅをきらわにゃいで、りぇいみゅをころしゃにゃいで………!!) 恐怖に怯えながらも無事生まれ落ちたれいむが最初に見たものは、全身を茶色い帯でぐるぐる巻きにされたゆっくりと、大きな胴付きゆっくりだった。 「ゆっくちしちぇいっちぇね!!」 「……解った、ゆっくりしてけ」 産声代わりのご挨拶にお返事が無かった事を不審に思ったれいむが再度ご挨拶をした時、お返事を返してくれたのは胴付きの方であった。 お返事を返してくれた方が親に違いない。そう感じたれいむは胴付きの方へ駆け寄って呼び掛けた。 「ゆっ!おちょーしゃん!」 「……ゆ゛っ゛!?」 「……何?」 その言葉に激しく反応したのはぐるぐる巻きにされたゆっくりだった。 「……俺はお前の親じゃないぞ?お前の親はこっち」 「お、おちびちゃん………、れいむがおちびちゃんのおかーさんだよ……?そっちのじじいじゃないよ………?」 『おとーさん』が親である事を否定する脇から、恐る恐るといった様子でぐるぐる巻きのゆっくりが話しかけてくる。 しかし、れいむはその声に聞き覚えがあった。 それが生まれ落ちる寸前まで聞こえて来た呪詛と同じ声だと気付いたれいむは即座に否定した。 「ゆっ!ちぎゃうよ!おきゃーしゃんはりぇいみゅに『ちねぇ!!』にゃんていわにゃいよ!!」 「ゆ゛ぅ゛う゛う゛う゛う゛!?!?!?」 れいむの言葉に仰天して顔色を失ったぐるぐる巻きのゆっくりだが、すぐに言い訳を始める。 「ち、ちがうよ!れいむはおちびちゃんにいってたんじゃないよ!!こっちのじじいにいってたんだよ!!」 だが、その言葉はれいむの怒りを逆撫でしてしまった。 (おちょーしゃんをじじぃってよんだにぇ!!もうゆるしゃにゃいよ!!) ゆっくりは舌足らずながら、生まれた直後から言葉を使ってコミュニケーションをとる事が出来る。 それは即ち『会話に必要な経験を既に会得している』事を意味している。 人間や動物でさえ『学習』しなければ会得できない『経験』を、ゆっくり達は餡子を繋げる事でクリアしているのだ。 生まれたての餡子脳に蓄えられた僅かな語彙の中から、『じじい』と言う言葉が蔑称である事を理解していたれいむは、 更なる怒りを込めて目の前の汚物に言い放つ。 「そりぇにおきゃーしゃんはしょんなゆっくちできにゃいことをいわにゃいよ!!!」 「ゆ゛ぎゅ゛う゛う゛う゛う゛う゛っ゛!!」 「まあ、そりゃそうだな。普通なら『じじい』なんて呼ばれてゆっくりできる訳無いって解るもんな。偉いぞ、ちび」 悶絶する汚物と裏腹に、正しいご挨拶が出来た事を褒めてくれる『おとーさん』。 生まれる前から死に怯え、親との対面に恐怖すら抱いていたれいむにとってそれは何物にも勝る福音だった。 だが、そんなしあわせー!な時間は長くは続かなかった。 生まれて初めての食事、その一連の騒ぎの中で自分があの汚物の娘である事を突付けられてしまったのだ。 『おとーさん』の冷たく突き放したような言葉、自分を犠牲にしてまでれいむをゆっくりさせようとしてくれた親らしきゆっくり。 それらが全てあのぐるぐる巻きのゆっくりが母親である事を証明している事を受け入れたれいむは、茶色い帯の隙間に覗く母の頬にすーりすーりする。 「おきゃーしゃん……ありがちょう…………りぇいみゅ、がんびゃってゆっくちしゅりゅよ……」 そして母の忠告に従い美味しそうな匂いがする茎を避け、何故かゆっくり出来ない雰囲気を醸し出す餡子をむーしゃむーしゃした時、悲劇は加速した。 「あんきょさん、ゆっくちりぇいみゅにたべられちぇね……、むーちゃむー……ゆげぇえええええっ!!!」 口内に走る激痛、同時にこみ上げてくる吐き気と悪寒に、れいむは自分の餡子を吐き出してしまったのだ。 もし『おにーさん』の的確なアドバイスが無ければ、れいむのゆん生はそこで終わっていただろう。 一命を取り留めたれいむは、『おにーさん』から事情を聞かされた。 にんっしんっしたゆっくりが罹るというと言う流行病に感染した両親が、せめて子供達だけはと自分の身と引き換えに治療を依頼したと言う事、 治療が成功したのはれいむ只一人であり、それを見届けた母が錯乱してあんな奇行に走った事。そして…… 「………りぇいみゅ、ちぬの?きゃらいきゃらいしゃんは、どくなんでちょ?」 れいむの中身が、母の命を奪った毒物で出来ている事を。 『おにーさん』によれば、それでれいむが死んだりする事は無いが、通常のゆっくりにとってのご馳走である甘味が猛毒になる為、普通のご飯は食べられなくなったらしい。 「まあ、この治療法で助かっただけでも御の字だろうさ。お前の姉妹は十匹近く居たんだぞ?それがお前残して全滅だ」 この病に感染した大人のゆっくりはまず助からないそうだ。 生まれる前の赤ちゃんだけは助けられるらしいが、万に一つの確率でしかない。実質、不治の病で死の病なのだという。 れいむは心の中で両親と姉妹に何度も謝罪した。 そんな事も知らず、れいむは母を罵倒した。心の中で汚物扱いさえしてしまった。命を懸けて自分の誕生を見守ってくれていたのに。 父はゆっくりの身では購い切れない治療費の為に自ら加工所へ向かったそうだ。そこまでして助けてくれた事に、れいむの胸が熱くなる。 十人近く居た姉妹は治療に堪え切れず永遠にゆっくりしたという。見た事も無い姉妹が自分の代わりに犠牲になったようで、れいむの心に罪悪感となってのしかかってくる。 だが、涙を流して死んでしまった家族達に詫び続けるれいむを、『おにーさん』は一喝した。 「お前がいつまでもグジグジ泣いててどうするよ。頑張ってゆっくりするんだろ?だったら泣いてる暇なんか無いだろうに」 「…………ゆん!わきゃったよ!りぇいみゅ、がんびゃってゆっくちしゅりゅよ!」 『おにーさん』の励ましを受け、れいむはそのゆん生の第一歩を踏み出した。 しかし、れいむのゆん生はいきなりの挫折を迎えた。 自分を治してくれた『おにーさん』の厚意によって当面の住居と食事を確保したは良いが、その『おにーさん』が全然ゆっくりしてくれない。 毎日、朝早くに慌ただしく出かけて行ったっきり深夜になるまで帰ってこないのである。 如何にれいむの聞き分けが良くてもまだ生まれたての赤ゆだ。 本来なら付きっきりで面倒を見なければいけないのだが、そんな事おかまい無しで『おにーさん』は出かけてしまう。 留守の間はここに居ろ、と入れられた水槽の中で一人寂しく遊びながら、れいむは不満を募らせていた。 (りぇいみゅいいこにしてりゅよ……わがみゃみゃもいわにゃいよ……おにーしゃんのいうとおりにしてりゅよ……。 ……にゃんで、おにーしゃんはりぇいみゅとあちょんでくりぇにゃいの……?) 我侭の一つも言わず、ゆっくりの常識からすれば有り得ない『赤ゆだけのお留守番』を続けるだけの日々。 日を追う毎にれいむの不満は膨れ上がっていく。そしてその不満はとうとう爆発した。 「……おにーしゃぁああああん!ゆんやぁああああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 突然泣き出したれいむに吃驚した『おにーさん』。慌ててれいむを宥めながら話を聞く。 「……ぐすっ……おにーしゃん……なんで、りぇいみゅをおいちぇいくにょ……?りぇいみゅのこと……きらいなにょ………?」 りぇいみゅをおいちぇ、どきょにいきゅの……?いっちょにゆっくち、しちぇくりぇにゃいにょ………?」 「あん?何処にって……会社だよ。仕事をしに行ってるんだよ」 さも当たり前のように返された言葉に、れいむは顔を上げて質問を重ねる。 「……おしぎょちょ……?」 「あー………、お前らで言う狩りみたいなもんだ。もっと難しくてややこしいがな」 「にゃんで、しょんにゃこちょしゅりゅにょ……?」 「そりゃ俺が人間だからだよ。人間は仕事をしなきゃ食って行けないんだ」 その答えに、れいむは頭だけで器用に首を傾げた。 「……にんげんしゃん?」 『おにーさん』が詳しく調べた所、どうやられいむの餡子脳に焼き付いたゆっくりの常識は相当曖昧になっているらしい。 今まで人間とゆっくりの区別がついていなかったのかよ、と『おにーさん』は呆れたが、どうやら原因は彼にあるようだった。 「実験もとい治療の副作用だな。こんな結果が出るとは俺も思ってなかったが」 治療の為に母親の頭から切り離されたため、本来生まれ落ちるまでに受け取る筈だった記憶や経験が一部受け継がれていないのが原因らしい。 「ゆぅううううん!じゃあおにーしゃんはにんげんしゃんなんだにぇ!」 「ああ、そうだ。んで、お前はゆっくりって訳だ」 たっぷり時間を掛けた説明により、れいむにもようやく『おにーさん』達が『人間さん』と呼ばれる種族で、ゆっくりとは違う生き物らしいことが理解出来た。 そして『人間さん』は毎日お仕事をしなければいけないと言う事も。お仕事って何をするの?と尋ねるれいむに、『おにーさん』は苦笑しながらこう応えた。 「そうだな、お前にも解るように言うなら『他人をゆっくりさせる』事だ」 その答にれいむは仰天した。他人をゆっくりさせる!?その為に、『おにーさん』は毎日ゆっくり出来ないのに!? その疑問を素直にぶつけて来たれいむに対し、『おにーさん』はこう返したのだ。 「いいか、れいむ。俺は野菜を作れないし、服だって作れない。家なんて尚更だ。でも、野菜を作る農家の人や服を作る職人さん、家を建てる大工さんが出来ない事を俺は出来る。 だから俺が出来ることで誰かをゆっくりさせてあげて、同じように俺の出来ない事でゆっくりさせて貰うんだ。それが、仕事をする、働くって事なんだよ」 そう言ってお仕事に向かう『おにーさん』の背中を呆然と見送りながら、れいむの中にある思いが芽生えていた。 そうだ、いつまでも泣いてばかりは居られない。父や母、そして姉妹が分けてくれたゆっくりのおかげで生き残った自分には、やらなければならない使命がある。 人間さんが他人の為にゆっくりしないで頑張るように、れいむもまた皆をゆっくりさせねばならない。自分が貰ったゆっくりを、皆に返さないといけないのだ。 命と引き換えにしたゆっくりを、十人分以上も貰ったのだ。これから先の生涯全てを掛けても、はたして果たせるかどうか解らない。 (……しょりぇでも!りぇいみゅはやりとぎぇてみしぇりゅりょ!!おきゃーしゃん、おちょーしゃん、おにぇーちゃん、りぇいみゅをゆっくちみちぇちぇにぇ!!) れいむは知らなかったが、それは『ゆっくりがえし』と呼ばれる行為だった。 ゆっくりさせて貰った分、相手をゆっくりさせるという最も原始的なゆっくりの価値観であり、現在を生きるゆっくり達から失われてしまった美徳である。 図らずもれいむは両親から受け継ぐ筈だった記憶の代わりに、祖先の価値観を復活させた『先祖返り』を起こしていたのだ。 とはいえ、ゆっくりはゆっくり。どんなに壮大な目標を掲げようが、生物界で最弱を誇る饅頭に出来る事などたかが知れている。 『おにーさん』のお仕事を手伝おうにも何がなんだかさっぱり解らなかったし、ご飯を集めてこようにも何処に何があるのかすら知らなくてはどうにもならない。 れいむの意気込みは早々に頓挫した。 「お゛に゛い゛じゃ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!ごべん゛な゛じゃ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛い゛ぃ゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 しかし自分が何も出来ない無能であると知ったれいむが号泣しながら『おにーさん』へ謝った時、彼はこう言ってくれたのだ。 「お前、まだ赤ゆだって事忘れてないか?何も出来ないなら、出来る事を覚えりゃ良いんだよ。 第一、子供の仕事は勉強だぞ?お前はまだ何も勉強してないだろうが。俺が教えてやるから、勉強してみろ」 『おにーさん』が教えてくれたのは、お家の中に沢山ある『ぴこぴこさん』の使い方だった。 『ぴこぴこさん』は大抵黒い小窓とセットになっており、使う度に小窓に何かが表示される。 『おにーさん』が言うには小窓に浮かんでいるのは文字と言う物で、『ぴこぴこさん』が何をしてくれるのかを教えてくれるらしい。 だが、文字はとても種類が多く、れいむがどうにか読めるようになったのはアラビア数字が精々。 最終的には二桁まで数える事が出来るようになったものの、平仮名や片仮名は幾つか読める程度以上にはならなかった。 それでも、れいむの赤ゆ言葉が抜ける頃には殆どの『ぴこぴこさん』を扱えるようになっていた。 「これでぴこぴこさんはつかえるようになったよ!」 「ぴこぴこじゃなくてリモコンだっての。……まあ、これだけ使えるなら留守番くらいは出来るか」 手狭になった水槽から出されたれいむに与えられた仕事は『おるすばん』である。 流石に来客の応対などは不可能なので、主にやるのは『おにーさん』の帰宅に合わせて風呂の追い炊きやエアコンのスイッチを入れる程度だが。 『おにーさん』からは『家の中を汚したり物を壊したりしなければ何をしてても良い』と言われていたが、れいむはなるべくリビングから出ようとはしなかった。 (おにーさんのたいせつなおうちは、れいむがまもるよ!!) そんな使命感に駆られ、れいむはリビングのサッシから毎日お外を見張っていたのだ。 決してリビングで日向ぼっこをしていたり、専業主婦よろしく昼ドラに見入っていた訳ではない、と思う。多分。 れいむが留守番を任されるようになってから一ヶ月余り経った頃、事件が起きた。 「ゆっ!ここをれいむたちのゆっくりプレイスにするよ!」 「「「「「ゆ~♪」」」」」 遅刻寸前だった『おにーさん』がうっかり閉め忘れた玄関から、野良らしきれいむの一家が侵入して来たのだ。 「ここはおにーさんとれいむのゆっくりプレイスだよ!!かってにはいってきちゃだめだよ!!」 「ゆん?おかーさん、あそこにへんなれいむがいるよ?」 「ゆ?……ゆっくりできないれいむはゆっくりしねぇ!!」 全く無遠慮に、我が物顔で上がり込んでくる一家を押しとどめようと姿を現したれいむに向かい、全力で体当たりしてくる親れいむ。 生まれて二ヶ月しか経ってないれいむが抵抗できる筈も無く、呆気なく吹き飛ばされてリビングの中央まで吹き飛ばされた。 「ゆぎぃ……いじゃいよう………」 「おちびちゃん!あんなへんなかみのけさんのれいむにちかづいちゃだめだよ!かみのけさんがあんなふうになるよ!」 「かみのけさんがあんないろになるのはゆっくりできないよ!」 「へんなかみのけのれいむはゆっくりしないでしんでね!」 れいむの髪は真っ赤に染まっている。勿論天然だが、明らかな異相を持つれいむをこの一家は『ゆっくりできない』と認定した。 しかしれいむは殺されなかった。病気か何かだと思われたからだ。 痛みに悶えて動けないれいむを尻目に、一家はリビングの様子に目を奪われていた。 カーペットが敷かれたリビングはとても広く、今まで暮らして来たお家とは雲泥の違い。 日当りの良さそうな窓際に置かれたムートンの座布団はふかふかで、実に座り心地が良さそうだ。 お城の形に積み上げられた積み木はカラフルで様々な形が用意されており、いくら遊んでも飽きないだろう。 車輪の付いた滑り台の階段は緩やかで、子ゆっくりでも簡単に登れるようになっている。 犬用の給水器に蓄えられたあまあまジュースは一家全員でも飲み切れまい。 その側に置かれた餌皿には、見た事も無いゆっくり出来そうなご飯が山盛りにされていた。 まさに一家が思い描いた理想の『ゆっくりプレイス』がそこにあった。 余りの感動にしばし無言になっていた一家だったが、一番小さな子れいむが鳴らした腹の音で我に帰る。 「ゆっ!みんな、あそこのごはんさんをいっぱいむーしゃむーしゃしようね!!」 「ほんとう!?あんなにいっぱいむーしゃむーしゃしていいの?ゆわ~い!」 「あんなごはんさんはみたことないよ!おいしそうだね!」 親れいむの言葉に一番大きな子まりさが喜び、恐らく次女であろうれいむがその味を想像して涎を垂らす。 そして一回り小さな子まりさ二匹と子れいむが餌皿に向かって駆け出した。 「まりしゃがいちばんさいしょだじぇ!」「まりしゃがさきだじぇ!!」 「おにぇーしゃんずるい!れいみゅもむーちゃむーちゃしたいよ!」 その姿に苦笑しながら、親れいむも食事をするべく餌皿に向かう。 その足を止めたのは、背後から聞こえて来たか細い声だった。 「……だめだよ……それは、れいむのごはんさんだから………たべちゃ、だめなんだよ………」 「なにいってるの!れいむはしんぐるまざーなんだよ!かわいそうなんだよ! そんなれいむからごはんをうばおうとするれいむはゆっくりしないでしんでね!!」 痛みで涙目になりながらも、赤髪のれいむは餌皿に向かう一家を制止する。 が、親れいむには只の強がりにしか見えなかった。 潰してしまいたいのを我慢しながら、親れいむは餌皿に目を向ける。 視線の先では一着を取ったらしい子まりさが、大きく開けたお口でご飯に齧り付く所であった。 「ゆっくちいただきます!むーちゃむー……ゆげぇえええええ゛え゛え゛え゛え゛え゛っ゛!!」 「ま、まりさぁああああ!?!?!?」「おにぇーしゃぁああん!?」「ゆわぁあああ!?まりさのいもうとがぁあああ!!」 だが、そんな微笑ましい光景が即座に地獄に変わる。 餌に齧り付いた子まりさが突然、明らかに致命傷な量の餡子を吐き出したのだ。 仰天した親れいむが駆け寄るが、子まりさは既に「ゆ゛っ゛……ゆ゛っ゛……」と虫の息。もう助からないのは一目瞭然だった。 それでも一縷の望みを懸け、親れいむは給水器のジュースを勢い良く吸い込んだ。 「……ゆ゛っ゛!?!?!?」 最初に感じたのは違和感。舌先が痺れるような、ちっともあまあまじゃない感覚。 一瞬遅れて襲って来たのは、全身を打ち抜く途轍も無い衝撃であった。 「ぶべぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛っ゛!!!!!な゛に゛ごれ゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛っ゛!!!!!」 口に含んでいたジュースを思いっきり吹き出す親れいむ。その飛沫は、子れいむの周りに集まっていた子供達に直撃した。 真っ赤なそれが無防備な子供達に降り掛かる。次の瞬間、子供達は魂消るような絶叫をあげて苦しみ出した。 「ゆぎゃああああ゛あ゛あ゛あ゛!!!い゛じゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛い゛い゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛っ゛!!!!」 「おべべがぁ!!りぇいみゅのきれいなおべべがぁああ゛あ゛あ゛!!!」 「いだい!いだいぃい!!とって!これとってぇええ゛え゛え゛!!」 「おぎゃあぢゃぁあああん!!いだいよぉおおお!!はやぐべーろべーろぢでぇええ゛え゛え゛!!」 阿鼻叫喚に陥る一家。山盛りになった『激辛スナック菓子』と『タバスコの希釈液』という劇物がもたらした悲劇であった。 「ゆ……だからいったのに………」 赤髪れいむがぽつりと漏らす。耳聡くそれを聞きつけた親れいむが鬼の形相で詰め寄った。 「おばえの、おばえのしわざだね!!ゆるさないよ!!」 「れいむのせいじゃないよ……、れいむはとめようとしたんだよ……。 それより、このままじゃおちびちゃんたちがしんじゃうよ、きっちんにいけばおみずがあるから、それであらえば……」 「ゆっ!だったらゆっくりしないでさっさとおみずさんをもってきてね!!」 「きっちんのながしだいは、れいむたちじゃとどかないよ……、はしごさんをもっていかないと………」 痛む体を引き摺って、赤髪れいむはキャスター付きの滑り台へ向かった。 実はこの滑り台、赤髪れいむの手が届かない所をカバーする為に用意された足場なのだ。 ゆっくり用の遊具の中で、足場代わりになりそうなものがこれしか無かった為である。 車輪が付いているので、赤髪れいむでも一生懸命押せば動かす事が出来た。 「ゆんしょ、ゆんしょ……」 とはいえ、それは万全の体調だった場合の話。 倍程も違う親れいむに突き飛ばされた赤髪れいむに、そんな力は出せなかった。 「なにやってるの!ぜんぜんうごいてないよ!このぐず!!れいむはぐずはきらいだよ!!」 そして赤髪れいむの怪我の元凶である親れいむは手伝おうともしないで、必死に踏ん張るれいむに罵声を浴びせるだけだった。 そうこうしている合間にも、子供達の苦痛の声は続いている。そしてとうとう、一番小さなれいむが痙攣を起こし始め、 「……もっちょ………ゆっくち……しちゃかっ………」 その言葉を最後に、遂に動かなくなってしまった。 「ゆ゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!お゛ぢびぢゃ゛ん゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 番だったまりさが残した大切な忘れ形見の、あまりにもゆっくり出来ない最後に母れいむは絶叫する。 何故、どうしてこうなった?母れいむの脳裏で渦巻く疑問。 まりさが死んでご飯が獲れなくなり、周りの草花を喰い尽くして虫さえ寄ってこなくなったお家の代わりを探しているうちに見つけた大きなお家。 随分慌てた様子で人間さんが出て行くのが見えた。恐らくこのお家がゆっくり出来なくなったので他のお家を探しに行ったのだろう。 だったらこの空き家は自分達が貰おうとお家宣言した途端、突然現れた変なれいむに邪魔をされた上に大切なおちびちゃん達を殺されてしまった。 そうだ、全てこの気持ち悪いれいむの所為に違いない! あまりにも身勝手な、真実とは程遠い捏造された記憶から導き出された結論に突き動かされ、親れいむは赤髪れいむに躍りかかった。 「げずな゛れ゛い゛む゛ばゆ゛っ゛ぐり゛じな゛い゛でじね゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!!」 「ゆっ!?」 醜く歪んだ凶相を振りかざして勢い良く跳ね上がって踏み潰そうとする親れいむの姿に圧され、赤髪れいむは咄嗟に転がって避ける。 目標を見失った親れいむは、そのまま先程まで赤髪れいむが動かそうとしていた滑り台に激突した。 赤髪れいむより大きな質量を叩き付けられた滑り台が、与えられた運動エネルギーのままに勢い良く走り出す。 その車輪の先にいたのは、未だにタバスコに苦しみもがく子供達であった。 「ゆ゛ぎゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!ごろ゛ごろ゛ざん゛ごっ゛ち゛ごに゛ゃ゛い゛で゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!」 慌てて横へ転がり、逃げ出す子れいむ。 そして逃げ遅れた子まりさ達が気付いた時には、滑り台は目前に迫っていた。 そして、 「ゆべっ!!」 まだ小さな子まりさを引き潰し、その皮と餡子を車輪に巻き込み、 「ゆがっ!!」 大きい子まりさを跳ね飛ばして、ようやく滑り台は止まった。 「ゆ~おそらを……づみ゛ぎざん゛どい゛て゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!ゆ゛びゃ゛っ゛!!!!!」 跳ね飛ばされた子まりさを受け止めたものは、お城の形に積み上げられていた積み木だった。 ガラガラと崩れ落ちる積み木に埋もれるまりさを一先ず置き、親れいむは車輪に車輪に巻き込まれたまりさの元へ向かう。 何故なら、それだけの大惨事にも拘らず、まりさはまだ生きていたから。 「おぎゃあじゃああああん………いぢゃいよぅ…………たぢゅけでぇええ…………」 とはいえ、最早助からないのは明白だった。 生まれて間もない赤ゆの柔らかい肌が仇となり、体の大部分を車輪に巻き込まれてしまった為に動く事すら敵わない状態。 溢れた餡子が車輪に押し戻され、塞がれていたのも不運であった。 自力で這い出す事も出来ず、傷口を車輪で塞がれているので失餡死すら出来ず、まりさに出来たのは母に助けを求める事だけだった。 「おぢびじゃあああああん!!いまたすけるからねぇえええ!!」 「ゆっ!だめだよ!いまうごかしちゃったら……!!」 赤髪れいむの制止すら聞かず、親れいむはまりさの上に鎮座している滑り台を退かそうと動かした。動かしてしまった。 「ゆ゛ぐぁ゛w゛ぜd゛r゛f゛t゛g゛y゛ぶじごl゛p゛!!!!!!!!!」 声にならない叫び声をあげ、まりさがぷくーっ!したかと思った次の瞬間、餡子を散らして爆ぜた。 何が起こったのか理解できずに硬直した親れいむに、返り餡が浴びせられる。 ほかほかの、まだ温かい餡子が親れいむの金縛りを解いた。 「お………おちびちゃぁあああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛ん゛ん゛ん゛っ゛!!!!!!!!!」 先程までの絶叫を超える、とんでもない声量の絶叫に窓ガラスがビリビリと震える。 親れいむが滑り台を動かした事で体内の餡子が押し出され、まりさの体が内圧に堪えられずに破裂したのだ。 赤髪れいむの制止を聞いていれば、あるいは助かる可能性があったのかも知れない。 よりによって親れいむは自分でその可能性を摘み取ってしまったのだ。 しかし親れいむはそれを認めなかった。 餡子をフルに回転させ、自分の子供を殺した犯人を捜す。 瞬き程の時間を掛け、親れいむは赤髪れいむが犯人であると確定した。 「こぉおおおのぉおお!どげすがぁあああああ!!!」 「ゆ゛っ゛!?」 鬼の形相で睨みつけてくる親れいむに、赤髪れいむの全身がすくみ上がる。 「おちびちゃん!このげすをころすよ!てつだってね!………おちびちゃん?」 自分の呼び掛けに返答が無い事を不審に思った親れいむが、積み木のあった場所に目を向ける。 そこにあったのは、全身を積み木に貫かれたまりさの姿だった。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!!!」 最早何度目かも解らない親れいむの絶叫が響き渡る。 積み木は前日に赤髪れいむと『おにーさん』によってお城の形に積み上げられていた。そこにまりさが突っ込んだのだ。 屋根に使われていた三角錐、城壁に使われていた立方体に直方体、塔に使われていた円柱や角柱。 怪我をしないよう角を丸く削った配慮も意味を成さず、方体に削られ、円柱に打たれ、とどめに中枢餡を三角錐に貫かれたまりさは悲鳴を上げる間も無く即死したのだ。 一先ず置かれた時にはもう死んでいたのは幸いだったのだろう、親れいむに見捨てられる瞬間を目撃しなくて済んだのだから。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!でい゛ぶの゛お゛ぢびぢゃ゛ん゛だぢがじん゛じゃ゛っ゛だぁ゛あ゛あ゛あ゛!!!…………ゆっ!?」 相次ぐ愛娘の死に狂乱していた親れいむがふと気付く。 親れいむのおちびちゃんはまりさ、れいむ、まりさ、まりさ、れいむ、の順番である。 その内死亡が確認できたのはまりさ、まりさ、まりさ、れいむ、だ。 (……そうだよ!れいむにはまだれいむににたおちびちゃんがいるよ!) そう、次女に当たるれいむはまだ無事な筈だ。先刻、滑り台がぶつかる寸前に逃げ出したのを親れいむは目撃している。 だが、先程の呼び掛けに返事を返してくれなかったので忘れていたのだ。 まさかタバスコにやられてしまったのか?不安になった親れいむが視線を巡らすと、親れいむから若干の距離を置き、子れいむがこちらの様子を伺っているのが目に入る。 「おちびちゃあああん!!ぶじだっ「こっちくるなぁああああ!!」ゆ゛っ゛!?!?」 我が子の無事を喜び駆け寄ろうとした途端に拒絶され、親れいむの足が止まる。 よく見れば子れいむは警戒心を露にしており、親れいむの事を仇を見る目で睨みつけていた。 「ど……どうしたの、おちびちゃん?れいむはおかーさんなんだよ……?どうしてそんなめでみるの……?」 恐る恐る問いかける親れいむに、子れいむは憎悪の篭った昏い瞳を向けて吐き捨てる。 「ゆっくりごろしのゆっくりできないおやは、ゆっくりしないでしね!!」 「どぼじでぞん゛な゛ごどい゛う゛の゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛お゛!?!?」 愛娘から浴びせられた罵声に目を剥いて驚愕する親れいむ。 しかし、子れいむは親の言葉を一蹴した。 「どうしてって、よくいえるね!れいむのいもうとたちをころしたのはおまえじゃないかぁあああ!!」 そう、自分の所行をまるで理解していない親れいむの凶行を、子れいむは全て目撃していたのだ。 毒を食べる様命令して妹まりさを殺し、自分達に痛くなる液体をぶち撒けて妹れいむを死なせ、滑り台で姉まりさを跳ね飛ばした上に妹まりさを轢き、とどめまで刺した。 いや、それ以前にこの地獄のような場所に子れいむ達を連れて来たのは他でもない、この親れいむである。 既に子れいむには目の前のゆっくりが親であるという認識は無い。姉妹を殺し、自分をも苦しめた仇敵にしか見えなかった。 一方、親れいむは娘の拒絶に困惑していた。 一体何を言っているのか?親れいむが子供達を殺しただなんて、とんでもない言い掛りだ。 第一、子供達を殺したのはあの気持ち悪いれいむであり、一緒に制裁しようとして無事な娘を呼んだのに。 そこまで思考が及んだ時、親れいむの脳裏に閃くものがあった。 (……ゆ?もしかして、おちびちゃんはあのげすのなかまなの?) それは証拠も何も無い思い付きだが、親れいむはその仮定をあっさり肯定してしまう。 途端に親れいむの視界から娘が消えた。その代わり、ゆっくり出来ないゲスれいむが目の前に居る。 体の奥底から湧き上がる憎悪に身を任せ、親れいむは先刻まで愛娘と信じていた子れいむに踊り掛かった。 「ゆっくりできないげすはしねぇええええええ!!」 突然跳ね上がった親れいむを、子れいむは滑り台の時と同じく転がって避けようとする。 「ごーろごーろするよ!!……い゛じゃ゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 子れいむが転がった途端、余りにも堪え難い痛みが全身を貫く。皮のあちこちにタバスコが染み込み、火傷と同じケロイド状態になっていたのだ。 何かが触れる度に悶えて転げ回れば転げ回る程、被害は拡大していく。 痛みに霞む子れいむの視界に、上空から親れいむのあんよが急速に近付いて来る様が映し出される。 「ごっ゛ぢぐる゛な゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 激痛で満足に動けない体では避ける事も出来ず、子れいむは親れいむの踏み付けを喰らうしか無かった。 「ゆ゛びぃ゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!!い゛じゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛い゛い゛い゛い゛い゛ぃ゛い゛い゛い゛い゛!!!!!!」 一回り大きな親れいむの体が子れいむを押し潰す。だが、子れいむは生きていた。 中途半端に避けた所為で、体の大部分を潰されても中枢餡は無事だったからだ。 どうあっても助からないのは目に見えていたのだが。 「ゆっくり!!できない!!くずは!!ゆっくり!!しないで!!しねぇ!!!」 「ゆ゛ぎっ゛!!い゛だい゛っ゛!!や゛べで!!ぢん゛ぢゃ゛う゛!!でい゛ぶ!!じん゛じゃ゛う゛ぅ゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」 親れいむが子れいむの上で飛び跳ね始める。子れいむにとどめを刺すつもりなのだ。 「や゛べで!!お゛ぎゃ゛あ゛じゃ゛ん゛や゛べでぇ゛え゛え゛え゛!!」 「うるさいよ!!おやにしねっていうげすは!!れいむのおちびちゃんじゃないよ!!」 微妙に中枢餡を外して執拗に繰り返される踏み付けに、子れいむが先程までの遣り取りを棚に上げて助命を懇願するが、母れいむは耳を貸さない。 子れいむは必死で逃げ出そうとするが、動き出すよりも先に母れいむの攻撃が当たる為に動く事もままならない。しかしその時、双方にとって不測の事態が起きた。 「ゆわあっ!?」 「ゆ゛っ゛!?」 子れいむの執念が通じたのか、親れいむが足を踏み外して無様に転げ落ちたのだ。その隙に子れいむは這いずるように逃げ出す。 「ゆ゛びぃ゛……ゆ゛ぐぅ゛………」 子れいむの体は半分が潰され、餡子が半分程も流れ出した状態であった。 こうなっては最早手の施しようは無い。むしろ一息に潰してしまった方が余程慈悲深いだろう。 それでも、子れいむは母から逃げるように這いずり始める。 激痛に顔を歪め、一歩ごとに餡子を漏らしながら、それでも尚見せる生への執着を、 「どこへいくの!?にがさないよ!!」 粉微塵に粉砕するべく、親れいむは猛然と子れいむに襲い掛かった。 満身創痍の子れいむと殆ど無傷の親れいむ。普通に見ればもう結果は見えているも同然であったが、それでも子れいむは歩みを止めない。 いよいよ母の兇手が届こうかという正にその時、子れいむはギリギリで目的の場所に辿り着いた。 「ゆ゛わ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!!」 「ゆぎゃああああぁああ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!?!?!?」 親れいむが再び転げ回る。しかし今度のは自爆ではない。 「ゆ゛ぎぃ゛い゛い゛い゛い゛!!でい゛ぶの゛あ゛ん゛よ゛がぁ゛あ゛あ゛!!でい゛ぶの゛びぎゃ゛ぐがぁ゛あ゛あ゛あ゛!!」 親れいむが勢いよく踏みつけたのは、子れいむが最後の力を振り絞って引き寄せた積み木だった。 そう、子れいむは姉まりさの命を奪った積み木を目指していたのである。 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛……ざまあみろ、おねーちゃんといもうとのかたきだ……ゆぶぅっ………」 壮絶な笑顔を貼付け、子れいむはみっともなく転げ回る母を一頻り嘲笑うとそのまま力尽きた。 瀕死の体に鞭打ってまで求めたのが本当に敵討ちだったのだろうか?最早それは誰にも解らない。 ただ一つ確かなのは、子れいむ達姉妹が全滅した事で親れいむがしんぐるまざーからただのゆっくりに戻った、という事だけであった。 赤髪れいむは目の前で置きた出来事が信じられなかった。 母と娘が互いを罵り合い、そして殺し合った光景が。 「なんで……どうして……、おかあさんなんだよ………おちびちゃんなんだよ………かぞくなんだよ………」 見知らぬ自分の為に加工所へ行った父、知らずにとはいえ自分の為に毒を食べた母。 無償の愛を受けて生まれた赤髪れいむにとって、子を殺す親の存在なぞ理解の範疇に無い。 まして『ゆっくりがえし』を目標に立てている身からすれば、親を殺す子は居てはいけないもの。 混乱の極地に陥り、ただ震えているしか出来なかった赤髪れいむの漏らしたつぶやきを、親れいむは激痛の極地に居ながらも聞き逃さなかった。 「お゛ばえ゛ぇ゛……お゛ばえ゛の゛ぜい゛だぁ゛あ゛あ゛……でい゛ぶの゛お゛ぢびぢゃ゛ん゛が……み゛ん゛な゛じん゛じゃ゛っ゛だじゃ゛な゛い゛がぁ゛あ゛あ゛あ゛…………!!」 「ゆ゛う゛ぅ゛う゛う゛う゛う゛う゛!?!?」 とんでもない言い掛りだが、赤髪れいむにはそれを否定することも抗議する事も出来なかった。 角の丸められた積み木にあんよの大部分を引き裂かれ、先程の子れいむを彷彿とさせる大怪我を負いながら。 鬼の如き形相で睨みつけ、地獄の底から響くような声で呪詛を叩き付けてくる親れいむの姿に、一切の思考が麻痺してしまったのだから。 「ぞごぉ゛お゛お゛お゛う゛ごぐな゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……………お゛ばえ゛だげばゆ゛る゛ざな゛い゛よ゛ぉ゛お゛お゛お゛…………」 「ゆんやぁああああああぁああああああっ!!こないでぇえええええぇえええええええ!!」 幽鬼のようにずり、ずりと這い寄ってくる親れいむ。その余りの迫力に赤ゆのようにしーしーを漏らしながら、赤髪れいむは涙を流して怯えるだけ。 金縛りになった赤髪れいむの目前に立ち、親れいむは鬼の形相のまま彼女に迫った。 「じぃ゛い゛い゛い゛い゛い゛ぃ゛い゛い゛い゛い゛ね゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!!!」 「ゆぎゃぁあああああ゛あ゛あ゛あ゛!!……ゆ゛げぇ゛っ゛!!」 恐怖が限界に達したのか、赤髪れいむが餡子を吐く。血よりも尚真っ赤な色をした餡子が返り血のように親れいむに降り掛かる。 「ゆ゛ぎべぎゃ゛お゛ごお゛お゛お゛う゛う゛ぅ゛う゛う゛う゛!?!?!?!?」 次の瞬間、名状し難き悲鳴を上げて悶絶したのは、親れいむの方であった。 全身を苛む痛みを一瞬で吹き飛ばす激痛に転げ回り、先程赤髪れいむが漏らしたしーしー溜まりに親れいむが突っ込む。 「ゆ゛じゃ゛ぎゃ゛ぎごげぐぐぐぎぼぉ゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!!!!!!」 破けたあんよから覗く親れいむの餡子を、赤髪れいむのしーしーが強烈な痛みで灼いていく。 灼熱する痛みに脳裏を真っ白にして悶え苦しむ親れいむに度肝を抜かれ、赤髪れいむは立ちすくむのみ。 「どぼじで…………でい゛ぶが…………ごん゛な゛べに゛……………、も゛っ゛ど………ゆ゛っ゛ぐり゛………じだがっ゛………………」 たっぷり苦しみ抜いた後、末期の言葉でさえ自分の罪を認めないまま、親れいむも先立った子供達の後を追う。おそらくあの世でも殺し合うのだろうが。 後に残された赤髪れいむはそのまま『おにーさん』が返って来るまで呆然としていたのだった。 『ゆっくりは、ゆっくり出来ないと判断したものを排除しようとします。 ゆっくり出来ないものには個体差がありますが、大きく分類すると『自分の命を脅かすもの』と『自分を不快にさせるもの』に分かれます。 前者は言うまでもありませんが、後者は矯正が必要な場合が多々ありますので、注意が必要です。 ゆっくりは異相の同属を認めません。自分と同じようで違うものを見せられて不安になってしまうからです。 お飾りを無くしたゆっくりが排除されるのも同様で、自分がお飾りを無くした様に感じられて不安になる為です。 ですので、同属への攻撃癖を矯正する場合は不安を取り除く方向で教育しましょう。 また、ゆっくりは自分の罪を受け入れる事をしません。悪い事をした、と認めてしまうとゆっくり出来ないからです。 その為往々にして『自分は悪くない、全部あいつが悪い』と責任転嫁してしまう事がよくあります。 まずは自分がやった事を認めさせる事から始めましょう。 この際にお仕置きは控えましょう。苦痛から逃げる為に口先を合わせて来る事がありますが、心の中では事実を認めていません。 一方的に責め立てるのでは無く、こんなことをしたらゆっくり出来なくなる、と認識を変えさせる事を第一にしましょう。 悪い事をしたら、誰が、どのようにゆっくり出来なくなるのかを理解できるまで説明してあげてください。 根気のいる作業ですが、この基本の躾が出来ないとゆっくりはゲスになり易くなってしまいます。 何事も基本が肝心、ゆっくり躾けていきましょう』 ~新ゆっくりバッジ認定協会監修『ゆっくりの躾け方 バッジ取得マニュアル』より抜粋~ 長い回想から目覚めたとき、れいむは自分に掛けられたタオルケットに気が付いた。 どうやら回想しながら眠ってしまったらしい。時計に目をやれば朝の八時、『おにーさん』はもうとっくに出掛けてしまってる時間だ。 起き抜けで霞む目を瞬かせると、頬が何やらごわついているのを感じる。 (ゆっ、れいむ、ないたままねちゃったんだ……。 れいむがなきながらねてるのをみて、おこさないようにしてくれたんだね……。ありがとう、おにーさん……) 涙に暮れる様を見られて尚落ち着ける程、れいむの肝は太くない。その事を慮ってくれたのだろうとれいむは察していた。 あの野良れいむ親子の襲撃において、親れいむを悶絶死させたれいむの体液を調べた『おにーさん』は、残酷な事実をれいむに告げたのだ。 「れいむ、お前……多分、子供が作れない体質になったんだ」 『おにーさん』に因れば、れいむの中身は豆板醤と呼ばれるものに近いらしい。餡子と同じく豆を原料にしているからだろうか。 ただ、一般に出回っている豆板醤の辛さを大きく上回っており、殆ど唐辛子ペーストと呼んで良い程なのだと言う。 それ故れいむから排出される全ての体液が辛味を帯びているのだ。親れいむが死んだのはその所為だ。 問題はそれが『全ての体液』に含まれている事にある。しーしーやうんうんだけじゃなく、汗や涙に唾液、そしておそらく精子餡にも。 すーりすーりやぺーろぺーろ等、ゆっくりのスキンシップには体を触れさせるものが多い。それは即ち汗や唾液に触れる機会が多いということ。 ゆっくりにとっての劇薬で構成されている今のれいむには、それらが一切出来ない。 それだけではない。子供をにんっしんっするならパートナーとのすっきりーっ!が必要だ。すっきりーっ!で放出される体液は精子餡だけではない。 まむまむから分泌される潤滑液や快感に伴う発汗、ぺーろぺーろ等の前戯で交わす唾液等、互いの体液が満遍なく混じり合うのがすっきりーっ!である。 そんな行為をれいむが出来る訳が無い。更にいえば、れいむの中身に触れた精子餡は例外無く死滅するであろう事も解っている。 つまり、れいむは子供を生む事も生ませる事も出来ないのだ。 あのれいむ親子のように、いや自分を生んでくれた両親のように自分のおちびちゃんとゆっくりする事が出来ない。それはどんな拷問よりも尚深い苦しみだった。 この体質を治せないのかと尋ねても、『おにーさん』は「それは出来ない」と即否定した。 「お前の体質は実験、もとい病気の治療に因るものだ。こればかりはどうしようも無いな」 身も蓋もない断定に、れいむの絶望は深くなるばかり。 今でこそこうして昔話にも出来るが、当時は自殺しなかったのが不思議な位の荒れようだった。 ……いや、本当は今でも引き摺っている。 れいむが『おにーさん』のお家から一歩も外に出ないのは、あの野良の親子のように迫害されるのを怖れるだけではない。 もし、お外で優しいゆっくりと電撃的な出会いを果たしても、すっきりーっ!はおろかすーりすーりすら出来ない身ではどうしようもないのだから。 『おにーさん』をゆっくりさせようと頑張るのも、もしかしたら番を迎える事すら出来ない事の代償なのかも知れなかった。 時折、あの親子の事を思い出す事がある。 想像を絶する殺し合いを始めるまで、あの親子はとても仲良さそうにしていた。れいむには到底望めない家族の団欒があった。 その度にれいむは涙する。恐怖からではなく、羨望で。 『おにーさん』もその事は知っている。だから今日も涙に濡れて眠るれいむを起こさないでくれたのだろう。れいむは『おにーさん』の温情に感謝する。 リビングに置かれた茎の上で、空調に揺れるありす。 このありすはれいむとは違う体質になる可能性が高いらしい。その為ぺーろぺーろもすーりすーりも禁止されている。 この子はどんな子になるんだろう。れいむの様に生きてるだけでゆっくりを殺しうる危険なゆっくりになるのだろうか。 それとも、他のゆっくりとも一緒にゆっくり出来るゆっくりになるのだろうか? 「ゆ~♪ゆんゆんゆ~♪ゆっくりうまれてね~♪」 TVの児童番組で覚えた下手糞な子守唄を歌って聞かせながら、れいむは思う。 (おちびちゃん、ゆっくりしたこにうまれてね。れいむがゆっくりできないぶん、みんなをゆっくりさせてあげてね!) 父母と姉妹から貰ったゆっくりを、この子にも与えよう。そしてその分この子が誰かをゆっくりさせてくれるなら、れいむは最高にゆっくり出来る。 ありすが身震いを始める。生まれる前兆だ。 さあ、まずはどんなおはなしをしようか。 そんな事を思いながら、れいむはありすの誕生をゆっくり見守っていた。 ※と、いう訳で一言あきの「餡子ンペ09」参加作品です。 テーマは3.改造「失敗作の末路 or 無双 or リハビリ」。 ……実はこれ書き始めたの十月だったりします。 「遅ぇよ!」「長ぇよ!」等のお叱りはご勘弁を。本人が一番気にしてますんで。 ……後編も順調に滞っています。本当に十二月中に書き上がるのだろうか…… いや、書き上げなきゃ駄目なんですが。頑張ります。 お読みいただき、ありがとうございました。 ……冒頭のお兄さんの独白、実は実体験だったり。 時間か筆力、勝手に生えてこないかなぁ…… 今まで書いたもの ふたば系ゆっくりいじめ 274 嘘つきゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 277 騙されゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 301 勘違いゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 314 仕返しゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 410 お尋ねゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 557 捕まりゆっくり 挿絵:キリライターあき
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人間の赤ん坊が生れ落ちたその瞬間に泣き叫ぶのは しあわせに満たされた母胎から排出された事を嘆いているのだという 悲観的なんだか変態チックなんだか良くわからない説がある。 「なぁれいむ、おなかの中の赤ちゃんってゆっくりしてるのか?」 「ゆゆっ!あたりまえだよ!!」 れいむに曰く、おなかの中の赤ちゃんは 母胎を務める母ゆっくりの幸せな記憶や知識を見ながら とてもとてもゆっくりしている、と言うことらしい。 「れいむ、お外とお前のお腹の中、どっちが赤ちゃんにとってゆっくり出来るんだ?」 「ゆゆっ!それはもちろん…」 …………… ………… ……… …… … ゆ~っくり~ゆっくりーー♪ 「今日も精が出るな、れいむ」 「おにいさんっ!おはよう!」 元気良く歌いながら、れいむは日課の運動を再開する。 番のまりさが急逝してから、れいむの心の拠り所になったのが れいむの下腹部を膨らませる赤ん坊の存在だった。 「ゆっゆっゆ!!」 溌剌とした表情で砂糖水の汗をかきながら何度も何度も熱心に繰り返す。 れいむがこの運動を始めてもう1年が過ぎようとしている。 正直れいむは利口なゆっくりではない。 生まれた時から根気や謙虚さはあまり持ち合わせない仔だったのだが 一年前から一日も休まず、眠るか何かを食べている時意外はもうずっと ?膨らんだ下腹部を庭の煉瓦に叩きつけ続けている" 「赤ちゃんまだ死なないかー」 「ゆん…れいむのなかでゆっくりしすぎだよ!」 ゆっくりしないでね!しんでね! ゆっくりらしからぬ事を口にしながら…いや、これが真実ゆっくりらしい姿なのかもしれないな。 ともあれ、れいむの運動は非常に原始的な堕胎行為だ。 発端は俺の質問に対するれいむの返答 「あかちゃんにきいてみないとわからないよ!」 その時れいむは幸せそうに目を閉じて、胎内の赤ちゃんに心で語りかけて 『赤ちゃんの声』とやらを聞いたらしい。 曰く、世界で一番ゆっくり出来るのはれいむのお腹の中であるらしく 回り全部があまあまで覆われ、本当に何もせずに居るだけで、とってもゆっくり出来るのだという。 最初俺はれいむが適当こいているのだと思ったのだが その会話の後、一月経っても二月経っても胎内の赤ちゃんは産まれて来ようとしなかった。 最初は『れいむのあかちゃんとってもゆっくりしてるよ~』などと余裕だったれいむも次第に苛立ち始め 終いには怒って壁に体当たりを始めたのだ。 『そんなにゆっくりできるところならひとりじめしないでおかあさんもゆっくりさせてね!!』 最初はその突拍子もない発言に驚いたが つまりは、まりさを失って均衡を喪いかけたれいむの精神が最後に縋った拠り所である 自分をゆっくりさせてくれる筈の赤ちゃんが、自分だけゆっくりしているという状況に 我慢が限界を迎えたらしい。 俺はれいむを諭したが、れいむは赤ちゃんを殺してお腹でゆっくりすると言って聞かず 面倒になった俺は、やるなら庭でやれとだけ命じて 快諾したれいむをここ一年放置しているという訳だ。 生活の殆んどを庭のゆっくり小屋でする様になったれいむは最早ペットではない。 ペットとしてのゆっくりなら、れいむが産んだとても賢いまりさを家で飼っているので事足りている。 「それじゃ散歩行ってくるから、がんばって赤ちゃん殺せよ。」 「わかったよ!いってらっしゃい!!」 「……」 その姿を暗く沈んだ目で見つめるまりさを、帽子に通したリードで曳いて散歩に出かける このまりさの良い所は、自己主張を一切しないところだ。 狂った母の産道から母が眠っている間に排泄するようにひりだされているのを俺が偶然見つけて 自分が既に生まれたことにも気づかず凶行を繰り返す母の姿を見続けたせいかも知れない 少しかわいそうで、それに倍する程愉快だ。 あぁ、一個だけコイツがわがままを言ったっけ。 『こどもをうめないようにしてください』と言ったんだ。 と言うわけでまりさの性器は既に去勢済み、元々そこに凸も凹も無かった様に蓋がされている。 近いうち、発注しているまむまむを移植してやろうと思う LLサイズの特注品だ、赤ちゃんプレイ用とかいう規格で 栓をしないと日常生活も送れないほど巨大な穴だが 成体ゆっくりくらいなら余裕で入る事ができるそうだ。 「お母さんとゆっくり出来るようになるといいな」 「………うん」 珍しく返事をするまりさ、かわいいなぁ まりさがこの世に排泄されてから、もうすぐ一年 誕生日プレゼントと言うわけではないが…喜んでくれるだろうか? by古本屋 杭なら直接的な虐待になるのですけど 栓というのは難しかったです。 またやっつけぎみ。
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『れいむのおしごと (前)』 33KB 虐待 制裁 思いやり 差別・格差 日常模様 野良ゆ 現代 8作目。生存確認もかねて、改めてよろしく ※注 ・善良なゆっくりが出ます ・ゆっくりがほとんど関与しないで話が進む場面があります ・ゆっくりのせいではないですが、人間さんが精神的に酷い目に遭います ・今回のSSは人によってかなり気分を害する内容が含まれております。それを少しでも感じましたたら、速やかに閉じることをお勧めいたします。 バニラあき 過去作品 ・anko2612 ひやしあんよ ・anko2626 主食ゆっくり ・anko2644 間食ゆっくり ・anko2695 バニラハザード (前) ・anko2762 バニラハザード (後) ・anko2763 バニラハザード (END) ・anko3121 バニラハザード (会社員のブログ) 俺の家には、銅バッジのれいむが住んでいる。 「おにいさん! きょうもゆっくりしていってね!」 「あぁ…れいむ、いつも起こしてくれて悪いな」 「おにいさんをゆっくりさせるのがれいむのおしごとだよ! ゆっへん!」 朝起きると、かけ布団の上でゆんっ! とふんぞり返り、上から目線でこちらを見下ろすれいむの姿が目に入る。 こちらを挑発して気を引こうとする。れいむのいつもの手だ。 俺はわざと少し間を置き、そして布団を一気に持ち上げた。 「うりゃっ!」 「ゆ~~ころころ~~」 突然現れた斜面に沿って、ころころとベッドから転がり落ちるれいむ。 その顔に怯えは一つもない。なぜなら、俺が毎日やっていることだからだ。 ぽふっ 転がったれいむがベッドから落ち、お気に入りの場所であるビーズクッションの上に綺麗に着地した。 「みてみておにいさん! れいむきれいにおりたよ!」 「おおそうか、お前も上達したなぁ」 「はやくおきないとみれないよ! おりちゃうよ!? いいのかな~!?」 「はいはい、見ます見ますっと」 布団から出ると、クッションの上で偉そうにしているれいむの姿。 それを軽く撫でてやり、俺はキッチンで朝食の準備に取り掛かった。 「おにいさん!」 昨日作り置きしていた料理をレンジに入れていると、れいむが俺の足元にまで跳ね寄ってきた。 その顔は今にも「キリッ」と言わんばかりのどや顔で、こちらを見上げている。 そしてれいむの口から、いつもの "あの言葉" が飛び出した。 「おにいさん! きょうもれいむにおしごとちょうだいね!」 「あ~、んじゃ、今日は床の掃除をやっといてよ」 「ゆっくりりかいしたよ!」 俺の言葉にれいむは満面の笑みで答えると、再び部屋の奥へと跳ねていった。 その動きは、まるでスキップをしているかのように軽やかだ。 …数分後、温まった料理を両手に部屋に戻ると、先ほどまで部屋の隅にあったテーブルが、いつの間にか部屋の中央にまで移動してあった。 このテーブル移動も、れいむの言う『おしごと』の一つである。 「ゆふふふ! きょうはれいむのほうがはやかったよ!」 「ああそうだな、偉い偉い」 いつの間にか、俺が料理を持ってくるのと競争するようになっていたらしい。れいむがテーブルの上でゆふふふんと胸(?)を張っていた。 キャスター付きとはいえ、昔は動かすだけで精一杯だったくせに。よくもまぁ、ここまで成長したもんだ。 俺はもう一度れいむの頭を軽く撫でてやり、そのテーブルの上に次々と用意した食事を並べていく。 軽く朝食を取りながら、テレビの電源を入れる。 不況、経済破綻、失業、内定取り消し… 相変わらず画面の向こう側では、暗いニュースばかりが続く。 せめて朝ぐらいは目覚めのいい話でも聞きたいものなのだが、製作者側はそんな風に考えたことが無いのだろうか? そう物思いに浸りながらふと画面左上の時計を見ると、大学の講義の時間が迫っているのに気がついた。 俺は慌てて残りの食事を片付け、鞄に資料を入れて玄関へと向かう。 「おにいさん!」 俺の背中に向かって、再びれいむが声をかける。 振り返ると、またもやどや顔をしたれいむの姿。しかし、今度は口をもごもごと動かし、何かを今か今かと待っているようだ。 「どうしたんだい、れいむ?」 「ゆぅーっ! まだ、いつものいってないよぉぉ!?」 わざと意地悪してとぼけて見せると、れいむが顔を真っ赤にして呻く。 そんなにもこの言葉は、れいむにとって大事なものなのだ。 「はいはい、わかったわかった」 「ゆっ!」 今日一日を彩る、俺とれいむの魔法の言葉。 「れいむ」 「おにいさん!」 「「おしごとがんばってね!!」」 れいむのおしごと 俺とれいむとの出会いは一年前。大学二年目の夏休みの時であった。 といっても、特に運命的な出会いをしたとか、そういうわけではない。 雨の日にアパートで夕食の準備をしていたら、雨に濡れてボロボロの子れいむが窓の隙間からにゅるりと入ってきた。 ただ、それだけである。 俺は虐待派の人間ではないが、普段ならそのまま外へ放り出すか、潰して生ゴミとして捨てるかしていただろう。 でもその日は、たまたまそれをしなかった。 単に、雨で暇だったから。それだけの理由でれいむの命は助かったのだ。 れいむが俺に向かって言った言葉は、今でも鮮明に覚えている。 「おそとがあめさんでゆっくちできまちぇん! なんでもちまちゅからあめさんがやむまでおうちにいれてくだちゃい!!」 「…何でもするんだな」 「なんでもちまちゅ! おねがいちまちゅ!」 おうち宣言でもするのかと思いきや、予想外の発言をしてきたれいむに俺は少しだけ興味を持った。 れいむのリボンをひょいと摘み上げると、自分の勉強机の上に放り投げる。 軽く放ったつもりだったのだが、着地に失敗したれいむの体が机の上を跳ね、小さな悲鳴をあげた。 「ゆぴゅっ!?」 「丁度机を掃除したいと思ってたんだ、綺麗にしておけ。わかったな」 「ゆゆゆ……ゆっくち…りかいちまちた……」 別に、れいむに成果など期待していなかった。 所詮はゆっくり。すぐにゆっくりすると称してサボるか、忘れるか逃げるかするだろうとしか思っていなかった。 俺が最初に与えた『おしごと』は、ただれいむをからかう口実を作るため。ただそれだけに過ぎなかったのだ。 ――だが、その結果は俺の予想とは反するものであった。 数十分後、料理が終わって部屋へ戻ってみると、何やら小さな声が奥から聞こえてきた。 「ぺーりょ、ぺーりょ…」 よく見ると、れいむが必死になって机を舐めているのが見えた。 そのすぐそばには、れいむが集めたと思われる埃や消しゴムのカスの塊ができている。 「ゆっ!?」 気配に気づき、れいむが舌を出したままこちらを振り向く。 その舌は、鉛筆や埃で真っ黒に染まっていた。 「おっ、おにいさん! まっちぇね! もうちょっとまっちぇね!」 「まぁ…確かに、綺麗にしろとは言ったけどさ……」 汚れた舌を出しながら、れいむが慌てた声を上げる。 それを見ながら、俺は料理を片手にぽりぽりと頬を掻いた。 なぜなられいむの掃除は半径5㎝。およそ手のひらサイズの範囲までしか進んでいなかったのだ。 だが、だからといってれいむが手を抜いていないことだけはすぐに理解できた。 それはれいむの掃除した個所。そこだけがぽっかりと物が置いてあった跡のように綺麗になっていたからである。 「お前、今のペースだといつまでたっても終わらんぞ」 「ゆぅ……」 掃除した場所とそれ以外の場所を交互に見比べて、れいむが小さくうなだれる。 恐らく、今まで必死になってて進行具合に気付かなかったのだろう。 おつむはあまり良くはないようだが、そのひたむきさに俺は少しだけ好感を持った。 「まぁいいや、ほら」 「ゆ? なにきょれ…?」 俺はれいむの前に、パンの耳を置いてやった。 目の前に突然置かれた大きな物体に、れいむの目が丸くなる。 「ちゃんと掃除してたご褒美だ。それ食べて元気出せよ」 「きょれ…れいみゅ、たべちぇいいの?」 「その代わり、食い終わってからもサボるんじゃないぞ」 恐る恐る、れいむがパンの耳に近づいた。 今までパンなど見たことがなかったのだろう。しばらくすりすりしたり、ぺーろぺーろしたりしていたが、やがて先っぽを口にくわえると、少しだけ噛みちぎった。 「むーちゃ むーちゃ…? むーちゃ、むーちゃ…!?」 最初は不思議な顔をして咀嚼していたれいむたったが、だんだんその声が大きくなってくる。 「むーちゃ! むーちゃ! むーちゃ!」 そして、 「ちあわちぇーっ!!」 最後は、高らかに幸せを宣言した。 その勢いで唾液と食べカスが机の上に落ちたのを見て、俺はれいむに軽くデコピンを喰らわせる。 「ゆぴぃ!?」 「また汚してどうすんだ。掃除しなおしたいのか?」 「ゆゅ…ごめんなちゃい……」 「それ食ったら、ちゃんと片付けておけ」 「ゆゆぅぅ…」 仰向けにひっくり返ったままのれいむをよそに、俺はテレビを見ながら食事を始めることにした。 ――れいむの掃除が終わったのは、それから五時間後のことだった。 埃まみれだった机は、掃除が終わった時にはまるで磨いたかのように綺麗になっていた。 最も、自分が雑巾がけすれば二分もせずに終わる範囲ではあるのだが、子ゆっくりにとってはさぞ重労働だったことだろう。 俺は机の上でへばっているれいむをテーブルの上へ移動させると、水を含ませた脱脂綿で黒く汚れた体を拭いてやった。 「ゆぅ~、くちゅぐっちゃいよぉ~」 「まさか、本当に綺麗にしちまうんてなぁ…」 正直、驚いていた。 途中に何度か休憩は挟んだものの、このれいむは最後まで掃除を投げださなかったのだ。 俺は今までに様々なゆっくりを見てきたが、こんなに我慢強いゆっくりを見たのは初めてのことだった。 「ゆぅ~、ゆぅう~ん、ゆゆゆゆ~ん♪」 「いやぁ、いい暇つぶしになったわ。れいむ、ありがとな」 「ゆんゆん…ゆぅ?」 「お前のおかげで、とってもゆっくりできたよ」 「ゆっ!?」 何気なく、冗談交じりで放った一言だった。 その言葉を聞いた途端、突然れいむの表情が固まり、脱脂綿にゆっくりと顔をうずめだした。 「あれ、どうした? 何か悪いことでも言ったか?」 「………………」 れいむは何も答えなかった。小さな脱脂綿に顔をつけ、全身をぶるぶると震わせている。 「……………ゆっ…ぐひっ……ゆっ、ゆぇ…ゆえええええん……」 「?」 やがて、脱脂綿の中かられいむの泣き声が聞こえてきた。 脱脂綿を持ち上げてみると、そこには顔を涙でぐしゃぐしゃに濡らしたれいむの姿があった。 「ゆぇぇぇぇぇ…ゆっぐりっ!……ゆっ、ゆっぐりぃぃぃ……」 「なんだなんだ!? なんで泣きだすん?」 「…ゆぅぅぅぅぅぅ……」 受け止めるものが無くなったれいむの涙は頬を伝い、テーブルの上に小さな水溜まりを広げていく。 俺は、その姿を泣きやむまで見ていることしかできなかった。 …後で聞いた話によると、れいむはこの近くの群れで暮らしていた野良ゆっくりだったらしい。 しかし、父親役のまりさが不慮の事故で先立ってしまい、れいむと母れいむは群れを追われることとなってしまった。 その後も頼れるあてはなく、ついに母れいむも食糧難かられいむにおたべなさいをして死んでしまった。 一人ぼっちとなってしまったれいむは街を彷徨い、偶然雨宿りのために侵入したのがうちの部屋だったというのだ。 「ゆぅ…おにいしゃん、おうちにいれちぇくれちぇありがちょう…」 れいむの声に促されて外を見てみると、雨はすでにあがっていた。 とりあえずれいむを手のひらに乗せると、玄関先まで運ぶ。 だが、俺は今までのれいむの行動に興味を抱いていた。 ゲスとも、ペットショップで飼われているものとも違う。 その小さな興味が、玄関にれいむを置いた時に、つい言葉に出てしまった。 「なぁ、れいむ」 「ゆ?」 手の中で、れいむがこちらを見上げた。 その眼には、俺の声に対する不安が見え隠れしている。 「もし行くあてが無いんなら、ここに住んでみないか?」 「ゆゆ!?」 俺の放った予想外の一言に、れいむのまんまるな瞳がさらに大きくなった。 「ただし、ここで働くことが条件だ。でないとすぐに追い出すぞ」 「ゆっ! れいみゅはちゃりゃくよ! たっくちゃんぎゃんばるよ!! じゃかりゃ…」 「それと」 満面の笑顔で叫ぶれいむの頭をぷきゅっと人差し指で押し付け、無理やり口を閉じさせる。 「近所迷惑だから、しゃべるときは静かにな」 「……ふっふひ、ひはい…ひはひひゃ……」 ――こうして、れいむは俺の部屋に飼いゆっくりとして住むこととなったのだった。 「ただいま」 「ゆっ! ゆっくりおかえりなさい!」 大学の講義とサークルを終えてアパートに帰ってくると、れいむがぴょんぴょんと玄関先へ跳ね寄ってきた。 「ああれいむ、ただいま」 「おにいさん、れいむちゃんとおしごとがんばったよ!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり」 ゆふふん、とどや顔のれいむを軽くあしらって部屋に入ると、ゴミ箱の傍にあったゆっくり用トイレシーツの上に小さな黒い塊がちょこんと乗っかっていた。 恐らくあれが、れいむが今日一日の『おしごと』で集めたゴミなのだろう。ついでにれいむのうんうんも混ざっている。 俺はトイレシーツを小さく畳んでゴミ箱に突っ込むと、棚からゆっくり用のお菓子(甘さ調節済み)を取り出した。 「ほら、今日の『おしごと』のご褒美だ」 「ゆゆっ! やったあ!!」 一口サイズのお菓子を餌箱に入れてやると、れいむはすぐさま餌箱に飛びつく。 「むーしゃ、むーしゃ、むーしゃ……ごっくん、しあわせー!」 飲み込んでからの「しあわせー!」は飼いゆっくりの躾の中でも難易度の高いものであるが、このれいむは意外にもすぐ覚えることができた。 恐らく、自分が掃除している床を汚したくないという意識が強かったからであろう。 れいむはあっという間にお菓子をおなかの中へと納めると、じっと上目遣いでこちらを見上げた。 朝にも見せた、何かを期待した表情。 それは決して、お菓子の追加に対してなどではない。 「はいはい、忘れてないよ」 れいむの表情がぱあっと明るくなる。 「とってもゆっくりできたよ、れいむ」 「ゆうぅぅ~~~~~っ♪」 その一言にれいむは歓喜の声をあげ、「ゆっくり! ゆっくり!」と鳴きながら俺の周りをぴょんぴょんと飛び跳ね回った。 いつも見慣れている光景なのだが、この時ばかりは言ったこっちのほうが恥ずかしくなってしまう。 「…しっかし、本当に変なゆっくりだよな、お前は」 「ゆっゆっゆ~! ゆゆゆんゆ~♪」 「どうしてこうも、ゆっくりできない『おしごと』をしたがるんかねぇ…」 足元で楽しそうに跳ね回るれいむを見ながら、俺は静かにそう呟いた。 れいむを飼いゆっくりにしたあの日から、俺はれいむに何かしらの『おしごと』を与える決まりとなった。 部屋の掃除に始まり、食事の準備、郵便物受け取り、洗濯物畳み、害虫退治、etc… れいむも最初は慣れない飼いゆっくりの生活にとまどってはいたが、今ではすっかり『おしごと』が板についてきているようである。 ここまで聞くと、このれいむは金バッチクラスの能力を持った優秀なゆっくりだと思う人もいるかもしれない。 だが、俺は全くそうは思わなかった。 今までの間抜けな言動からでも察せるかもしれないが、れいむはお世辞にも、あまり賢いゆっくりとは言えなかった。 平均的な通常種。いや、もしかしたらそれより少し下かもしれない。 とにかく物覚えが悪く、何かを始めると途端に周囲が見えなくなるため、よく失敗ばかりしている。 今の『おしごと』だって、一年もかけたからこそやっとここまでできるようになった。といった方が正しいであろう。 バッジ試験なんてもっての外、一生かかっても銀をとれるかどうかすら怪しいもんである。 もしれいむが加工所かペットショップで生まれてきていたならば、不適格としてすぐに処分されていたに違いない。 だが、それでも俺はこのれいむに愛想を尽かしたりしたことは、ただの一度も無かった。 別にれいむが可愛いからとか、そんな馬鹿馬鹿しい理由からではない。 れいむの行動や性格にある、いくつかのゆっくりらしからぬ点に興味を持ったためである。 まず、れいむは与えられた『おしごと』を決して投げ出したり、サボったりしたことが無かった。 例えば、初めてれいむに洗濯物畳みの手伝いをさせた際、れいむはTシャツの畳み方に悪戦苦闘し、それ一枚で一時間以上もかかってしまった。 さらにその畳んだシャツも皺と砂糖水でぐしゃぐしゃになってて使い物にならず、最終的にれいむの敷布団へと変わった。 そんな大失敗を経験しても、れいむは洗濯物を畳むときには諦めずに手伝いを申し入れ続けたのだ。 そして一年経った今では、留守番中に洗濯物畳みを申しつけておける程度にまで成長することができた。 これもひとえに、れいむ種に強くみられる素直さ、一途さがあったからに他ならないだろう。 そしてもう一つ、これはれいむと暮らして一年以上経った今でも不思議に思っていることである。 それは、れいむはなぜか働くことが大好きなゆっくりであるということだ。 俺はれいむを飼い始めた当初は毎朝何かの『おしごと』を与えていたのだが、ある日適当なものが思いつかず、れいむに休みを伝えたことがあった。 だが、それに対してのれいむの返答は俺の耳を疑うような内容だった。 「それじゃれいむがゆっくりできないよ! なんでもいいかられいむにおしごとちょうだいね!」 その一言は、ゆっくりにとってはまずありえない言動である。 通常、ゆっくりは「自分がゆっくりすること」を第一として行動している。 野生のゆっくりは狩りなどのゆっくりできない作業も行ってはいるものの、それはあくまで生存のためだ。 恵まれた環境に置かれれば、ゆっくりはいとも簡単に堕落する。それはゆっくりを飼う者にとっての常識ですらある。 優秀な知性を持つ金バッジのゆっくりでさえ、この本能に逆らえずにゲス化してしまうケースが数え切れないほど報告されているのだ。 だが、このれいむは自ら進んでゆっくりできない『おしごと』をもらおうとしている。 この異常ともいえるれいむの性格こそが、俺が興味を持つ一番の理由でもあった。 「おにいさん! きょうね、きょうね、おしごとしてたられいむありさんをみつけたよ!」 「えっ、部屋の中でか?」 「れいむ、いっしょうけんめいぷくーってしたけど、いうこときかなかったからやっつけたよ!」 「んで、見つけたのはその一匹だけ?」 「ありさんはいっぴきだけだったよ! それでね、それでね…」 夕食の時間、れいむはいつも楽しそうに『おしごと』をしていた時のことを話してくれる。 部屋の中で変わったものを見つけた、外からこんな音がした。窓に鳥さんが止まってた……等々。そのどれもが俺にとってはどうでもいいことばかりだ。 だが、それを自慢げに話すれいむの表情は、とてもゆっくりしたものであった。 躾によるものでも、強制されたものでも無い。 れいむは心底から、『おしごと』を楽しんで行っているのだ。 食事が終わったら、テレビやネットを適当に見て、気が向いたときにれいむと遊んでから、寝る。 時たまれいむに新しい『おしごと』を教えてやり、初めてできた時にはちょっとだけ褒めてやる。 それがここ一年間の、俺とれいむの生活サイクルであった。 『おしごと』が大好きという、ちょっと変わったれいむと過ごす、ゆっくりとした日々。 これからもそんなも日々がずっと続いていくと、その時はそう思っていた…… ――だが、その生活も長くは続かなかった。 数ヶ月後、平穏だった俺の生活に大きな転機が訪れたのだ。 就職活動の到来である。 そして俺はこの時ほど、自身の生まれた時代を恨んだことは無かったであろう。 今世紀最大の大不況により、各企業の収益は激減。 それに伴って人件費――新卒採用の定員人数も大きく削減される結果となったのだ。 街中には就職希望の学生達が溢れかえり、数少ない内定を得るために互いを蹴落とし合い、その席を奪い合う。 そして俺自身も、次第にその喧噪の中へと巻き込まれていくこととなった。 俺の生活はそこから一変した。 数え切れないほどの履歴書とエントリーシートを書き、会社説明会に参加するためにパソコンの前でキャンセル待ちをする毎日。 その時間を作るために、講義も、サークルも、今までの学生生活が次々と犠牲になっていく。 選択していた講義も次々と減っていき、残った必須単位すらも出席数ギリギリの状態であった。 今後の将来には代えられない。 ――頭ではそう理解しているが、日増しに企業の求人締め切りが増えていくに従い、俺の精神はストレスによって次々と蝕まれていく。 …そして一か月後、事態はさらに悪い方へと進んでいった。 就職活動が本番となり、次々とメールや郵便受けに企業からの連絡が溜まっていく。 そのほとんどが不採用通知。いわゆる「お祈り」と呼ばれるものばかりであった。 その時期から、俺はれいむに郵便物受け取りの『おしごと』をさせなくなった。 不採用通知を受け取った後に、れいむの顔を見るのが辛かったからだ。 当然れいむは持ってきた郵便物の中身が何であのるか知っているわけがない。 だからこそ、『おしごと』をやり遂げて褒めてもらおうと目を輝かせるれいむを見るたびに、突き刺ささるように心が痛んだ。 やがて、今までれいむに与えていた『おしごと』も次第に単調なものへと変わっていった。 部屋の掃除、留守番、見張り、片付け、守備。 細かな指示を与えなくていい単純な内容に、適当な言葉を修飾してれいむに丸投げする。 成果など、もうどうでも良かった。 それでも『おしごと』を怠けることなく、毎日楽しそうに成果を伝えに来るれいむの姿を見て、俺はれいむが頭の良くないゆっくりであったことに初めて感謝した。 …正直、自分は特別な存在だとはこれっぽっちも思っちゃいなかった、 平均的な大学で、人並みに講義とサークルをやり、皆が目をむくような趣味も特技も無く、真面目だけが唯一の取り柄。 それでも、きっとどこかに自分を求めてくれる会社はあると信じていた。 だが、現実はどうだ。 履歴書を受け取ることすら拒まれ、業務処理された形だけのお祈り文章を突きつけられる毎日。 たとえそれが通ったとしても、次の面接で落とされる。 理由も、原因も聞かされることなく、ただ一方的に―― 何の成果もなく、ただ時間だけが無駄に、無情に過ぎていく。 幾度となく繰り返される他者からの自己否定により、俺の性格は次第に荒んだものと変化していくのが自覚できた。 それでも、俺は逃げ出さなかった。 いや、逃げ出せなかった、というほうが正しいかもしれない。 大学四年生となり、卒業までの時間は刻々と迫っていく。 もしそのまま内定が決まらなければ、俺は『新卒』というカードを失うこととなるのだ。 大不況全盛期の今、どの企業も新卒の採用枠を減らしている中で既卒の人間を雇う余裕などあるはずが無い。 全てを失って社会に投げ出されることだけは、なんとしてでも避けねばならなかった。 (……今の俺達は、野良ゆっくりと何の変わりも無いんじゃないのか?) いつの日からだろうか。俺は面接を何度も繰り返すうちに、次第にそう考えるようになったのは。 社会人という飼いゆっくりになろうと大声で主張し、懇願するその姿。 元銀バッチが金を偽るように、平気で話を誇張し、経歴を捏造するその姿。 そして何より、俺達に向けられる社会からの視線。 同情と無関心が奥底で見え隠れするそれは、哀れな野良ゆっくりを見るものと全く同じ物に感じた。 受けて、落ちて、受けて、落ちて。 蒸し暑かった外の日差しが次第に肌寒く変わっていくに従い、俺の心の奥底もさらに冷めきったものへと変わっていった。 拝啓 時下ますますご清栄のことと存じ上げます。 このたびは当社の面接に参加頂きありがとうございました。 面接選考の結果を慎重に審議いたしましたが、誠に不本意ながらご希望に添いかねることになりました。 不本意な結論となり誠に残念ではございますが、 何卒ご理解賜りますようお願申し上げます。 末筆ながら、今後一層のご活躍を心からお祈り申し上げます。 「は……はは……」 大量の封筒が詰め込まれた郵便受けの前で、俺は力なく崩れ落ちた。 外気によって氷のように冷やされた床の冷気が、服を通してちくちくと伝わる。 「お祈りなら、初詣になってからやれよ…糞野郎…」 時は十二月後半。 すでに大半の企業が採用活動を打ち切り、来季の新卒採用に力を入れ始める時期である。 落ち着いていたリクルートスーツ姿の学生達が再び増え始め、市街を歩きまわる。 背後からのプレッシャーと、先の見えない未来に押しつぶされそうになりながらも、俺は追加募集の求人を求め、未だ彷徨い続けていた。 「嘘だろ……なぁ、何かの手違いだろ、おい!!」 封筒を、何度も何度も見直す。 見慣れた住所の横には、俺の名前が一字の狂いもなく印刷されている。 再び、便箋を見る。 ご希望に添いかねることになりました ご希望に添いかねることになりました ご希望に添いかねることになりました ご希望に添いかねることになりました 誠に残念ではございますが 誠に残念ではございますが 誠に残念ではございますが 誠に残念ではございますが 心からお祈り申し上げます 心からお祈り申し上げます 心からお祈り申し上げます 心からお祈り申し上げます 何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も 何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も 何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も 何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も 何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も 何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も 何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も 何度見直しても、見慣れた単語だけが目に飛び込んでくる。 俺は便箋を力任せに引きちぎり、ぐしゃぐしゃに丸めてからゆっくり立ちあがった。 「もぅ…限界だ……」 丸めた便箋をトイレに流し、個室の中で静かにそう呟く。 最後のチャンスだった。 何度も何度も落ち続け、ついに最終選考まで進めた唯一の企業。 俺はそこに、全ての望みを託していた。 会社ホームページ、会社訪問、資料請求。 手に入れられる情報には全て目を通し、頭に叩き込んだ。 調べれば調べるほどその会社の業務がブラックに近いという事実が浮き出てきたが、もう立ち止まることはできなかった。 先の見えない未来から、自己否定され続ける地獄の日々から逃れる事ができるのならば。 面接は、今までで最高の出来であった。 面接官からの質問も、完璧にシュミレートしていた。どこも問題は無かった。 絶対に 受かると 思ったのに なぜ? その問いに答えるものは、誰もいない。 あるのはただ『お前はいらない』と突きつけられた、結果だけ。 「…………俺は、誰からも必要とされていない……か……」 最後の希望を失い、必死に繋ぎとめていたものが瓦解していく。 「…俺は………必要ない……」 再び投げ出された暗闇の中、俺にはもう、顔を上げる気力すら残ってはいなかった。 「ゆぅ…お、おにいさん……」 部屋に戻ると、れいむが気まずそうな顔でこちらを見上げていた。 その声に、一年前のような元気さはどこからも感じられない。 「あぁ…れいむ、どうした」 「おにいさん…きょうのれいむのおしごとは…?」 れいむの様子も、ここ数ヶ月の間でかなり変わってしまった。 恐らく俺に気を使っているのだろう。上目遣いで、おどおどとこちらを見上げてくる。 「…掃除をやっておいてくれ」 「ゆぅ…おそうじは、こないだやったよ……」 「え…? あぁ、そうだったか…」 意外だった。 初めてれいむが、『おしごと』を拒否したのだ。 「じゃあ、留守番を「おるすばんも、もうなんどもやったよ」 「……おい、どういうことだ!?」 俺の声のトーンが突然変わったのに驚いたのか、れいむが俺から目をそらし、俺の足元に視線を向けた。 「ここで働くことが、ここにいる条件だっただろ!?」 「…ゆ……」 「それができないってことは、どういうことだか分かってんのか?」 「……れ…………れいむの……」 下を向いたまま、れいむがぶるぶると震えた声を出す。 「れいむの…おしごとは……おに、おにいさんを……ゆ、ゆゆゆっくり…させることだよ……」 「何言ってんだ。今までずっと、それで良かっただろ。なにを今さら…」 「ちがうよ!!」 突然、れいむが叫んだ。 今までに聞いたことも無い大きな声が、部屋中に響き渡る。 「れいむしってるよ!! おにいさんはぜんぜんゆっくりしてないよ!!」 「そr「れいむのおしごとは、おにいさんをゆっくりさせることだよ!! ゆっくりできないおしごとはもうじだくないよ!!」 おしごと―― 「ずっどずっど、おにいざんはゆっぐじじでないよ!!」 それが欲しくて、こんなに苦労しているのに… 「だがら!! ゆっ、ゆっ、ゆっぐりざせれるおじごど、れいぶにぢょうだいね!!」 お前なんかに、何が分かる!? 「れいぶがんばるよ! だがr…」 「いい加減にしろ!!」 れいむの体が、びくりと硬直する。 いつの間にか、れいむの顔は涙でぐしゃぐしゃになっているのが見えた。 だが、無意識のうちに俺はそのれいむに向かって、溜まっていた負の感情を次々と吐き出していた。 「何が仕事だ!! 毎回毎回毎回毎回毎回……付き合ってやってるこっちの身にもなれってんだ!!」 「でもr「ゆっくりさせるだ!? そんなことできるんならさっさとやれよ!? え!?」 …駄目だ―― 「そんなにお前は優秀か!? 偉そうに言える立場なのか!?」 …駄目だ―― れいむに言葉をぶつけるたびに、俺の中で隠れていた良心が少しずつ顔を出していく。 これ以上言ったらどうなるか、取り返しのつかないことになることを何度も告げている。 「お前は自分が頑張ってると思ってるんだろうが――」 ――だが、一度決壊した勢いは、もう止まらなかった。 「俺は最初から、お前に何も期待なんかしちゃいないんだよ!!!!」 勢いよく玄関の扉を蹴り開け、裸足のまま外へと飛び出した。 全てを吐き出し、冷静になった俺の頭の中には、後悔。ただそれだけしか残っていなかった。 「お…おにいさn「黙れ!!」 背後から聞こえるれいむの声を無理矢理遮り、力任せに扉を閉める。 悲しそうな顔でこちらを見つめ続けるれいむの姿は、すぐに俺の視界から隠れ―― 大きな音と共に、扉の向こうへと姿を消した。 ――俺は、最低の人間だ。 アパートから歩いて三分ほど先にある公園。 俺はそこのベンチに腰掛けて、ひたすら自分自身の行動を後悔していた。 「れいむは、何も悪くないじゃないか……何で俺は……」 冬の冷気を含んだ冷たい風が、俺を責め立てるように薄着の体を、素足を突き刺していく。 それでも俺は、この場を動こうとは思わなかった。 「何て…言えばいいんだろうな……」 頭を抱え、ぼそりと呟いてはみるものの、真っ白になった頭には何の考えも浮かんでこない。 …正直、れいむにかける謝罪の言葉が見つからなかった。 今までれいむが気にしていたであろう言葉を、俺は平気で口にしてしまったのだ。 どんな謝罪を考えたとしても、俺とれいむが前と同じ関係に戻れるとは考えられなかった。 「やっぱり俺は……何の価値もない………人間だったんだな」 この一年間で、俺は自分の汚い部分を嫌というほど見せつけられた。 企業に、世間に、周囲に全てを否定され、不必要と通告され続ける毎日。 そして何より、今の現状こそが、動かぬ証拠だ。 「生きててもしょうがない……駄目な奴なんだ……」 どうせ、俺の人生は半分積みかけているんだ。 いっそこのまま、凍死してしてしまった方が楽なのかもしれない。 「俺は…もぅ……」 ――その時だった。 突然、今の雰囲気に似つかわしくない、聞きなれた軽快な音楽が辺りに鳴り響いた。 俺の携帯電話の着信音だ。 「……誰からだ?」 取り出した携帯の液晶画面には、見知らぬ番号が表示されていた。 企業から? でも、俺が受けた企業は今回ので全部だったはずだ。 俺は震える手で通話ボタンを押し、静かに受話器を耳にあてた。 「もしもし」 『…おお、今電話大丈夫かね?』 聞き取りづらい、低いしわがれ声。 だがその声は、どこかで聞いたことがある声だった。 「え…っと、教授…ですか?」 『あぁすまんすまん、お前さんに連絡するのは初めてじゃったか』 「そうですね…今は電話大丈夫ですよ」 『そうかい』 声の主は、俺が所属している研究室の教授からであった。 大学三年生後期の時、卒論のため研究室に配属されることとなった俺は、今まで授業で何度も顔を合わせていた教授の研究室を選択していた。 ただ、就職活動で忙しかったこともあり卒論はほとんど手つかず。研究室にもたまにしか顔を出していない。 そんな有様であったこともあり、教授と話をするのは正直、かなり気まずかった。 「あ、あの…すいません。研究室に全然顔を出さなくて…」 『わかっとるよ、教授としては不本意なのだろうが…時期が時期じゃからな、しょうがないわ』 「あ、はい……なんとか時間は作りますんで……」 『それより、就職活動の方は順調なんか?』 突然のストレートな質問に、俺はごくりと唾を呑んだ。 「あ…いえ…それが……」 『…あぁ、すまんかったな。あまり気にせんでくれ』 「はぁ……」 『ずいぶんと元気が無いじゃないか、そんなにうまくいっとらんのか?』 「……今日、持ち駒が全部なくなりました…」 『…まさか、お前さんがそんなに苦しんどるとはな……』 「はは、しょうがないですよ。時期が時期ですから……」 『…ところで、その就職についてなんだが』 ――教授が発した一言。 それは、俺とって予想外なものであった。 『わしの教え子の一人が今、ある商社で人事をやっとるんらしいんだが、突然内定を辞退されて席が一人分空いておるそうなんじゃよ』 「…え?」 『そいつが昨日、誰かいい学生はいないかとわしんとこに訪ねて来たんじゃが、もしお前さんが良いというなら受けてみる気はないかね?』 「…ほ、本当ですか!?」 『あぁもちろん、推薦状はちゃんと書いてやるぞ。まぁお前さんならそんなの無くても間違いなく決まるじゃろうが』 「で、でも、今まで全然研究室に来てないのに、ど、どうして自分なんかを…」 『……何を言っとる』 あまりの事態に、頭が追いついてこれない。 俺の混乱を察したのだろうか。一旦の間を置いてから、受話口から教授の声がゆっくりと俺の耳に響いてきた。 『三年近くも授業で顔を合わせとれば、お前さんがどんな人間かくらい十分に分かっとるわ』 「……はい」 『今は都合がつかんだけで、元は真面目に授業を受けとったじゃろう? わしん所にも何度も質問に来よったじゃろう?』 「……はい」 『そんなお前さんを知っとるから、わしはお前さんを推薦したんじゃ。何を気にする必要がある』 「…………」 『…おい、聞いとんのか?』 「………は…ぃ……」 震えが、止まらなかった。 それは求人をもらえたからでも、推薦をもらえたからでも無い。 ――俺のことを、認めてくれる人がいた。 ただそれだけが、何よりも嬉しかったから。 『今までの事は気にしなさんな。今年の就職状況はわしの目から見ても異常じゃった。何も気に落とすことは無いぞ』 「……はい」 『お前さんは思いつめるタイプじゃからな、困った時は今までみたいに相談に来れば良かったじゃろうが』 「……はい」 『別にわしんとこじゃなくてもいい。他の先生方もみんな、お前さんのことを心配しておったんじゃ』 「……はい…」 教授の放つ一つ一つの言葉が、俺の冷めきった心の中へと染み込んでいく。 俺はその言葉に対して、一言ずつ返事を返すのだけが精一杯だった。 『詳しいことはお前さんのメールに転送しておくから、しっかり目を通しておくんじゃぞ』 「……はい…ありがとうございます……」 『結果が出たら、すぐにわしん所へ来い。みっちり卒論を書かせてやるから覚悟しとけよ』 「……わかりました……ありがとうございます……ありがとうございます……」 『……頑張るんじゃぞ』 まるで息子に言うような優しい一言と共に、電話は静かに切れた。 通話が終わった後も、俺は携帯を耳にあてたまま固まっていた。 ツー、ツー、と耳元で規則的に響く電話の不通音。 そのリズムに合わせるようにして、俺の思考は再び活動を始めようとしていた。 ――これが、本当のラストチャンスだ。 しかも、今度は自分のためだけではない。 自分を認めてくれた、絶望の中にいた自分を救い出してくれた、教授のために。 …もしこれでも駄目だったら、俺は教授の期待を裏切ることとなってしまう。 絶対に、絶対に内定を貰ってみせる。 そしてその会社で結果を出して、教授に恩返しをするんだ。 あなたが認めてくれたからこそ、俺はここまで頑張ることができたんだと、あなたの先見は正しかったのだと。 どんなに仕事が辛くても、苦しくても、自分を認めてくれた人のために―― …自 分 を 認 め て く れ た 人 の た め に ? 耳にあてていた携帯電話を、ぱたんと閉じる。 (おにいさん、おしごとがんばってね!!) 俺の頭の中で、れいむの言葉が木霊した。 今まで何度も何度も聞いていた、俺とれいむの魔法の言葉。 (れいむのおしごとは、おにいさんをゆっくりさせることだよ!!) ずっと聞き流していた言葉の裏に隠されていた、本当の意味。 (ゆぇぇぇぇぇ…ゆっぐりっ!……ゆっ、ゆっぐりぃぃぃ……) 俺が何気なく放った言葉に対して流した、れいむの涙。 それらが一つにまとまり、やがて俺の頭の中にある答えを紡ぎ出した。 「れいむに……謝らないと――」 その言葉を引き金にして、俺はベンチから勢いよく立ち上がった。 導き出したその答えを、確信へと変えるために―― ――部屋を飛び出してから、もう二時間ほど経っていただろうか。 目の前にある俺の部屋の扉が、いつもより重厚な物に感じる。 「………」 右手に持った、買い物袋をぎゅっと握りしめる。 ペットショップのロゴが描かれたそれには、オレンジジュースとゆっくり用の高級菓子『ゆーくりーむ』が入っていた。 本当は、真っ先に部屋に戻るのが一番良かったのだろうが、どうしてもその場ではアパートに足を踏み入れるのを躊躇してしまった。 そこで携帯のクレジット機能を使い、れいむの好きだったお菓子も一緒に買って帰ることにしたのだ。 …もちろん、こんなものだけで許してもらおうなどとは思ったわけではない。 だけど、何か小物を持っていくだけで、さっきよりはいくらか気分的に楽になることができた。 今持っている俺のお菓子『ゆーくりーむ』には、ある思い出があった。 一年前、れいむが初めて洗濯物畳みの『おしごと』を達成した時のことだ。 俺はれいむに『ぼーなすさん』として、ご褒美にこのお菓子を食べさせたことがあったのだ。 『ゆーくりーむ』はゆっくりの味覚を破壊しないための加工が予め施されてあるお菓子であり、飼いゆっくりに安全なあまあまを与えることができることで有名である。 そのため量の割には値段がかなり高く、普段の俺ならば絶対に買おうとはしなかったであろう。 ただある日、ペットショップが在庫処分として売られていたお楽しみ袋の中に、偶然一つだけ入っていたのだ。 それをれいむに与えた時の光景は、俺の記憶に鮮明に残るものであった。 今までとは比べ物にならない程の味覚だったのであろう。口に入れた瞬間、れいむがまるで感電したかのように全身をびくびくと痙攣させ、涙をぼろぼろこぼしだしたのだ。 「ちああふぇえええぇぇぇぇ!!」と今までの数倍間抜けな顔をして叫ぶれいむの顔を見て、俺は腹がよじれるほど爆笑した。 そのあまりのリアクションに後で中毒症状の心配をしたが、どうやら中に忘却効果のあるものが混入されているらしい。その後食事をさせたが今まで通り問題もなくいつものゆっくりフードを食べ切ることができた。 ただ『ぼーなすさん』はすごくゆっくりできるという記憶だけは定着したらしく、その後のれいむの『おしごと』は一段と覚えが良くなった気がする。 あれからおよそ一年。今までれいむをゆっくりさせれなかった気休めくらいにはなるかもしれない。 大きく息を吸い、吐く。 まるで面接の扉の前にいるみたいに、心臓が高鳴っている。 静かに外気で冷やされた金属製のノブに手をかけると、扉はいともたやすく開き、見慣れた玄関が姿を現していく。 「ただいま」 二年間、何度も言い続けていた言葉と共に、俺は薄暗い玄関へと足を踏み入れた。 ※後編へ続く――
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anko0500 れいむ・マスト・ダイ(後編) anko0501 俺が、ゆっくりだ! anko0502 ただ一つの anko0503 ゆっくり戦記・前編 anko0504 2200円れいむ(後編) anko0505 kodoku anko0506 お前もポールさんみたいにしてやろうか!? anko0507 町ゆっくりの食料事情 anko0508 お尋ねゆっくり anko0509 明日に向って飛べ! anko0510 僕と『あの子』とゴミ饅頭と anko0511 偽りの賢者 anko0512 復讐の為にゆっくりに畑という概念を教えてあげた anko0513 ゆ怨 【挿絵】 anko0514 バケツまりさ anko0515 ゆっくりブリーダー anko0516 ゆう俗店 anko0517 ゆっくり天地創造 anko0518 れいむのだんなさん anko0519 みんなの幸せのために anko0520 黒色の魔法 anko0521 久城学園の不思議 anko0522 俺が、ゆっくりだ! 2 anko0523 ゆレー射撃 anko0524 戻らずの丘 【挿絵】 anko0525 おうたをうたったけっかがこれだよ! anko0526 はげの行進 【挿絵】 anko0527 俺が、ゆっくりだ! 3 anko0529 幸せ 【挿絵】 anko0530 投稿しよう 起・承 anko0531 俺が、ゆっくりだ! 4 anko0532 ゆっくり親子 とクズ人間 ~Another~ 【挿絵】 anko0533 俺が、ゆっくりだ! 5 【挿絵】 anko0536 俺が、ゆっくりだ! 6 【挿絵】 anko0537 苦悩に満ちたゆん生 【挿絵】 anko0538 ビッグゆっくり爆誕 【挿絵】 anko0539 俺が、ゆっくりだ! 7 anko0540 ゆっくりほめ anko0541 れいむとまりさとありすとぱちゅりーがゆっくりするSSさん anko0542 てんこがゆっくりするSSさん anko0543 肉まんと出かけよう 前編 anko0544 希少種の価値 anko0545 ドスハンター anko0546 俺が、ゆっくりだ! 8 anko0547 俺とゲスと自業自得な餡子脳 anko0548 おきゃあしゃんのおうちゃはゆっきゅちできりゅね! anko0549 希少種の価値 1,5 anko0550 希少種の価値 2 anko0551 ユグルイ その7 anko0552 俺が、ゆっくりだ! 9 anko0553 体3 anko0554 空から降る100万のぷくー 【挿絵】 anko0555 俺が、ゆっくりだ! 10 【挿絵】 anko0556 ゆっくり研究発表 anko0557 ユグルイ その8 anko0558 あるドスまりさの一生 とてもゆっくりした群れ anko0559 ドゲスー anko0560 ゆっくりとサバゲー対決 anko0561 弱虫まりさとほんとの勇気 anko0562 投稿しよう 転・結 anko0563 赤ゆ出産テンプレ虐待 anko0564 フォレスト・オブ・マッドネス anko0565 ゆ身売買 anko0566 おぼうしをおいかけて 【挿絵】 anko0567 古い言い伝え anko0568 おんもでゆっくりしよう!3 anko0569 ありす観察日誌 anko0570 おぼうしをぶん投げて anko0571 ユグルイ その9 【挿絵】 anko0572 えーき様とお義母様 anko0573 ドゲスまりさの優雅なひと時 anko0574 虐待・前篇 anko0575 ドール anko0576 野良ゆっくりの一家の訪問を受けた anko0577 ゆっくりを愛でてみた anko0578 ゆ狩る海峡冬景色(ver1.02)改行 anko0579 おぼうしのなかにあったもの 【挿絵】 anko0580 やさしいまち anko0581 採用通知? anko0582 虐待・後篇 【挿絵】 anko0583 死体 【挿絵】 anko0584 公園で暇つぶし anko0585 ドスと理想と長の資格 前 anko0586 どうしてちがうの? anko0587 人間vsゆっくり 前編 anko0588 罪 anko0589 裁 anko0590 れいむの平和な一日(前編) anko0591 ゆっくりしたハロウィンさん 【挿絵】 anko0592 肉まんと出かけよう 完全版 anko0594 れいむの平和な一日(後編) anko0595 独り占め anko0596 ドスと理想と長の資格 後 anko0597 蹴る anko0598 あるドスのゆっくり anko0599 DYC